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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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再会 2


すでに何日か暮らし村の残骸から生活に使えそうなものを集めてきて部屋の横に置いてある。


「今ジークルーンが言ったようにこの場所も私が襲わせたんだろうね。工場で作った製品の反応のある場所に指示を送っただけだから、どんなところかそこに誰がいたかなんて私は知らない」

「人を拒み、あなたは一人で工場に籠っていたからですよ」


「そりゃそうだろう。そうしないと揺らいでしまうから、私だって普通のアルケミストして生まれたいくつか違う部分があれど、大きく他とそう違いはないはずなんだ。私に与えられた仕事ができなくなってしまうのを恐れた。他より遅れて地上に戻ってきた私のもとにチュウジョウが来てくれてよかったと思っている、私が直接人を探し鬼を差し向けるなんてことをしなくて済んだから」

「でもあなたは間接的に多くの人を殺してきた」


「手厳しいね、人の数を管理しようと決まったんだから仕方ないだろう。誰かが実行しなければならなかった。星に住む人を守るという使命を持たない私のようなアルケミストだからできた仕事さ」

「どうして我々が生まれた意味でもある人を守るという使命が消されたんですか?」


「少しは自分で考えなさいな。考えるまでもない簡単なことだよ」



工場からのトンネルが到着までレイショウたちは鬼に襲われることもない平和な日々が過ぎていく。

レイショウはいつものように目を覚まし村の片づけに行こうとジークルーンがナノマシンで作った清潔な衣服に着替えて部屋を出た。

村にはまだジュンセイやジークルーンの姿はなく部屋の前に置かれた猫車をもっていつも通りに片づけを始めようとすると、それぞれの家の建つ位置の真ん中にタイヤのついていないバイクのようなものが二本の足で立っているのをみつける。


「なんだこれ?」


手にした猫車を置きレイショウは近づいていきそれを調べた。

エンジンを腹に抱え、後部には長く伸びた排気口、頭部にはライトその下部には小さなカメラが虫の目のようにぽつりぽつりとついている。

謎の乗り物は足をたたんで腰を落としている状態だがそれでも大きく、乗るときのための段差がついていた。

昨日までなかったものを珍しそうにレイショウが見ていると、背後からそっと近寄ってきたユウセイが話しかけてくる。


「私の作品に興味があるのかな」

「なんだよこれ? 乗り物っぽいけど」


朝から嫌な奴と出会ったと嫌悪感を出すレイショウに向けユウセイは自分の作品へと近寄っていく。

バイクをなでるユウセイは気怠そうな目でレイショウを見た。


「見ての通りの歩行バイクさ。瓦礫だらけの町を歩いてなんて行きたくないからね、足がパンパンになってしまうよ」

「見ての通りって、こんなの見たことないぞ。昔の乗り物か?」


「水平維持機能で常に水平を保ちハンドルに体重を傾けるだけで歩き出す、最大速度は時速75キロ。障害物検知用のカメラが内蔵されていて前方や後方の段差とか乗り越えられるけど速度を出しすぎると接地面が小さい分簡単に足を滑らすから気を付けて」

「安全なんだろうな?」


「これには私も乗るんだ安全に決まってるだろう、ゆっくり進む分にはという文言がつくがね。燃費のため元の設計よりだいぶ軽量化させてはあるが性能に妥協はない、それでもナノマシンでできているから強度は元の設計より丈夫かもしれない」

「人数分はないんだな」


「最大積載重量200キロの二人乗りだよ。というか君たちはついてこなくていいんだよ民間人。私ら三人、ジュンセイをここの護衛に残してジークルーンと私の二人で行っても構わない、そうすればちょうど歩行バイクは二台だ」

「昔の世界にはこういうものがあったのか?」


「設計図だけはあった。ただ、戦場は宇宙、地上波補正された道路しかないあの頃の世界で大きな段差を乗り越える機能に特化したこいつは遊びの範疇を出ないものではあったがね。戦争中でそういう道具はあまり作られていない時代だったから。それを私が改良発展させたものさ、なかなかセンスがいいだろう。私ももとは戦艦を操る身。道具の扱いに関してはいたってまじめさ」

「ジークルーンが空に行くのを止めないんだな」


「ああ、私も空に行きたいから」

「それなら、自分で空に行かないのか」


「私の天翔艦は解体してしまったからな、一から作りなおせば半年以上はかかる。でもジークルーンの天翔艦があるなら私のところで保存していた燃料が届き次第空へと飛べる時間の短縮、それだけさ。それにすでに工場は攻撃を受けているしあの場所で空に行く用意をしても撃ち落されるのが落ちだろう」

「そういうもんか」


「久々に新鮮な感覚だった、やはり自分と話すよりよっぽどいい」

「俺はあんたが嫌いだけどな」


起きてきたジークルーンがユウセイとレイショウの声を聞いてやってくる。

彼女もレイショウと同じく見たことのない乗り物に興味を抱きユウセイに尋ねた。


「おはようございます。ユウセイ、これは何ですか?」

「ん? 私の作品に興味があるのかな? 歩行バイクさ、燃料を補給する前に天翔艦の様子を見ておきたくってね」


「そうですね、自分もまだキルシュブリューテの姿を見ていません。作ったはいいですけど、これを動かす燃料はあるんですか?」

「今、非常にわずかながらに充電中さ」


「二台ですか? 全員ではいけませんね?」

「人数分用意する必要はあるか? 先に見てくるだけ後でトンネルでつながるんだ、私とあんただけで十分だろう。しかし、この歩行バイクの積載重量は……」


ユウセイは今しがたのレイショウとの会話を繰り返すようにジークルーンに話はじめる。


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