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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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誰もいない故郷 4

 

 彼女らが戻ってくるのを見て、ジュンセイは立ち上がり戻ってきた彼女らを迎える。


「お帰りジークルーン、どうだった」

「大丈夫です、中の空気が悪かったのでユウセイが持ってきてくれたナノマシンを使って急速換気をしています。見た感じは中に鬼はいませんでした。隠れてもいないみたいですユウセイが嘘をついていなければ」


 皆の視線が一手にけだるそうなユウセイに向く。

 彼女はへらへらと笑い隠しているものも敵意もないと両手を広げる。


「疑われているね、ほんとにいないよ。鬼の遺体も分解済みさ、中の様子は襲われた時のままだろうけど。使える物をかき集めれば普通に暮らしていけるよ」

「ユウセイ余計なことは言わないでください、ここはレイショウさんたちが暮らしていた場所ちょっとしたことでも刺激になりますから」


「はいはい、それじゃ今度はみんなでなかに入りますか」

「ええ、レイショウさんハジメさん行きましょう。あの時以来ですけど……大丈夫ですか?」


 レイショウは排水溝の中に入り村へと向かうと聞いて表情が硬くなる。

 目の前まで来たのと中に入るのはまた覚悟か違う。


「……ああ」


 ハジメと手をつなぎレイショウたちは排水路へと入っていく。

 通路に入りジークルーンはレイショウに明かりを渡す。


「レイショウさんこれを、足元暗いですから明かりです」

「ありがとう」


「手回し式の発電機です。使い方はわかりますか? 明かりが弱まってきたらその下にある取っ手を時計回りに回してください」

「ありがとうジークルーン」


 壁や地面に明かりを照らしながら暗い道の先を進みレイショウとハジメにとっては懐かしくも変わり果ててしまった場所をすすむ。


 満月の日に鬼に襲われ壊滅した二人が暮らしてきた村。

 通路には村から流れてくる物の焼けたにおいが充満しており、その先壊れたバリケードを見てこの間のことを思い出したレイショウの顔が険しくなる。


「大丈夫ですかレイショウさん」

「ああ、大丈夫だよジークルーン。村に帰ってきたんだ」


 最後に見たのはミカドや村の仲間と鬼と戦った場所。

 ほとんどの村人は鬼になってどこかへと消えてしまったため、彼らの遺体はほとんどなく残った遺体は河原の隅に埋葬した。


「換気はしていますが、換気扇が小さくこの大きな空間の空気を一気に変えるほどの力はありません」

「持って行ったナノマシンの量が少なかったからね、それでもファンの部分は名のレベルで作り上げた自身の逸品だし、モーターは強力だし発電機の電力の効率も一番良いものだったんだけど」


「これから、この村の出入り口を封鎖していきます。鬼が入ってこないように」

「了解了解、私はこの村に詳しくないんだけど、どこに出入口があるか教えてくれないかい?」


「自分も数回しか来ていませんのでよくわかりません、壁沿いに歩いて見つけたらふさいでください」

「ナノマシンが足りないけどこの村にあるものを使っていいのかな?」


「はい、あちこちから集めてきた金属がありますから、それを使ってナノマシンを増やして塞いでください」


 バリケードから金属を抜き取りそれぞれが自分のナノマシンへと変換し、使わない通路に新たにナノマシンでできた丈夫なバリケードを作る。

 金属の量が少なく作られたバリケードは細い針金を編んだ金網。

 入ってきた出入口を一か所だけ残し、村への入り口をふさいで最初の場所へと戻ってきたユウセイがジークルーンに訪ねる。


「ここの下に私の基地からのトンネルをつなげればいいのかな?」

「ええ、ここから自分の天翔艦の位置までそれほど距離もなく船の落下の影響もうけていないようですからここがベストでしょう」


「私の基地も地上部分がなくなってしまったし、ここに新しい拠点でも作るか。古い場所だ建物の強度も怖い、船の落下の振動は耐えたみたいだけどいつ崩落してもおかしくない」

「あまり大きなものにしないでくださいよ」


「わかっているよ、地形が変わって空からばれてしまったらここに来た意味がない。この埃っぽい場所を清潔感ある場所にするだけさ」

「それはお願いします、ハジメさんは体が弱かったのでジュンセイがナノマシンで一度治療してくれましたがまたぶり返さないとも限りません」


 レイショウとハジメは自分の家のあった場所へと戻ってくる。

 鬼との襲撃のごたごたで壊れその後の火事で半焼した物の山。


「おうちなくなっちゃたね」

「ああ、みんな燃えたな」


「きょうはここでねれないね」

「そうだな、今日も地面の上になりそうだ」


 使わない通路をふさいできたジークルーンとジュンセイがやってきて、レイショウたちの前にある燃えたものの山を見る。


「ここがこの二人の家?」

「ええ、廃棄物の山のように見えるかもしれませんがレイショウさんの家です」


「誰もそんなこと言っていないよ、この程度の家ならいまの時代なら普通だよ。城塞都市みたいなアルケミストに守られた場所じゃないと普段は外で作業をするから眠るための部屋しかない、この村が特別貧しいとかじゃないジークルーンが知らないだけ」

「……そうなんですか?」


 一人で外へと出て行ったユウセイがしばらくして長い金属の紐を束ねたものを肩に乗せて帰ってくる。


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