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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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誰もいない故郷 2

「ははは、冗談さ、あれだけの数の人がいるんだ、ちょっとやそっとの数の鬼提示どじゃ簡単に返り討ちになる」

「こいつ信用して本当に大丈夫なのかジークルーン」


「長らく自分としか会話してこなかったから、他人と話すのが楽しくて仕方ない。特にもう国も関係なく政治に配慮した言葉選びは必要なく民間人はまともに相手をしなくていいから、好きにからかえる」

「本当に腹が立つ」


「怒ったって腹が減るだけだ、そういや食べ物はどこで買うんだい? 燃料到着と月までの往復だってそれなりの日数がかかる。私たちは何喰ってそれまで生きていくんだい? 雑草? 私はもう食べられる野草の知識なんかだいぶ頭から抜けちまってるよ?」


 ジークルーンが口を閉ざし考えるとレイショウが静かに口を開く。


「缶詰が村に残ってるだろうさ。どこかの誰かが鬼を使って襲わせた、俺たちの村のもう誰も食べない缶詰が」


 それきり会話もなくなり城塞都市がよく見える距離まで近づくとジュンセイはトラックを止めナノマシンの塊を見る。

 そしてジュンセイはトラックを降りて、近くの瓦礫の上に上がり城塞都市を見た。


「どうしました?」


 追いかけてジークルーンも助手席から降りる。

 ジュンセイは静かに城塞都市のあった場所を眺めていた。


「長年かけてチュウジョウや私たちが作った町がなくなった……」

「そうですね。この町には地下があったはず、チュウジョウはそこに籠っているのでしょうか」


「だとしても、地上にあった施設が吹き飛んだ。防衛に力を注いでいた城塞都市が困難だからエデンガーデンもどうなっているかわからない、どのみちもうあちこちに住む村の人間を支援することができない」

「鬼もいますしね、ここで銃も売っていると聞きました」


「護身用の拳銃と拠点防衛用の中型と大型の銃をね。安心と信頼の雑に扱われても壊れにくい昔ながらの量産型のやつだよ。火薬の調達が面倒だった」

「あそこに集まっている人々を救うためにも鬼をなんとかしないといけませんし、早く空に上がりたいですね」


「ユウセイが素直に燃料をくれればいいけどね」

「信じるしかありません」



 城塞都市を過ぎ村の近くへと続いている川原を走っていると、遠くに廃墟を覆っていた蔦の一部が見えてくる。

 廃墟を覆う巨大な蔦も空からの落下物の影響で吹き飛び残った一部がいまだに燃えていた。


「直撃だったろうに、原型が多少残る程度には丈夫な木だ」


 いまだに灰色の煙を上げている廃墟を覆っていた蔦。

 周囲の建物はすべて衝撃波で吹き飛び瓦礫の山の真ん中で幹を失った蔦が瓦礫の山の上で煙を上げ燃えている。

 その葉は焼け落ち黒く炭のようになった太い枝を見てユウセイがつぶやく。


「そうですね、あれはそれから基地の場所をわからなくするためのものなのでしょう? でもあれだけ大きな植物だと逆に目立つのでは?」

「空からだと蔦の下の詳細がわからないかいから、基地の無い場所にも植えて空からの狙いをばらけさせているんだ」


「でも攻撃を受けた後ですよ?」

「攻撃で木も基地も一緒に吹き飛んだから、工場や城塞都市のような更地にはなっていないじゃないか。ここに天翔艦があると知っていたら城塞都市のように次々と船を落とされて、このあたり一帯が焦土と化してるだろうね」


「確かに、深く張った木の根の影響か地面に特別大きなクレーターもありませんね」

「あくまでまだ眠っているかもしれないアルケミストが、今後目を覚まさないように地下を埋めたって考えでいいよ」


「自分が目覚めるのが遅かったら、今頃自分は土の中ってことですか。レイショウさんに起こされていなかったらと思うと、恐ろしいですね」

「あんたが目覚めなかったらジュンセイは城塞都市に残り、私も工場から出なかった。この旅もなかったってことだね。今も昔も何が起きるかわからないもんだね」


 城塞都市を通り越してしばらくたちレイショウたちの村へと戻ってくる。

 村の入り口のそばにはレイショウが城塞都市から乗ってやってきた小型トラックがそのままの状態で残っていた。

 トラックを土手の上に停車させ5人は車両を降りて河原へ通り村の入口へと向かう。


「戻ってきたな……ここに」


 村のある方向を見ながらレイショウがつぶやき、手をつないで一緒にいたハジメが彼の手を強く握る。

 鬼の襲撃のあった満月からまだあまり日は立っておらず、村の前はレイショウたちが旅立った時のまま。

 ミカドの持っていた鉈をみる。


 トラックを村の近くに停車させてジュンセイが車両から下り周辺に鬼がいないかを確認し高い所へと向かって走っていく。

 ジークルーンもおり後を追ってレイショウとハジメ、最後にユウセイが下りて狭い車内に押し込められていた体を伸ばす。


「村に鬼がいるかもしれませんので自分とユウセイが先行して中の様子を見てきます。レイショウさんとハジメさんはジュンセイと一緒にいてください」

「わかった、ジークルーン気を付けて」


 トラックの一部をナノマシンの塊として背負うユウセイ。

 軍刀を作り出し武装したジークルーンが、面倒くさがるユウセイとともにライトを作って排水溝へと入っていく。

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