天からの攻撃 4
「この階段を登れは地上が見えてくる」
「登りきるまでが長そうですね」
ユウセイたちは果ての見えない階段を見上げその階段を上りはじめた。
会話もなくなり細い通路を一列になってもくもくと階段を上がっていると、先頭を歩くユウセイの速度がだんだんと下がってくる。
ジュンセイがその背をつつく。
のろのろと階段を上がるユウセイに見かねたジークルーンが後ろから尋ねる。
「ユウセイ、後がつかえています速く昇ってください」
「……すまない、疲れた休ませてくれ」
「自分で作った階段でしょう?」
「地上に出るまで何千段あると思っているんだ?」
「知りませんよ、自分で作った階段でしょう。進んでください」
「地上の攻撃から身を守るためにここは地下深くに作ったんだ、歩いて登れる深さじゃない。それにあんたたちが来なかったら私は、空の皆が何を思って攻撃してきたのかを考えここにしばらく潜伏するつもりだった」
「あなたも軍人でしょう、ナノマシンで身体能力向上を使えばまだ登れるじゃないですか。自分たちはまだ全然歩けますよ?」
「軍人だったのは3人か4人くらい前の私だよ、もうここに来てから他の場所には全くどこにも行っていないし、水と食料の限りがある場所で無駄に体力を使うトレーニングなんてやろうとも思わない。ここにいたときはずっとエレベーターと移動歩道で移動していたくらいだからな」
「完全に運動不足ですね、体がなまっているんです」
「考えをまとめるために通路をたまに歩いていたりしたんだが、あの程度ではダメか。ははは……」
少し息を切らせて自棄気味に笑うユウセイ。
「そもそも、それはどのユウセイですか?」
「さぁ、どの私だったかな」
溜息をつきジークルーンは後ろを振り返り後をついてくるジュンセイとレイショウを見る。
「ユウセイが駄々をこねました。疲れて歩けないそうです、少し休みましょう」
「ずっと歩いてその後はずっと階段で景色が変わらなくてしんどくなってきたな。実はぐるぐる同じ場所を回っているんじゃないのか?」
「すみませんレイショウさん。ですが大丈夫ですちゃんと上には向かっています」
疑うなど酷いなとユウセイがつぶやく。
それから無言で歩き続け階段を上り、ハッチを開けて地上に出る。
地上に付いた頃には既に日は落ち、月明かりと星を囲む輪の照り返しで空暗く地上は白く染め上げられていた。
「もうすっかり夜ですね」
「やっぱり近寄り空気がいいな」
付近に建物はなく瓦礫の山も木々も空からの落着物の衝撃でどこかへと吹き飛ばされている。
月に照らされる白い大地の果てに大きな土煙と燃える地面が見えた。
周囲を見て工場のあった場所からかなり遠くに出たことにジークルーンがユウセイに尋ねる。
「だいぶ遠くに出ましたね」
「あの真上に出ていたら死ぬだろう普通に、眠り過ぎて頭がポカになったのかい? それに迎撃で飛び散った破片が落ちない距離まで来ただけさ。ま、このあたりもたまに飛んでくるとは思うけどね」
外に出てハジメを背負った体を大きく伸ばすレイショウ。
背負われているハジメは安らかに寝息を立てている。
「狭かった」
「ははは、悪いね、今度からはもう少し横を広く作るよ」
わざとらしく笑いユウセイは周囲を見渡す。
「さて、ジークルーンの天翔艦がある方角はどっちかな」
「向こうです……ですが歩いていくのですか?」
「他に?」
「できれば、ユウセイのナノマシンで車両などを作っていただければいいのですが、できませんか? できますよね、弩級天翔戦艦のアルケミストはいろんなものを作れると言っていましたよね」
「無理だね、側を作れても天翔艦の燃料では動かせない。電気バッテリーでもどこかで充電しないといけない」
「太陽光があるじゃないですか」
「いちいち変化させるのが私だからって好きかって言ってくれる」
「でもユウセイは長距離を歩く体力ないでしょう。いやがらせしたいのなら疲れたと休んだ時、無理やりに引きずり倒しますよ」
「わかったよ、降参だ」
ユウセイは大きなコンテナを積んだ大型のトラックを作り出しレイショウの村があった場所を目指して走り出す。
落下物の影響で数キロは建物が衝撃や爆風で吹き飛びなぎ倒されていた。
移動を開始し朝日が昇っても空からの落下物はない、そのことに安堵しつつトラックは破壊を免れた廃墟へとたどり着く。
「随分と大きなものを作りましたね?」
「大きければその分大きなバッテリーを乗せられるからな。それに余剰分に資材を積んできた、これで何かと私が必要な物が生み出せる」
「私たちの乗るスペースは狭いですね」
「もちろん、物を運ぶためのものだからね。人の乗るスペースはおまけさ」
「本当にユウセイは意地の悪い」
「空から見つからないように上部は地面の映像を映すモニターになっていて光学迷彩もばっちりさ。こんなどでかいのを見つからないようにするのも大変なんだから」
「もっと小さくてもよかったのでは」
「いっただろう、私には多くの荷物が必要なんだ」
助手席に座るジークルーンは村までの進路を指さし、ユウセイは席を倒し横になる。
ハンドルを握るジュンセイが声を上げた。
「で、なんで私が運転なのさ」
「私に運転してほしいのかい?」
「……駄目だ、あんたには任せられない。かといってついて来ているだけの民間人に運転させるわけにもいかないか」
「だろう」
「大型トラックとか瓦礫だらけの町で走りづらくて仕方ないなぁ、もぅ」




