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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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天翔艦とアルケミスト 4

 床のナノマシンがレイショウの背後に壁を作り出し距離を取らせないようにしユウセイはステッキを雑に降る。

 それだけで攻撃から身を守るレイショウを横に弾き飛ばす。


「ジークルーンの、アルケミストの力を借りてその程度か? 我々が女性しかいない理由は筋力で劣るという理由だったが、ろくに運動もしていない私が、体を動かさなければ死んでしまうこの世界で生きてきた君を弾き飛ばしてしまうとは」


 立ち上がるレイショウを見てユウセイは続ける。

 足元と背後に気を付けながらユウセイに鉈を向け様子を見るレイショウ。


「上でジークルーンとジュンセイ、それと君の妹に尋ねたんだが、君はジークルーンに好意を抱いているみたいだな?」

「だったらなんだよ!」


「大変だと思ってね、君の気持ちを伝えるのは」

「あんたに関係ないだろ」


「私たちは戦うために作られたからね、色恋沙汰には限りなく疎い。今の彼女らは愛を知り子を育む喜びを知った。もっとも子に記憶を映すために、その器を用意する目的で始めたつがい探しだったが彼女らも乙女だった。見ていて楽しかったよ」

「だからなんだよ?」


 レイショウの逃げ道を塞ぐように四方に長い棘が生える。

 やむなくユウセイに飛び掛かるが攻撃はまたしても弾かれステッキで足を叩かれ転倒させられた。


「弱いものはいつだって奪われる側の存在だ」


 起き上がる前に床から鎖を伸ばしレイショウの手足を拘束する。

 そして倒れた体に覆いかぶさるようにしてユウセイがやってきてステッキを握っていない手でレイショウの顔を押さえつけ目元を隠す。

 身動きの取れないレイショウに彼女の唇が重ねられた。


「んぐっ!?」


 突然の出来事で一瞬混乱するがすぐに強く湧き上がる力に任せて蹴り上げるとユウセイは大きく吹き飛んだ。

 蹴り飛ばされた彼女は空中でステッキを下に向けて床を液状に変えたのちそこへ着水する。


「っぺ、何のつもりだ!?」

「びっくりした、思いのほか高く私はとんだな。足の腱は切れていないようだな」


 湧き上がる力によってユウセイの拘束から抜け出しレイショウは立ち上がると蹴り飛ばしたスイセイを探す。

 液状化したナノマシンの上に浮かび上がりユウセイはレイショウの位置と飛ばされた位置を確認した。


「体の奥から力が湧いてきたがお前の力か?」

「どうして私がお前のために力を貸す、戦っているのだぞ?」


「なら今のあれはなんだよ」

「上にいる私からの要望でね、ジークルーンをからかった」


「どうして、俺にすることがジークルーンをからかうことになるんだよ」

「彼女も少なからず君を気にしている、恋心ではないがね。でも、私が突拍子もないことしたおかげで、彼女の押さえていた力を開放することができた」


「そんなことのために、自分の体を大事にしろよ」

「私をボコボコにしようとしたのによく言う。それに私は一人じゃないこの程度痛くはないよ」


 レイショウの握っていた戦いでぶつかり合い欠けていった鉈の刃が再生した。


「その力も貸し出すことができるのか、面白いねもっといろいろ試してみたくなった」

「協力する気はないけどな。サッサとお前を倒してジークルーンとハジメの元に戻る」


「呼ばれなかったジュンセイがかわいそうだ。何、気にするな、君の前でジークルーンを痛めつけたら今度はどのような反応をするか試したい」

「やめろ!」


 レイショウはユウセイに向かって走り出す。

 壁を作りレイショウの道を妨げようとしが、とっさに避けきれなかった彼が壁にぶつかったとたんに壁が固さを失いぐにゃりと歪む。

 それを見てユウセイの顔に笑みがこぼれる。


「凄まじい成長だ、ジークルーン。この短期間で他人のナノマシンの制御を奪うこともそれをこの男に貸し出すこともできるようになったか?」


 硬さを失い粘土のようになって倒れた壁にレイショウも絡まれていて身動きが取れなくなっていた。


「いや違うな、彼の意志で動かしているわけじゃないのか。カメラの映像を見て遠隔で操作しているのか? いいや、直に触れていないとナノマシンは動かせないはず」


 少しの間ぐにゃりと崩れた壁の中で藻掻くレイショウを眺めユウセイは納得する。


「それはそうか、いきなりうまく使いこなせるわけもないか」


 壁がレイショウを避けるように動きだしレイショウは再び立ち上がった。

 壁の一部が鉈に巻き付き両刃の剣へと姿を変えるのを見てユウセイは驚愕する。


「いいや違う、彼をハブにしてジークルーンが操っている。鬼の感染能力と同じだ、人の脳に干渉しその脳の処理能力を間借りしている、フフフいいぞ、こちら側に来るかジークルーン」


 次の瞬間には大きく剣を振りかぶった一撃を受けユウセイは大きく吹き飛ばされた。



 タブレットに移された映像を見終わったユウセイがジークルーンに尋ねる。


「殺さないでくれてありがとうと言うべきか?」

「いいえ、剣は刃を向けていません。レイショウさんはちゃんと殺さなかったんです」


「まだ挑発が足りなかったか」

「レイショウさんの神経を逆なでて、ユウセイはどうしたかったんですか?」


「そうだな、鬼に変えることなくあの男を鬼にしてみたかったかな」


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