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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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天翔艦とアルケミスト 3

 横に立っていたジュンセイが横から口をはさむ。


「この二人はどうするの? どこかに預けるために今まで連れまわしたんでしょ? ここまで来て放り捨てるの?」

「ええ……エデンガーデンに預けられれば良かったんですけど。自分のせいでミカドさんが鬼になってしまいましたし安全な場所までご一緒したかったのですが、月の船が落とされている以上それを止めないと安全に移動すら困難です」


「そうだけどその辺に放置していくの? そりゃ、ここから先は連れまわすよりましだけど」

「そうなんですよね……」


 席に座らず立っているレイショウとジュンセイを振り返って見上げていたジークルーンは正面のユウセイに向き直る。


「ユウセイあなた鬼を操れるんですよね」

「ああ、それはもう自由自在に……とまではいかないが、それなりに」


「レイショウさんとハジメさんを守ってはもらえないでしょうか?」

「どうして? 私にそんな義理はないだろう」


「お願いですユウセイ」

「そういわれると断れないなぁ」


 終始まともに取り合う様子がなくからかうようなユウセイ、その話を聞いていたレイショウが割って入った。


「ジークルーン、俺らはこいつに助けられるくらいなら自分たちで生きていく」

「レイショウさん……」


「こいつ、こいつが操った鬼がみんなを殺したんだ。どうしたって許せないし、ましてや守られたくなんてないだろわかってくれよ」

「自分が空に向かっている間だけでも、保護を。自分は兵器ですが知り合った人に居なくなられると寂しいんです」


 気怠そうな視線をレイショウに向けると指をさす。


「お願いされれば人の数人保護することくらい問題はないけど。空からの贈り物のおかげで地上はいま灼熱だし、城塞都市やエデンガーデン、他の地域がどうなってるかもわからない。おとなしく守られていた方がいいんじゃないかな~?」

「ユウセイ、もう挑発しないでください。お願いです」


「守られているだけか? 私を一発殴っただけできはすんだか?」


 隣でタブレットをいじっていたもう一人のユウセイ指を弾くとレイショウの足元に穴が開く。

 どうすることもできず落下するレイショウ。

 ハジメはジュンセイが鎖で手繰り寄せその場に残る。


「ユウセイ、やめてください!」


 ジークルーンの声を最後に聞いてレイショウは暗闇へと消えていく。


 レイショウは起き上がる。


「どこだよここ」

「君のための特別に今作った部屋」


 周囲を見回すレイショウに背後から返事が飛んでくる。

 振り返れば離れたところに立つスイセイの姿。


「今度はなんだよ」

「私は守るとか嫌いだから、君にもついて来てもらおうと思って」


「なに?」

「信号の解析で他のアルケミストからナノマシンを奪えるけど、その逆もまたできる」


 スイセイは何かを投げ、飛来した銀色の針がレイショウの太ももに刺さる。


「痛っ!」

「上で今私がジークルーンに説明しているところだ、そのダーツはいまジークルーンのナノマシンの信号へと変換してある。どうやらジークルーンは尋ねるだけ、君は見ているだけで何かをするような気がなかったからね」


 ユウセイは床に触れると細かい装飾の入ったステッキを作り出す。

 同時に体のラインが浮き出る宇宙服から、動きにくそうな紫陽花柄の袴姿に変わる。


「ジークルーンにやる気を出してもらうために君には協力してもらう」

「なに?」


 レイショウの足に刺さった針が傷口の中に入り込んでいくと、すぐに足の痛みが消え傷口には銀色の瘡蓋が出来ている。


「さぁ開始だ、天井にできているカメラに手でも振ってあげたらどうだいジークルーンと妹が見ているよ」

「あんたを倒せいたらここから出られるのか」


「倒してから聞きなよ。武器を抜きなさい全力で、私のことが嫌いだろ?」

「ああ、あんたを倒して引きずって皆の前で謝らせてやる」


「殺してくれても構わないんだよ? 鬼を作り操るものの一人だ」

「殺したら謝らせることもできないだろ」


「変わった人間だ」


 レイショウは鉈を抜き走り出す。

 ナノマシンによる身体強化で一気に跳躍するがジュンセイの時と身体能力の上がり方が違い、レイショウ自身コントロールしきれずにいた。


 レイショウの一撃をステッキであしらいユウセイは反動で後ろにふらつく。


「普通に殺しに来るじゃないか」

「浅い傷ならすぐに治るんだろ、深手を追わせるくらいじゃないと」


「十分。ハハハ、逆なでしたかいがある」

「そのへらへらした笑いを止めてやる」


 鉈を振り回すだけでなく蹴りや殴り体当たりを駆使しユウセイに一撃入れようとする。

 鬼と戦いレイショウの攻撃を受け流すので精一杯のユウセイ。


「どうした、受けるの精一杯なのか。それともまだ俺をおちょくるのか!」

「いや正直、攻撃が多彩で驚いただけだ。だてに鬼と戦っただけはある」


 床に凹凸ができておりレイショウはそれに躓く。


「さっきまでこんなもの……」


 転倒したレイショウが足もをとみれば地面は波のようにうねり大きな穴に変わる。

 穴に落ちないようにレイショウが逃げればユウセイはステッキを振り回しながらいう。


「ここは私のナノマシンの中だ、それに私はこの武器で戦うとは言っていない。卑怯とか言わないでくれよ、嬉しくなる」

「こいつ!」


 振り上げたステッキを振り回しレイショウが鉈で受け止める。

 ナノマシンは金属でそれで作られたステッキも金属、重い振動が鉈を伝ってレイショウの手に重く響く。

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