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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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果ての工場 2

 休む来なく空へと砲弾を撃ち続ける砲台をから目を放し、空を見上げていたジークルーンが辺りを見回し身を守れそうな場所を探す。


「今度は間違いなくここでしょうね」

「どこかに隠れないと! さすがに硬いナノマシンでも十分な厚みがないと質量にも熱量にも耐えられない」


 ジュンセイも鎖を伸ばして建物の上に上がり辺りを周囲を見回した。

 初めと手をつないだレイショウが建物を指さす。


「工場の中は?」

「だめです、壁が薄すぎます。多分ここらに見える地表の物はシェルターに作りなおさないとすべて吹き飛ぶでしょう」


「助けを求めたらどうなんだ? 一応は知り合いなんだろ?」

「どうでしょう、助ける気があれば鬼に襲われたりしなかったと思いますが。やってみるだけやってみますか、どこかにこっちを見ているカメラありませんかね?」


 建物の上に上っていたジュンセイが降りてくるとジークルーンの手を引いて走り出す。


「向こうに隠れられそうな場所を見つけた。だめかもしれないけど、最悪ここのナノマシンの制御をいくらか奪って何とか守る」

「頼みます。自分も他人のナノマシンの制御の奪い方をジュンセイに習いましたので、いきなりの実践ですができうる限りサポートします」


 大きな建物へと向かって走るアルケミストたちの後を追うレイショウ。

 次第に空が眩くなっていき走る速度を速める。


「ねぇ、お兄ちゃん」

「大丈夫、お前は俺がちゃんと守るからな」


「違うよ、あれ、人が居る」

「人?」


 建物へと向かって走るレイショウに手を引かれていたハジメがあるものに気が付き指さす。

 その方向にはマンホールのような丸いふたを開けて手招く影。


「誰かいる? ジークルーン、向こうに誰かいる!」

「何です?」


 レイショウの言葉を聞いて前を走る二人が振り返り指さす方を見た。


「本当です誰かいますね、呼んでいるようです」

「もう時間もない、あそこへ向かおう。助かるか殺されるか知らないがここにいると助からないのは間違いない。月の連中め」


 四人は地面に空いた穴に滑り込み地面の中へと降りる。

 部屋に電球はなく暗い部屋の中で人影の一人が周囲を照らせるライトを持っているだけ。

 その薄暗さに次第に目が暗さに慣れてくると自分たち4人以外の動く人影を改めて見た。

 人影は8人ほど、ウェーブのかかった白い髪と気怠そうな目をした金色の瞳の女性たち。


「アルケミストか」


 レイショウのつぶやきに反応することなく、似たような顔立ちの女性たちは部屋の四隅に立ち壁に両手をつけていて気怠そうな目で4人を確認する。


「アルケミスト二人とよそ者二人」

「だな、時間もない降りよう」

「わかった。こいつらをどうするのかは下で決めよう」


 会話をするほとんど同じ声の女性たちはナノマシンを操作し部屋を動かす。

 天上の穴が消えると部屋がガクンと揺れ、鳴りやまない砲撃音が遠ざかり部屋にいた全員に浮遊感が襲う。


「なんか変な感覚が」

「勢いよく下に降りていますね、外が見えないから変な感じがしますけどこの部屋がそのままエレベーターだと思ってください」


「どこに行くんだ?」

「わかりませんよ、とりあえず助けてくれたんです。すぐに戦いになることはないでしょう」


 全員が同じくらいの年齢に見える8名のアルケミストたちは服装が統一されており、体のラインが浮き出る全身タイツに胸当てや腰巻のような装備を付けている。


「変わった服装をしているな、昔の服装なのか?」


 部屋の四隅に立つ女性たちを見てレイショウがそっとジークルーンに尋ねた。


「あれは宇宙服の下に着るスーツです。保温性や吸水性に優れ、衝撃を和らげ伸縮もよく軽くて動きやすい」

「生地はスポンジみたいになってて厚手だけど体のラインが出過ぎてあまり好きじゃない。昔は何でこの服を疑問も持たず着ていたんだろうってくらいに今見ると恥ずかしい」


「そうですか?」

「ジークルーンも一度人の暮らしをしてみるといい。価値観、物の見る視点が変わるから」


 勢いよく下へと降りていた部屋は次第に速度を落とし停止する。

 そこへ強い衝撃。

 部屋に中にいた皆が揺れに耐えかね床に倒れ込む。


「星の船がここに堕ちましたね」

「ああ、その揺れだと思う。生きてるってことは私らは助かったってことか」


 その後少し降下し部屋に出口が作られる。

 暗くてよく見えなかったが明かりの下に出た彼女らは皆浅黒い肌をしていて、レイショウと同じくらいの女性にしては高身長。

 気怠そうな目や細い体のラインから儚さを醸し出す女性を見てレイショウは呟く。


「やっぱアルケミストの人ってのは美人が多いんだな」

「兵士の士気向上のためのお人形だもの、美しく作られるのは大前提。戦乙女アルケミスト、様々な国の美的価値観の結晶」


「でも俺はやっぱりジークルーンが一番だと思う」

「むかつく。そりゃ黒髪でないからこの国の人間らしさは薄いだろうけど、私やチュウジョウ、スイセイはこの国の人間の理想の女性として作られたんだけど?」


 8名が部屋を出て行き後に続いてレイショウたちも部屋の外に出る。

 ジークルーンが部屋を出ていった彼女たちを追いかけ話しかけた。


「助けていただいてありがとうございます……。あの、誰がアケボシユウセイさんなのでしょう?」


 彼女たちは顔を見合わせ気怠そうな視線を向けて答える。


「私たちが、ユウセイだが?」


 その答えにジークルーンは長考しジュンセイとハジメの手を引いたレイショウがやってきて隣に立つ。


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