世界を知る為の道 4
荷物をレイショウに渡し身軽になったジュンセイが先行して道を確認し鬼を排除するため前に出る。
その後を大きなリュックを二つ担いだレイショウとハジメを背負うジークルーンが追う。
「ねぇねぇ、ジークルーン」
「何ですか、揺れで気分が悪くなってしまいましたか? すみません、ジュンセイに一度どこかで休めないか聞いてみます」
「違うよジークルーン」
「ではなんですか?」
ジークルーンの背負われているハジメが腕を伸ばし空を指さす。
「あれって、流れ星?」
「どれです?」
「あの赤いの」
ハジメが空を指さしたので周囲の安全を確認してからジークルーンはその方向を見る。
見上げるとそこには空の高い位置を飛ぶ赤く光輝く塊が見えた。
「隕石です!?」
あとをついて来ているか確認のため振り返るジュンセイが、足を止めるジークルーンに気が付き彼女と同じ方向を見上げ同じものを見る。
先を行くジュンセイに追いついたレイショウも空を見上げそれを見た。
「流れ星か、星の輪の一部が降り注いだか……いや、あれは月の主力艦、星間巡洋艦だ……」
「月の船ですか、あれが!?」
赤く眩い光を放ち細長い塊は長い黒色の雲の尾を引き、小さな点だったそれはみるみる大きくなっていき4人の遥か頭上を通り過ぎていく。
「星間巡洋艦、全長250m、横幅28m、全高37m単調な形で生産性が良く。宇宙空間用イオンスラスター8基、武装は艦首1800mmマスドライバー砲4基、300㎜5連装レールガン3基、250mm単装レールガン6基、10mmレーザー機銃40門、大型ミサイル発射管4門、小型ミサイル発射管16門。地上から上がらないといけない私らと違って、宇宙で組み立てられる向こうは軽量化も小型化も必要なかったから同じ巡洋艦でも戦うのが大変だった」
「あの方向はエデンガーデン……?」
ジークルーンたちの真上を通り過ぎていき空に残る黒色の帯状の雲を見ていると、天からの落下物が飛んでいった先の地平の果てが一段と眩く光る。
「方角的にはそうだね。たまたま落ちたって感じじゃないね。協力関係じゃなかったのか、どうして落とした」
「何だったんだいまのあれは? ただの隕石じゃないのか?」
光が消えると次にドーンという轟音が届く。
聞いたこともない低く重たい音に驚いたハジメがジュンセイに強くしがみつき、音に続いて今度は地表が波打つような揺れが皆を襲った。
「近くの物へしがみついて!」
大きな揺れに立っておれず三人は地面にへたり込んだり、四つん這いになって転がらないように踏ん張る。
ナノマシンでできた服の端をいくつもの細い鎖に変化させ先端を杭にして自分を固定したジュンセイが、レイショウに鎖を撒いて引き寄せて近くの壁にしがみつかせた。
「ここまで来てこんなことで死ぬな」
「死ぬ気はないけど、これこの建物もやばくないか!?」
離れたところにいるジークルーンたちも建物にしがみつく。
建物の老朽化し中身の洩れ切った貯水タンクが激しい揺れで崩れ転がり落ちる。
辺りを見回せば揺れで周囲の建物が次々と崩れていっていた。
「このタイミング地震かよ!? 今日はいったいなんだ」
「違うよ、今のが地面に落ちたの。エデンガーデンはどうなったのやら。何隻か分の天翔艦を使ってるとはいえほとんどが建物、農具などに使っていて防御用の装甲へと割いてはいないだろうから……」
しがみついている建物の足場にもひびが走り建物が傾き始める。
「ここも崩れる!?」
「古い建物が持つわけないでしょう」
ジークルーンのいた場所はすでに崩れ彼女の姿は見えない。
そしてついにしがみついていた建物が崩れ、ジュンセイとレイショウも崩落に巻き込まれる。
地面付近は倒壊した建物の土煙で視界が遮られ、土ぼこりを吸い込んでむせ込んだレイショウは立ち上がって自分が怪我をしていないことを確かめた。
「ケホッ、建物の屋上から落ちたんだよな、どうして俺は無事なんだ?」
「私が助けたからに決まってるでしょう」
ナノマシンでできた服のほとんどを鎖に変えそれを巻き取るジュンセイが土煙の中から現れ、土埃を吸わないように服で口元を覆うレイショウに近寄る。
「なぁ、アルケミストってのは少しは恥ずかしがったりしないのか?」
「別に誰も好きで半裸になってるわけじゃないんだけどね。ほら感謝」
「助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「ハジメとジークルーンを探さないと」
「言われなくてもわかってるよ」
瓦礫の中から頭に大きな一本角のある巨体が姿を現す。
巨体はレイショウを見つけ近くにあった瓦礫を掴み上げる。
「大鬼!」
「ジークルーンを探さないといけないのに」
更に五つの大きな影が土煙の中で蠢く。
「俺も戦う」
「当たり前でしょ、黙ってみているつもりだったの?」
鉈と鎖鎌を構え大鬼を迎え撃つ。
掴んだ瓦礫を振り回しながら迫ってくる大鬼。
鉈を構えて立つレイショウに鎌のついた鎖を渡しジュンセイは大鬼の後ろへと回った。
そしてレイショウに鎌を手放すように指示を出して一気に鎖を巻き取ると鎌の刃が多くの首に刺さる。
大鬼を倒すことはできなかったがバランスを崩しよろけたところに、レイショウが鉈を振り上げ大鬼の眼孔から脳を串刺す。
しかし倒したそばから次の大鬼が姿を現した。
砂煙がお互いに視認性を悪くし大鬼から距離を取ると同時に別の鬼と出くわす。




