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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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世界を知る為の道 3

 建物の受けから周囲の地形を見て飛び越えられない建物を避けて進む。


 飛び越えるには高さが合わない建物の壁に穴を開け屋上にいた鬼と目が合う。

 すぐにジークルーンが鬼を排除するが、死角にもう一人鬼が隠れており見つかる。


「しまった!」


 ジークルーンの剣先が届く前に鬼は声を上げた。

 鬼の首を飛ばすがすでに建物の下で大勢の鬼が一つの方向に蠢く音が聞こえてくる。


「すみません鬼に見つかりました、止まらず進みます。休憩も難しいかもしれません」

「ああ、聞こえたよ、動き出した音が」


 その多くの足を戸を聞いてジュンセイが顔をしかめ、一番後ろをついてきたレイショウはハジメを抱え直して建物の下をのぞく。


「足を止めれば、数に飲まれるかも。早く行こうジークルーン」

「もっと急がないとだめなのか?」


「いいえ、足さえ止めなければいずれ振り切れるはずです。見失ってくれれば休息も取れます、ですが今は」

「全力で逃げ切れって話か」


 走り出すと掌から両刃の剣の様な黒い刃を生やした鬼が階段を上って出てくる。

 脚をばねにして一気に跳躍しジークルーンたちの後を追って建物を飛び越えてきた。


「何だこいつ!? 手から生えてるのがいつもの鎌じゃない」


 腕からも小さな刃が生えており、初めて見る鬼にレイショウが声を上げる。


「三本角の鬼の仕業だ、ナノマシンを戦うに適した形にしたんでしょう。おそらく数匹以上、三本角の鬼がいるから動きは普通と違って単純じゃないよ!」


 追ってきた刃だらけの鬼をジュンセイが鎖を伸ばし足を絡めさせて建物から落とす。

 しかし、同じような鬼が次から次へと屋上へと上がってくるのでジュンセイは戦うのをやめ次の建物へと飛び移る。


「倒してたんじゃ基地がないか」


 そして足場となる屋上の床を破壊し鬼たちの追跡を困難にさせた。


「跳躍能力は私らと変わらないみたいだ、やろうとすればもっと行けるはずだが筋肉繊維の消耗をさけ長持ちさせるためか? 追ってくるやつの相手がまだ二本角だからいいけど、そのうち一本角を差し向けてくる」

「一気に自分たちの行き先、数本分のビルに大量の鬼を送っておけば、自分たちは積んでしまいそうなものですけど、どうして一気に送ってこないかわかりますか?」


 正面に見える電波塔を見るジュンセイと、周囲に鬼が来ていないか見回すレイショウが口を開く。


「こっちの力を試してるんでしょ、あいつらは斥候、対応能力を調べてそれに合わせて戦術を変えてくると思うよ」

「大鬼は大きいから建物の中を歩けないのかもな、だとしたらこれから追ってくるのは足の速い奴?」


「そうかもね。ここは三本角だけでなくあのアンテナ塔もあるし動きの読め無さは以前の比じゃない。物量で磨り潰す気はないのかも、建物老朽化してるし」

「進むなら今しかないってことですよね」


 ジュンセイたちがそう話したさなかに先回りして長い鎌状の爪を使って壁を這いあがってきた小柄な鬼が現れる。

 その姿を見て先を進んでいたジークルーンが走る速度を緩めながらナノマシンを変化させ武器を構えた。


「子供の鬼……」

「躊躇しないでジークルーン!」

「心苦しいなら俺が戦う、ジークルーンはハジメを預かってくれ」


 背負ったハジメを降ろしミカドの使っていた鉈を左手で構えるレイショウと、ナノマシンを衣服から武器に変化させるジュンセイが小柄な鬼の対処に向かう。

 レイショウの背中から降りたハジメは小走りでジークルーンのところへとやってくる。


「すみません、ハジメさん。あっちこっちにたらい回しになってしまって」

「大丈夫、なんか楽しくなってきた」


「強いですね」

「うん? どゆこと?」


「自分は、これが同じアルケミストのしていることだと思うと怖くて仕方ありません。星に住む人々を守るために戦ったはずなのに、こうして女性や子供まで殺し鬼として次なる殺人を行わせている」

「大丈夫、ジークルーンさんはいい人だよ?」


「ありがとうございます」


 ハジメを背負いジークルーンは道を塞ぐ鬼を倒しながら進む二人の後を追う。

 鬼の攻撃は襲い掛かってくるその数と一度でも攻撃を食らってしまえば感染するというのが恐ろしいところだったが、ナノマシンの力で視力や運動神経を人以上の力を出せまた傷を負っても鬼にならない二人には意味がない。

 行く手を塞ぐ鬼を倒し銀色の傷跡を増やして帰ってくるレイショウ。


「いててぇ、小さいってのはすばしっこくって厄介だな」

「自分が守らなければならないのに、自分の覚悟が足らないばかりに」


「いいって、俺がただついて来てるだけってのもかっこが付かないから。これくらいはさせてくれよ。ああ、ハジメを預かる。ありがとうジークルーン」

「いい円ハジメさんはおとなしくて助かっています」


 鬼を排除して三人は再び建物の上を通って移動を開始し、隣で話を聞いていたジュンセイがつぶやく。


「私がナノマシンの力を貸さないと戦えないくせに偉そうに言う」

「それを言われると、何とも……言えない。すみません助かってます」


 次第に地下図いてくる電波塔を一同は見上げ、そして鬼が追ってくる前にまた走り出す。



 ジークルーンたちが電波塔へ向かっている最中、エデンガーデンの中心部にある大聖堂、祭壇。

 生地の厚いカーテンが閉められ暗い祭壇には多くのろうそくが揺らめく火を灯している。

 天上には赤と黄色の旗が飾られている広い空間で、黄色い刺繍の入った赤い服を着た白髪の女性たちが集まっていた。

 彼女らは薄暗い祭壇の奥に鎮座する大きな女神像を見ながら声を荒げている。


「話が違う! ここにいる人間は保護してもらえるって話だったはず! これ以上は出せない、アトランティカも死んだんだ! 彼女の前任者に話し彼女が役目を終えたことも伝えた」

「私たちは、そのために、自らで守るべきものたちに、手を下してきた。より多くを救うために!」

「満月は過ぎた、約束は守ったぞ! それに新たな鬼を作り追わせる? アルケミストがいるとはいえ、たった数人のに使う量ではない!」

「そちらがその気なら、こちらはもう月には従わない。我々は章を殺してでも多くを生かすためにうまれてきたのだから!」


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