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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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世界を知る為の道 2

 ジークルーンとレイショウが話している間に、ジュンセイは缶詰とインスタント麺を暇をしているハジメにご飯を渡す。

 お礼を言ってハジメはご飯を食べ始めた、


「やばいやつなのか?」

「それはあってみないとわかりません。ただ、弩級天翔戦艦は天翔戦艦や天翔巡洋艦をまとめ上げる存在として生み出された存在です。明星シリーズはこの国で研究していた、他を統率するのアルケミストです……」


「……そうなのか」

「それに話を聞く限り、星に鬼を送り出したのも彼女らだと聞きました」


「鬼をか……、なぁジークルーン」

「何でしょうレイショウさん」


 一度大鎌によって切断されナノマシンによってくっつけられ銀色の線が入った自分の利き腕をさするレイショウ。

 今までのように動かせなくなったが、それでもナノマシンの力で普通より早く回復は進み少しだけ動くようになった指をピクリと動かす。


「今の話を俺にしても大丈夫なのか? これってジークルーンたちアルケミストの人たち同士の秘密なんだろ?」

「どうなんでしょう、自分が生きている時代のことを知らないというのはなんだかよくない気がしまして。自分はレイショウさんにも今この星で起きていることを知っていてもらいたいんです。この星に生きる人として、誰も今の世界の状況を知らないというのは悲しいですから」


「そうはいっても、この間まで俺は鉄屑拾って生きてきた人間で」

「自分がまきこみ振り回していますが、今は自分たちを一緒にこの世界を巡っています。ジュンセイの言う通りなら、今向かっている工場ではレイショウさんたちを保護してもらうことはできないでしょう。ですからまだしばらくは一緒にいます」


 インスタント麺を持ったジュンセイがじっと黙って見ていたので、慌てて二人はそれを受け取り食事を始めた。


 食事を終えると、近くの建物の部屋へと入る。

 壁にひびなどがなく丈夫なのを確認しアルケミスト二人がナノマシンで窓や扉を鬼が入ってこないように補強してその日は就寝した。


 夜が明けると4名は見えてきた電波塔へと向かって歩き出す。

 とはいえ電波塔はまだ薄っすら霞むほど遠くに見えるだけで、半日歩いて到着するかもわからない場所。

 ジークルーンはジュンセイとともに高い建物の上に上がり、遠くに見える電波塔周辺の様子を確認する。


「彷徨う鬼の中に、大鬼が見えますね……」

「うん、さっき向こうに見える建物の窓からちらっと三本角の鬼も見えた。ここからは物資目当てで戦うのは危険か」


「ですかね、普通の鬼ならもうレイショウさんでも戦えるようになってきましたけど、大鬼や数に囲まれると対処はできませんね」

「ナノマシンを扱えないから鎖とか伸ばして逃げられないしね」


「以前はどうやって会いに行ったんですか? 前にチュウジョウと一緒にこの工場に来たんですよね?」

「向こうにある大通りを車を降りて歩いて。ナノマシン使って鬼を蹴散らし向こうに気づいてもらった、どこかに監視カメラがあるとは思うんだけどね。今回はあの二人もつれているし見つけてもらっても通してもらえないかも。安全に行きたいなら見つからない方がいい」


「わかりました、レイショウさんたちがいますから今回は無理そうですね。試してみてガーデンのように決裂し、大勢に囲まれたら逃げようがありませんし」

「置いていって私らだけで行って、帰ったら死んでいたっての目覚めが悪いしね」


 身にまとったナノマシンを長いロープに変えて建物から滑り降り、下で待っているレイショウたちと合流する。

 荷物は鬼の背負っていたリュックを奪い荷物を詰めてジュンセイとレイショウで分けて背負う。


「お待たせしました、工場に近づくにつれやっぱり鬼の数は増えています。自分が先行して道の安全を確かめてきますので、レイショウさんはジュンセイとともについて来て下さい」

「ああ。これから向かう工場ってところに何かあるのか?」


「わかりません、ですが何かあるからああやって人を寄せ付けないようにしているのかと思われます。もっとも自分はあの場所にいるアルケミストに会わないといけないんです。すみません、レイショウさんたちが安全に暮らせる場所を探さないといけないのに」

「ついていくよ、俺らはもう行くところもないからな。それで、俺らは無事に通り抜けられるのか?」


「わかりません、でもここを通り抜けないと工場にはつきませんので。細心の注意を払ってここからは進んでいきたいと思います、戦闘はなるべくせずに逃げながら進みます。逃げている最中に孤立しないように」

「わかった、ハジメ。ここからの移動は俺が背負うからじっとしててくれな。おとなしくできるか?」


ハジメは強くうなずく。


「わかった」

「いい子だなハジメ」


 リュックを肩にかけ両手を上にあげて万歳して待ってるハジメを背負うと、三人は身を屈めて電波塔へと向かって歩き出す。

 近くの建物の屋上へと上がりアルケミスト二人とレイショウの三人は、ナノマシンの身体能力の強化を使って建物から建物へと飛び移り地上や屋内にいる鬼に見つからないように移動を始めた。


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