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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
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救いなき世界 3

 荷物もなく身軽の状態の5人は小走りで廃墟を進む。

 日は刻々と沈んでいき廃墟の建物を反響しレイショウたち以外の複数人の足音が聞こえてくる。

 ジュンセイとジークルーンは音の聞こえてくる方向を探し、レイショウとミカドは逃げている最中に見つけた鉄の棒を持って武装した。


「来るよ、スイセイたちがどんな命令をしてるかわからない。最悪アトランティカの仇うちに私やジークルーンを殺そうとしてくるかも。私たちももうオリジナルの体じゃないし、心も防衛軍に居たころと違ってだいぶ濁ってしまった」

「その100年、自分も一緒に居られたらよかったのにどうして自分だけ眠り続けていたのでしょう?」


「起きていたとしても、ジークルーンはきっと持たなかっただろうね……他もみんな耐えられずに駄目になっていったから。残ったやつらもジークルーンが見て来た通りさ、手の届く範囲だけを守るチュウジョウ、何が正義かわからなくなったスイセイたち、すべてから目を背ける工場」

「追手を倒したら食料をなんとかしなければなりませんね、食料はいつの時代になっても問題の種ですね」


「鬼になれば何も食べなくて済むよ」

「ジュンセイ、そういう言い方は怒りますよ!」


 闇に消えた鬼を発見しやすいように開けた場所へと移動するミカドは話しかける。


「なぁ、ジュンセイさん」

「なに?」


「やっぱり、やっぱりさ俺にもレイショウみたいな力を貸してくれないか?」

「何を言い出すかと思えば、またか。この力をはいどうぞって渡すと思う? さっき言った通りこれは本来、私たちアルケミストだけが使うことを許されていたものなの」


「ならどうしてレイショウには、力を貸したんですか」

「ジークルーンのお気に入りだからだよ! 久々にあったと思ったらずっとこの男のことばっかり、私は何人も心が壊れていったアルケミストの姿を見て来た。ジークルーンにはそうなってほしくないそれだけだよ!」


「だけど……」

「鬼になりかけたら治すからこれを飲め、それで文句はないでしょ」


 ジュンセイがナノマシンを小さく丸め錠剤の形にしてミカドに渡す。


 水がない状態だったがミカドは錠剤を口の中に放り込み頑張って飲み込み、それを確認しジュンセイはミカドの体内のナノマシンを活性化させる。

 急に体に力が入りバランスを崩すミカドをはじめを抱えたレイショウが立たせた。


「大丈夫かミカド?」

「ああ、これで鬼を倒せる。やられているばっかりじゃないんだ」


 小走りで走りながらミカドとジュンセイとの会話を聞いていたジークルーンが割って入る。


「ジュンセイ違います。自分のせいでレイショウさんたちはいま行き場を失いこうなってしまったので、せめて安全な場所まではお世話をしないといけないと思ったんです。それだけですよ」


 ジークルーンが訂正しているとバキリという音とともに足元に穴が開き鬼が飛び出てきた。

 反射的にジュンセイが鎖鎌を飛ばし着地と同時に鬼の足を引っかけ転ばせる。


「来ましたよ!」

「見ればわかる! 私らが戦う、あんたは二人を守れ!」


 飛び掛かろうとしている鬼を穴の中に突き落としジュンセイとジークルーンが穴から次が出てこないかを警戒しながら穴の横を通り過ぎていく。


「鬼は地面を掘ってきた?」

「んなわけないでしょ、がれきに埋まった下水道。足音の数と会わない、まだどっかにいる」


 改めて穴を這い上がってきた鬼はジークルーンたちを追わずどこかへと消えていった。

 離れていく鬼の姿を追うことなくジークルーンたちは走り出す。


「バラけて探していたのでしょうかね」

「私らを見つけても真っすぐ襲ってこない、不自然な動きをしている。鬼を操っていると思われるから、アトランティカの時のように鬼と一緒に新しいアルケミストが来ていて、どこからか指揮を取ってるのかも。何してくるかわからないからあんまり離れないでよ」


 逃げている途中で建物の瓦礫の無い開けた場所に出た。

 枯れた木々に何かがあった場所が点々としており、ジュンセイは瓦礫の無い開けた土地の真ん中で立ち止まる。


「ここがちょうどいいか」

「ここは公園ですか?」


「さぁ、過去の地図を見ないとどこだか知らないよ、とりあえずここで迎え撃つ。見通しはいいし足場もしっかりしてる、不意な一撃はもらわない」

「そうですね、隠れて近づいて来てもすぐにわかります守りながら戦いやすい」


「贅沢言うならもっとナノマシンが欲しいところ」

「確かに罠とかに使えましたものね、ですが自分たちの持てる重量はこれで限界でした」


 ジュンセイたちが武器を構えて待っていると逃げ場をなくすように取り囲むように現れる鬼たち。

 通常の二本の角が生えた鬼が30匹ほど、一本筒の生えた大鬼が二匹。

 すべての鬼が広場を囲むように立ち、ジークルーンたちと一定の距離を取って立ち止まった。


「もう逃げられないな」

「どのみち相手は疲れを知らないから追いつかれましたよ」


 ジュンセイは自分の着ているナノマシンでできた服を男物の上着に変えてミカドに渡す。

 それを不思議そうに見ているジークルーンにジュンセイは溜息を吐きながら言う。


「ジークルーンも、わたしばっかりにやらせないでよ」

「あ、はい。そうですね、鬼に噛まれないようにするための、今用意します」


 ジークルーンはレイショウとハジメに上着を作って渡し羽織らせる。

 鬼の包囲の外側に立つ赤い服を着た影が現れると、鬼たちは一斉に走り出した。

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