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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
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救いなき世界 2

 レイショウたちを乗せた車両は畑を抜け出し廃墟へとたどり着き、そのまま燃料を使い切るまで走り続け停止した車両は乗り捨てられる。



 行く当てを失った五人は日が暮れる夕日を見ながら倒壊した建物の瓦礫に腰掛け休んでいた。

 動かなくなった車両を見ていたレイショウは少し顔色の良くなったミカドに話しかける。


「はぁ、行く当てがなくなったなミカド」

「食べ物もないぜ」


「そうだな……朝ごはん腹いっぱい食べたし、今日ぐらい我慢するか」

「村にいたときも城塞都市に買い出しに行けず食料が底をつくってこともたまにあったしな」


 お腹をさすりレイショウの隣でハジメはじっと近くに生えている草を見ている。

 視線の先を追いかけレイショウはそんなハジメを抱き寄せた。


「ハジメがその辺の草食べようとしてそうで怖いな。お腹壊すから駄目だぞ、ハジメ」

「今日はいいとして、明日明後日と続くと辛いな。どこまで来たのか川からも離れてるし魚や野草を探すこともできないだろうし」


「少し顔色よくなったなミカド」

「まだ刺した感触と流れてきた血の感触が頭から離れないけど、だからって俺も生きていかないといけないから、少しは前を見ていかないとな。今夜、夢には出そうだけど」


 二人は瓦礫の山の上で風で白髪を揺らしている女性たちの背中を見る。


 ジークルーンとジュンセイは瓦礫の山の一番高いところで、逃げてきたエデンガーデンのある方を見ていた。

 彼女らの手にはナノマシンを変形させて作った武器。


「追っては来るでしょうか」

「昨日の満月で大勢鬼にしたというから、もう追手を用意する余裕はないのかも。それでも無理くり人を集めて鬼を何人か送ってくるかもね」


「困りましたね。ジュンセイ、他にどこか町はありませんか?」

「この国にはもう工場しかないし工場は人の受け入れをしていない。城塞都市とあそこを入れて三つがこの国にあるアルケミストの拠点」


「国を出れば言葉が違いますもんね、言葉が違うとレイショウさんたちの暮らしが大変か」

「いろいろ考えてるところ悪いけどもうこの土地を出る方法もないよ、船も飛行機も月が監視してるから見つかればすぐに撃ち落とされる」


「自分の天翔艦があります。飛ばしても着陸する場所はないでしょうけど、なら時間はかかりますが小舟へとすれば……」

「燃料がないよジークルーン、まさか手漕ぎで向かうって言わないよね。あと長旅分の食料を城塞都市で買うとして、そのお金はどこから集めるのさ」


 その質問に答えられなかったジークルーンは口をつぐむ。

 そこへ間髪入れずジュンセイが尋ねる。


「あとさジークルーン、ずっと気になってたんだけど」

「何ですか?」


「どうして鬼を殺さないの? 私と出会ってから、じゃなくてその前から戦ってなかったの?」

「え?」


「とぼけないで、戦いながらずっと見てたよ。最初から最後まで殺す気はなくてずっと鬼を捕らえようとしていた」

「ええと……」


「何がしたかったの、殺したくないってことじゃないよね? 鬼はもう死んでいて殺すことが彼らのためなの。ジークルーンが相手にしている鬼を素早く倒していれば、あのミカドってやつがアトランティカを殺すこともなかった」

「はい……、そうですね自分が鬼を殺していれば、変わった、かもしれません」


「昔は当然として100年たった今の人間も、人を殺すことには慣れていない。でも私たちは違うでしょ。戦い殺すために生まれてきた、私たちが彼らの代わりに血で汚れなければならない」

「ええ……」


「やっぱり再開した時に遊びじゃなくて殺しておくべきだった。そうしたら優しい夢を見たまま終われたから。このままじゃジークルーンも他のアルケミストと同じようにおかしくなよ、きっと」

「……ええ、そうですね。チュウジョウやスイセイ、あなたもこんなことを乗り越えてきたんですものね。すみません、自分はまだアルケミストだという自覚が足りてませんでした」


「もうあまり覚えていないけど、私も月から帰ってきて最初に鬼を見たとき、戦うのを躊躇っていてジークルーンみたいだったのかもしれない。けど、ジークルーンには私たちみたいになってほしくない。あいつらは鬼、この100年調べ上げもう助からないのは私たちは知っている、ジークルーンにも伝えたよね、月に残ったアルケミストに操られた彼らを助けるためにも頭を破壊しなければならない。わかった」

「はい、次はレイショウさんたち、それと鬼となった彼らを助けるために自分は戦います」


 ジークルーンの言葉を聞いてジュンセイは立ち上がる。


「なら、今度はしっかりねジークルーン」

「え、ええ。はい、守るために必要ですこれからは自分もしっかり戦います」


 ジュンセイの視線の先には真っすぐこちらへと走ってくる人影が複数。

 日が落ち暗くなっていく廃墟の闇に消え、奴らが向かってくる姿を確認したジークルーンも武器を手に立ち上がった。


「レイショウさん、ミカドさん、ハジメさん! 鬼が来ました、追手です!」

「何だと、また戦うのか……あの、ジュンセイさん。俺にまたあの力を借してくれ」

「はぁ、アルケミストの力はそう簡単に人には貸せない。規則だから、もう防衛軍も国もなくなってその規則を守る必要はないけどね!」


 立ち上がるレイショウは背を向けて瓦礫の山を下りていく。

 ジュンセイから借りた力でハジメを抱えてミカドとともにジークルーンたちを追いかける。


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