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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
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地獄 4

 口からも歯を砕き釘のような黒い歯を伸びてきて変身を終えた鬼たちはジークルーンたちの方へと飛び掛かってきた。

 すでに彼らに人格はなく他で見た鬼と変わりはなく勢いに任せて攻撃してきた。


「後ろに下がって! 鬼に捕まればアトランティカが私のナノマシンを奪い取る。そしたら鬼にされるよ!」


 その言葉にミカドも後退りしレイショウはハジメを抱えて後ろに下がる。

 レイショウたちを守るためジークルーンが刃の尖れていない軍刀で飛び掛かってくる鬼を止めるが、その力に受け止めたジークルーンが膝をつく。


「早い、それに攻撃が重たい!?」

「鬼に変わったまかりの人間は、身体能力だけなら私らと同等だよジークルーン! 油断すれば十分やられる。それにアトランティカが殺す気なら今までのように無傷で勝てるとも思わないで!」


 ミカドに飛び掛かろうとした鬼の足にジュンセイは鎖を伸ばして捕まえ転倒させた。

 ジークルーンは素早く軍刀を刺す股に作り替え鬼を取り押さえようとしたが、鬼は刺す股を掴み力任せに跳ね返す。


「今まで、こんな動きの鬼、いませんでしたよ!」

「私はちょっと話している余裕はない!」


 数でも力でも明らかに劣勢なジークルーンたちを見てレイショウたちも応戦しようと何か武器を探すが、周囲には作物の植わった畑しなくどこを見渡しても農具などは落ちていない。


「……ミカド、ハジメもう少し下がるぞ。俺らにできるのは邪魔にならないことだ……」


 歯噛みし何もできないレイショウは戦う二人を見る。

 ジークルーンは鬼の一人をジュンセイは鎖を伸ばして数人の鬼を足止めしているためナノマシンで身体を強化しても力負けして引きずられかけていた。


 鬼の足を鎖でつなぎ留めジュンセイは残った鬼を引き寄せて鎌を鬼の首に立てる。

 だが鬼はジュンセイの攻撃が届く前に躱し、その勢いのまま鎌のような爪の生えた足で彼女の顔をひっかく。


「クソッ、アトランティカ!」


 鬼のためらいの無い攻撃にジュンセイは小さく言葉を漏らし、赤い水滴が宙を舞い畑や畦道に飛び散る。

 ピンと張られたワイヤーに腰掛けアトランティカは答えた。


「鮮度が大事なんです、鬼にした最初の数か月は普通の人間以上の力を出せます。もちろん指示を出すものがあってですけど」


 傷はすでに銀色の瘡蓋を作って血を止めていたがジュンセイの負傷に彼女が止めていた鬼がレイショウたちの方へと駆けていく。

 鎖を伸ばすにも着ている服の大半を鎖に変え他の鬼の足止めに使っている。


「お前! 力を一時的に与えるから、妹と友人を守れ!!」


 ジュンセイが叫ぶとレイショウの体に入ったナノマシンが活性化し始め力がみなぎっていく。


「もちろんだ、ジークルーンに守られっぱなしじゃない! けど武器が!」


 しかしどこを探しても武器はなくそうこうしている間に、ジュンセイの拘束を抜けた鬼が棘だらけの大きく口を開け長い爪を構えて飛び掛かってきた。


「ジークルーン、武器をくれないか!」


 とはいえ彼女も鬼と戦いレイショウの声に耳を貸す余裕もない。

 素早かった鬼の動きもとらえられるようになりレイショウは反射的に攻撃をよけながら飛び掛かってきた鬼を打ち返すように額を殴り飛ばす。


「動きが、見える!?」


 殴られた鬼は畦道を転げ落ちていきレイショウは自分の力に驚愕した。


「何だこの力!? 痛ってぇ」


 続いて逃げだした鬼もレイショウは攻撃を見切り先ほどと同じように殴り飛ばす。

 やられてはいないもの武器を持たない生身の人間では到底太刀打ちできない鬼を、殴り飛ばしたことにアトランティカはため息をつきながら彼らに向かって歩き出した。


「全く、ジュンセイは私を困らせる。どうやら、私自らが鉄槌を下さないといけないみたいですね」


 アトランティカは赤と黄色の服を大きな槌を作り替えるとそれを軽く振り回しながらゆっくりレイショウへと歩み寄っていく。

 重たいはずの武器をまるでバトンのように軽々と振り回す彼女を見てレイショウは後ずさった。


 着ている服の布地をほとんど武器に費やしたため、アトランティカの衣服は胸と腰回りを隠すだけのとてもきわどいものになる。

 しかしそんな彼女に見惚れる暇もなくレイショウはミカドにハジメを託し前に出る。


「手足をつぶして終わりにしましょう。あの小さい女の子は逃げてもすぐに捕まえられるからいいとして、お二人さん暴れると痛い思いをしますよ」


 杭を打つような大きな槌をさらに大きくした巨大な鉄塊を片手で持ち上げ肩に担ぐと、鬼を押さえるの苦戦するジークルーンとジュンセイの間を抜けてレイショウたちの方へと歩み寄った。


「ここは人を保護してくれるいい場所だと思っていたのに……アルケミスト、あんたもジークルーンたち同じなんだろ? チュウジョウって人は、俺らをからかってたけどそれでも大きな町を、大勢の人を守っていたぞ!」

「私たちだってね人を守ってきましたよ、あなたの両親が生まれるずっと前から。ただ人は増えすぎるとよくない考えを持ち争い合う。小さな子供はデザートの量や玩具で、大人は仕事量や人間関係で。些細な小さなものや彼らの一生を左右する大きなもので揉め事を起こします」


 アトランティカは大きな槌をを振り上げるとレイショウへと向かって駆け出す。


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