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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
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楽園 2

 大きな白い建物。

 掃除され汚れ一つ無い、白い階段とその先に見える柱や壁。


「この階段、靴のまま上っていいのか?」


 レイショウは汚れた自分の靴に視線を落としながら、目の前の十段ほどの白い階段を見ると返事は階段の受けから帰ってきた。


「どうぞ、そのまま階段をおあがりください。汚れたらまた掃除すればいいだけですから」


 移動中に見た畑で働く人たちと違い、皴も汚れもほつれもない赤と黄色の質の良い綺麗な服を着たものたちが現れ階段の上から手招きしている。

 綺麗な服装や纏う雰囲気から彼らは明らかに立場の違う存在だとわかり、レイショウたちは言葉通りに受け取ってよいのか顔を見合わせた。


「登ろう、ここでぐずぐずする必要もない」


 ジュンセイが最初に階段を上り始める。

 普段、村の家にいて狭い空間で運動などしてこなかったハジメがはしゃぎすぎて、階段の途中で疲れてしまいレイショウが背負って階段の上まで運ぶ。


「ようこそ、話は聞いています。昨晩鬼に襲われたと、辛い目にあいましたね。ですがもう大丈夫ここは鬼とは無縁です。巫女様が守ってくださる」

「巫女?」


 赤と黄色の服を着たものたちにジュンセイとジークルーンは取り囲まれ、何人かが手を合わせて拝む。


「ジュンセイこの方たちは?」

「神官……っていえばいいのかな、後ろの彼らを引き渡したら私らは帰るだけ。長話をする必要はないよ、さっさと帰ろう長居はしたくない」


 白い建物の奥から足音が聞こえてくる。


「ジュンセイ? そちらはもしやジークルーンではありませんか!? どうしたのです突然、何の連絡もなく! ああ、ああ、懐かしい!」

「巫女さま!」


 神官たちの後ろから声がし、神官たちが一斉に道を譲り頭を深く下げる。


 開けられた道の先に金色の瞳をした白い髪の女性が現れ前に出てきてレイショウたちを見回す。

 彼女は神官たちより一層鮮やかな赤い服を着ていて体中に金属の装飾品をつけている。


「二人が来ているだなんて報告にはありませんでした。ああ、ああ、なにからお話ししましょう。話したいことがたくさん」

「久しぶり、今のスイセイでいいんだよね? とりあえず、神官のいない場所につれていってくれる。私とジークルーンは神様ごっこする気はないから」


「ええ、ええ、我々アルケミストだけで話しましょう。こちらへ、ハーブ園がいいでしょうすぐハーブティーを用意させますね!」


 ジュンセイとジークルーンを連れ白い神殿の奥へと向かおうとする赤い巫女は、頭を下げ続ける神官たちに振り返った。


「保護する彼らに洗礼を、私の知り合いのお客人です。彼らの同意を得られ次第儀式を進めてください」

「かしこまりました、巫女様の言われるとおりに」


 巫女がいなくなると神官たちは頭を上げレイショウたちについてくるように言い神殿の奥へと向かう。

 神殿の中は赤と黄色の絨毯と天幕がかけられ、壁には昔の街並みとみられる絵が額縁に入ってかけられている。


「お三方は他に行く場所がなくこちらへ来られたのですね?」

「はい、村は壊滅的な状態で頼れる場所もなく。途方に暮れているとここを紹介され連れてきてもらいました」


 神官たちが先を歩き誘導し体力が回復したハジメがレイショウと手をつないで、ミカドは白い建物を物珍しそうに見回しながら歩く。


「そうですか、ここへこれたのは運がよかったですね。ほとんどの方はこの場所、エデンガーデンのことを知らないようで、行く当てもなく彷徨いたまたまここで保護された方の多くがもっと早くこの場所へ来られたらと後悔していました」

「そうなんですか。たしかに俺らも行く当てがなくて、ジークルーンの話を聞かなかったらここの場所もわからなかったんですけど」


「外に出て多くの肩にこの場所を広めたいと考えていますが、巫女様が危険を冒してまですることではないと。救われるものは自ずとここへ導かれてくると」

「はぁ……」


 通された広間。

 一方方向へと向かって長椅子が並びその先には祭壇があり神官たちは祭壇へと上がっていき、レイショウたちに向かって長椅子に座るように促す。


「さぁ、到着しました。こちらの準備が整うまでどうぞ席についてお待ちください」


 言われたとおりに三人は祭壇に一番近い長椅子に座る。


「ハジメ、体は苦しくないか? また苦しくなったら言ってくれよおんぶしてあげるから」

「もうだいじょうぶ、昨日から体がすごく元気なの」


 祭壇の上で何かの準備を進める神官たちを見ながら、ハジメをはさんでレイショウとミカドは声を潜めて会話する。


「城塞都市とはまた別の町……ここは人を受け入れてくれるんだな? どうして、皆ここに来ないんだろうな」

「さっき話してくれた通り、知られていないんじゃないか? 村は個別にコミュニティを取ってるから」


「城塞都市でもここの場所は聞かなかったぞ? なのに、アルケミストの人はここを知っていてここを紹介してもらった。しかも知り合いらしい」

「たしかに、ジークルーンとも知り合いらしいから大昔からいた人らしいしな」


「最近、俺の知ってる世界が壊れてきてる気がする」

「常識も村も壊れちまったけどな」


 神官たちと同じ服装の老人がやってきて神官たちが頭を下げる。

 老人が祭壇の上に上がると神官たちは一列に並び。


「司教様が到着なされた。これより、楽園歓迎の儀を行う。迷い人3名、前へ!」


 神官に呼ばれ長椅子に座って待っていたレイショウたちは立ち上り祭壇へと歩み寄った。


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