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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
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慟哭の夜 8

 ジークルーンとジュンセイは鬼の襲撃を警戒しながら負傷兵を連れて装甲車に乗り込む。

 運転手に迂回するように伝え装甲車は再び廃墟を走り出す。


「鬼、襲ってきませんでしたね」

「もうこのあたりにはいないと思う、村へと向かう移動中の一団だっただろうし」


 道が塞がった大通りを離れ細い道を走る。

 避けきれない時折瓦礫に取り上げ車内は大きく揺れた。


「村にはどのくらいの鬼がいると思いますか?」

「5,60くらいだと思う。動ける兵士がいても動ける場所の限られた村の中での戦闘になれば厳しいよ」


「村の入り口にはバリケードがあります、まだ間に合うはず」

「一匹二匹ならどうにかできるだろうけど、武器がなければ防衛線なんてこの満月の日には無意味だよ。行っても胸が苦しくなるだけ」


「ジュンセイはいいんですか、守るべく人がこんな理不尽で死んでいく。我々は人を守るのが使命だったはずなのに」

「今はそういう時代だから」


「嫌だからジュンセイは自分いついて来てくれたんじゃないんですか?」

「私は、ジークルーンと戦いたくって……」


「今日のお昼あたりに久しぶりに出会ったときにも襲ってきましたね。精神がとても不安定なんだとか、どうして自分と戦いたいのですか?」

「……わからない。ただ、次ジークルーンとあったら決着をつけたいと、それだけが頭に残って」


「ああ、そういえば自分が眠ることになった調整を受ける前の日に、空に上がったときの敵艦の撃沈数を競おうと話を持ち掛けてきましたね……確か自分は断ったはずでしたけど」

「わからない、100年も前で私は自分もよくわからない。ただ、ジークルーンに会ったら勝負するんだってことしか」


「そんなフワフワした理由で襲って来たのですね。そりゃ我に返れば自分が何をしているかわからなくもなりますよね」

「……うん」


 運転手が河原の土手が見えてきたことを報告してくる。

 ジークルーンは川に沿って進むように指示を出し地下水路のある場所が見えてくると車両を止め、助けた兵士や運転手、応急手当てを終えた負傷兵たちを武装させて連れ水路に向かう。


「ここ?」

「ええ、この地下水路の先に村があります」


 それぞれライトやランプを手に持ち小さな車両程度なら進める配管を、その手にした明かりで照らし耳を澄ませ慎重に進む。


「村には入らず、固まって行動するように。開けた場所には出ないように、一本角がいる可能性がある火力が分散すると倒せないから」

「手慣れてますね、ジュンセイ」


 村に向かう道をジークルーンとジュンセイを先頭に兵士たちが銃を構えて後に続く。


「鬼とは何十年と戦って来たからね。ただ闇雲に突っ込んでくるだけだし武器と数があれば安全に対処できる」

「頼もしいですよ、村の人も困っているはず急ぎましょう」


 村を救おうと勇み足になるジークルーンへと申し訳なさそうに声をかけるジュンセイ。

 小さな声でも配管を反響し、うねる水路は振り返ればすでにもう出口は見えない。


「そのさ、ジークルーン」

「何です?」


「たぶんだけどもう間に合わないと思う。行っても村には誰もいないか、鬼が待ち受けているか。知り合いがいるんでしょ、あの男も……ジークルーンは後ろに下がっていた方がいいかも」

「……自分は、自分の目で見ないと信じません。実は鬼はここにきていないのかもしれないじゃないですか、それなら無事を確認し町へと帰ります。……もし、レイショウさんや他の皆さんが鬼になったというなら自分はその眼で見て、受け止めないといけないんです。私たちアルケミストがやっていることを」


 暗い通路の先に村の明かりが見えてくるとジュンセイも鎖の着いた鎌を用意し武器を構えた。

 ジャラリと音を立てるその武器にジークルーンは興味を持ち尋ねる。


「ジュンセイなんですかその武器は?」

「見ての通りの鎖鎌、使い方はだいぶ違うけど狭い場所や障害物が多いと意外と便利だよ」


 少し歩いて見えてきた村の入口。

 そのバリケードは壊され近くには頭部を損傷した鬼が倒れている。

 走り出そうとするジークルーンをジュンセイが腕を掴んでとめた。


「やっぱり手遅れ、戻ろうジークルーン。村は壊滅だ」

「まだ門が見えただけ、まだどこかで戦っているか隠れてつけが来るのを待っているかも」


「戦っているには静かだね、鬼は一度見た人間を記憶し他の鬼へと共有する逃げ切られることはあっても、隠れているなら見つけ出す取り残しはない」

「もういいです自分一人で見てきます」


 ジュンセイの手を振りほどき走り出すジークルーン。

 壊れたバリケードを乗り越え村の中へと入る。


 崩れた家、排気口の無い村にはプラスチックの焼ける臭いが立ち込め、ライトの光も煙に阻まれうまく前を照らせない。

 村のいたるところに動かなくなった鬼が倒れていてジークルーンは鬼の顔を一つ一つ確認していく。


「人の気配がない……レイショウさんいませんか!?」


 意を決し大声を出すが返事はなく鬼の姿もない。

 辺りを見回しジークルーンはレイショウの家のあった場所を訪れる。


 他と同じように倒壊し家の残骸をどけるが家の中には誰もいない、そこへ兵士をバリケードの前に待機させ追いかけてきたジュンセイが合流した。


「誰もいないでしょ、この様子は襲撃にあった。もう村は誰もいないよ、まだ近くに鬼がいる。返ってくる前に逃げよう」

「まだです、この先に村長さんの大きな家がありますそこを確認してきます」


「そこを確認したら諦める?」

「……わかりました、引き返します」


 ジークルーンの後に続いてジュンセイが村の中を走り、暗闇の中ぼんやりと見えてきた大きな家の前には大きな鬼が倒れている。

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