表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
25/102

慟哭の夜 6

 近寄ることができず大鬼にを見て歯ぎしりをするミカド、大鬼のそばに見慣れた大きさの鬼がやってきて壊れかけたバリケードへと到達した。

 通常の鬼なら数匹程度は金網で食い止められるものの、その金網も大鬼がそのバリケードを壊そうとしている。


「このままじゃ、壊されるぞ……村の命がかかってる。やっぱり怪我を覚悟で首を取りに行くしかないか。レイショウ、奴の気を引いてくれお前の攻撃で顔を守っている間に後頭部をつぶす手伝ってくれ」

「ミカド……」


「できれば反撃をもらいたくないけど、薬の用意と傷の応急処置は頼んだぜレイショウ」

「鬼にはさせないから絶対に死なせないからな、ちゃんと致命傷を避けてくれよ」


 レイショウは転がっている石や鉄の礫を拾い上げ大鬼へと投げつけたが動きは止まらない。

 ミカドが再び手斧を拾い上げ鉄骨を登りバリケードの上に上がろうとするが、そこへ一番所に村長を呼びに行った村人が駆け足で戻ってくる。


「村長は!?」

「ここ5番以外に3番と4番と7番の道に鬼だ! ここに来るのはまだ時間がかかるから時間を稼げと!」


「これ以上どうやって、時間を稼げと! 普通の鬼も到達し始めたぞ」

「今村長のいる3番にも大鬼が出たんだ、4番にも大群が来ているらしい」


「3番か……そんなに、遠くないけどだからって順番を待ってるほどの余裕もねぇぞ」


 音は村中に響き暗闇の一角に白い閃光が連続して瞬く。


 大鬼が組まれた鉄骨の一部を破壊したため、手斧を振り上げて一本角の大鬼へと向かうミカド。

 レイショウと残った村人が慌てて長い棒を持ち大鬼の顔を狙って突く。


「行くぞ、ひきつけるの頼んだからな!」

「ああ」


 レイショウたちが大鬼の注意を引いて、その間に近づいたミカドが手斧を高く振り上げた。

 その瞬間大鬼の攻撃を受けていたバリケードが耐えかねて崩壊する。

 足場が揺れバランスを崩してミカドはバリケードから落ちた。

 硬い地面に落ちたミカドが駆け寄ってきたレイショウの手を借りて起き上がる。


「何が起きた!?」

「バリケードが……」


 大鬼が壊したバリケードの隙間から鬼が入り込んでくる。

 鬼が誰かに飛び掛かる前にすぐにレイショウが棒を捨て、手斧を拾い振り上げて村に入った鬼をその頭を狙う。

 斧は鬼の後頭部に刺さりレイショウは死んでいるとはいえ人を傷つけたことに気がひけながらも頭から引き抜く。


「バリケードが壊れた!」

「見りゃわかるよ! ああ、くそ入ってくるぞあのでかい鬼が!」


 一本角の大鬼が壊れたバリケードを乗り越え村へと入ってきた。

 周囲を見て大鬼は一番近くにいるミカドとレイショウの方へと歩みよる。

 悲鳴を上げ逃げ出す村人らの背を見てミカドが叫ぶ。


「バリケードが壊れたことと鬼が侵入したこと、村への警報を! 来られたバリケードの修理に人手もいる、動けるやつ連れてきてくれ! あと、村長を最優先でこっちに連れてこい!」


 聞こえたかどうかわからないが村に散りじりになって逃げていく村人に伝え、その横でレイショウがミカドの腕を引く。


「ミカド、俺らも離れよう! こうなっちまったら早くハジメを安全な場所に連れて行かないと」


 村に入ってきたのは壊れたバリケードを乗り越えてくる大鬼だけで他に鬼の姿はない。

 それを見てミカドは再び斧を構える。


「レイショウ動けるか? ここで俺らがあいつをとめればいいだけの話だ、倒してしまえば村から鬼はいなくなる」

「うまくいくわけない! 相手は俺らより頭二つ分くらい大きいんだぞ! それに攻撃を防御される、絶対失敗するって」


「他に鬼はいない、チャンスはいまだけだ。バリケードの受けから攻撃は出来なくなったけど何とかしてこいつを転ばす」

「くそ、二度失敗してるのにまだやるのかよミカド! 付き合うぜ!」


 二手に分かれ片方が鬼の注意を引く。

 鬼はレイショウを追いかけて動き出し、狙われていないミカドが背後に回る。


「頼んだぜ!」


 バリケードの向こう側から見たより近くで見て一層大きく見える一本角の大鬼。

 レイショウを狙って大鬼は腕を振り回し手に生えた長い爪が伸び、斧を振ってその攻撃を弾こうとするが鬼の力の方が強くレイショウは斧を手から弾かれてそのままバランスを崩して後ろに倒れる。

 大鬼はレイショウを狙って両腕を振り上げて、勢いよく振り下ろす。

 そのタイミングでミカドが大鬼の脚を渾身の一撃で斧で払いバランスを崩させた。


「レイショウ!」

「ああ!」


 起き上がったレイショウが倒れた大鬼を見る。

 近くに頭が降りてきたことで攻撃がしやすくなったその頭に、立ちあがったレイショウは両手で握った斧を振るう。

 大鬼は頭を上げ斧の刃を火花を散らしてレイショウの一撃をとめる。


「クッソ弾かれた!」

「まだだ!」


 レイショウが離れすぐに体勢を立て直したミカドが同じように全力で斧を振り下ろす。

 今度は角に弾かれないよう狙った大鬼の太い首元に、ミカドの手斧が食い込んだ。


「一撃じゃ落とせないか」

「もう一回!」


 起き上がろうとする巨体にレイショウがもう一撃を加える。

 二撃加え鈍い音を立て骨が砕け巨体の首が落ちた。


「やった! ……落としたぞ!」

「ああ、勝った……あとは他の奴らが入ってくる前にバリケードを修理して……」


 二人が壊れたバリケードをどうやって修理するかを考えながら見ると、そこには一本角の巨体の影が二つ立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ