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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
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慟哭の夜 5

 村の外につながる配管の奥、暗闇から現れる鬼。



 今まで見て来た他の鬼と同じように手足の爪から黒いか間のような刃物が伸び口には長くとがった歯。

 服は内側の肉体の成長に合わせられずに破けていてほとんど体を覆う布地がなく、バリケードの金網より高い位置に一本大きな角の生えた頭のある大きな鬼。


「「何だこいつ!」」


 ギリギリ人の身長の2倍はないぐらいで体のほとんどが筋肉のような怪物。

 普段見慣れた鬼のありえないほどの異常な大きな姿に、ミカドやレイショウの他何人間の村人が悲鳴を上げてバリケードから離れる。

 ライトに照らされている巨人は村へと向かって真っすぐ進みバリケードに阻まれその歩みは止まった。


「何だこいつ!! こんなの今まで見たことないぞ!」

「でかい、どうするんだよ。今まで見て来た鬼より首も太いし、首を跳ね飛ばすのは無理そうだぞ!? 頭かち割るのか!? あそこまで届くのか!?」


 一本角の大鬼はバリケードにつかみかかり力を籠めると、金網は簡単に千切れ組まれた鉄骨が軋みを上げる。


「やばい、バリケードが! レイショウどうにかしてとめないと!」

「ど、ど、ど、どうしよう!? 村長を待つか!?」


「時間稼ぎしないと間に合わないかもしれない。あいつの力じゃこんなバリケードすぐ壊されちまいそうだ、こいつを倒しても奥から他の鬼が来てたら村はおしまいだ」

「壊される前に俺らだけで戦うのか!?」


 巨人がバリケードを破壊する姿をただ見ているわけにもいかず、我に返ったミカドと手斧を持った村人が三人、鬼を排除すべく立ち向かう。

 木箱や鉄骨の上に上って高い位置にある頭を狙いやすくし少しずつバリケードを破壊している大鬼へと近づく。

 守っていた村人の何人かが他のバリケードへと応援を呼びに行き、残ったレイショウは救急箱を抱えバリケードの周囲と鬼をライトで照らす。


「まだ他の鬼はいないみたいだ。俺が周りを見ていく」

「任せたレイショウ。他が来ちまう前に倒す、行くぞ! せーの!」


 ミカドの合図に他の村人も斧を振り上げ飛び掛かった。

 その瞬間、大鬼はバリケードの破壊をやめて両手で頭を守る。


 手から生えた鎌の様な爪で金属がぶつかり合う響きと火花を散らして止められる斧の刃。

 攻撃がとめられたことに一人が驚いて後ろに下がり足を滑らして足場にしていた箱の上から落ちる。

 ミカドが再度違う角度から頭を狙うもその攻撃も腕を動かし黒く長い爪に止められた。


「何なんだこいつ、反応が無茶苦茶早えぞ!」


 一本角の大鬼は斧を取り上げようと腕を伸ばし、ミカドや村人たちは鬼の手の届かないバリケードの奥へと退避した。


「何だよこいつ、自分の身を守ってきたぞ!?」

「ああ、見てた。しかも武器を奪おうとしたそぶりも見せた、今までは襲い掛かることしかしてこなかったに。こいつ見た目だけじゃなくて今まで見て来た鬼と明らかに違う」


「くそ村長はまだか!? こいつを斧で倒すのはほぼほぼ無理だ、バリケードが破壊される前に村長が持ってる銃で倒してもらわないと」


 振り返るが暗い地下、太い柱と廃材で建てられた家しか見えず人の気配はない。

 倒す手立てを考えながら焦るレイショウたちを虚ろな目で見ながら、大鬼は再び力任せにバリケードを破壊し始めた。


「そろそろ村からこっち来てるのが見えてもおかしくないのに、誰一人来やしない! まさか武器どこ閉まったか忘れて探してるとかじゃないだろうな!」


 苛立つミカドが補強用の資材を蹴り飛ばす。


「とりあえず時間を稼がないと、目を狙えば脳へと攻撃できるだろ? ダメか?」

「やらないよりはかマシだ! それで行こう!」


 そういってレイショウは救急箱を置き長い棒を手に取った。


「防がれたとしてもそれで足止めできるしな」

「仕方ない、みんななんか長いものを持て。近づかないで攻撃できるものを探せ!」


 村へと迫る脅威を黙って見てるわけにもいかず、ミカドたちは手斧から取り押さえる用の刺す股や補強用の資材の長い金属の棒を手に取り大鬼をバリケードから遠ざけようとする。

 頭を狙うと大鬼は破壊を止めて頭を守ろうとする動きを取ったため、レイショウたちは皆で棒を掴まれないように気を付けながら頭を突いた。


「やっぱりしっかり俺らが攻撃することを理解して自分の意志で頭を守ってるのか、やはりこいつは普通のやつらとは違う!? こいつは村に絶対入れちゃだめだ」

「そもそも鬼は村に居れたらやばいって。でもこれ、効いてるのか?」


「足止めできればそれでいい! 早く村長を、この未知の怪物をやっつけさせないと」

「どこに居るんだよ村長は!」


 頭部への攻撃が時間稼ぎとして有効だとわかり大鬼にバリケードを破壊させないように攻撃を続ける。

 それを見ていた村人がまた一人村長を呼びに村へと向かった。


 レイショウたちが力を込めて棒で大鬼を突いていると、村のどこからか銃の連射される銃声が響いてくる。


「どこだ! どこから聞こえてくる? これって銃の音だよな?」

「どこだか知らないけどこっちを優先するように誰か言って来てくれ! 普通の鬼なら十分足止めできるバリケードが壊されるまえに!」


 村の中をこだまする銃声に明かりを消して眠りについていた家々に明かりがつき、不安げに外の様子をうかがう顔が見えた。


 銃の射撃音は反響し音の発生源の方向が特定できない。

村中に響く銃声に驚き攻撃の手を止めるとレイショウの持っている棒が捕まれ、そのままへし折られる。


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