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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
1章 --終末世界に鬼が住む--
2/102

廃墟の地下で 2

 階段は地下のいくつかのフロアに続いていて、地下を進み探索中にいくつか部屋を見つける。

 一つ階段から近くにあった部屋の中を覗けば、埃が積もっているものの部屋の中は大戦を起こしていた旧時代のままの状態。


 --すげぇな、ここは瓦礫に隠されてたこともあって手つかずのままだ。金属製のロッカーや鉄の机があんなにここは宝の山だ。


 周囲を持て周り声を上げずに喜ぶレイショウ。


 --ならもう少しだけ、これだけ荒らされていないのなら小さくてもかなりの価値がある貴重なものがあるかもしれない。


 ここまで来たらとレイショウはペンライトを持ち直し、さらに階段を下り奥へと進んでいく。


 --大戦中は何の施設だったんだ。ここ階段と通路、部屋はまばらにしかないけど区連れている場所は少ない頑丈な建物だったんだな。しかし……先にどこまで続いているのか下まで行ってみるか。


 明かりの届かない何も見えない暗い通路を進み、階段で降りれる一番下の階にたどり着いた。

 まだ先があるようだったが下へと下るエレベーターの搭乗口があるのみで今の装備ではこれ以上、下に行けそうにないと男は引き返す。


 --こんな中途半端なところにエレベーター……今は装備が無くて下には降りれないか。まぁ、この位置を覚えておいて、今度皆でここのものを取りにくればいいだろ。


 一人言い聞かせるようにそう言って扉を開けると懐中電灯で部屋中を照らす。

 壁際は荷物が多く隅々まで懐中電灯で照らすが、その部屋のすべてを確認することはできない。


 --ここは他と比べて広いな、物も多いし倉庫か何かか? 使えそうなものがありそうな……。


 部屋の中に入りその中を調べると物の多い部屋の真ん中にぽつんと大きな装置が置かれていた。

 大きな箱の様で小さな懐中電灯で周囲を照らし操作するコントロールパネルを見つける。


「この機械はまだ動いているのか、見た感じ傷もなくて綺麗だし持ち帰れればかなりの高値で売れそうだけどこの大きさは今すぐには持ち帰れはなさそうだ……やっぱり明日か」


 大きな箱を懐中電灯を照らして回り装置についていたパネルに触れてみるが反応はなかった。

 積もった埃を払っているとパネルが光る。


「動いた!」


 パネルに触れていて装置を起動させるスイッチに触れたようで、大きな振動と音を立てて機械の箱が四方に割れるように開く。

 起動とともに箱が光り部屋内は薄く照らされる。


 --今更だけど爆発するようなやばいものじゃないよなこれ?


 動き出した機械にレイショウは部屋の外まで後ずさりしていると、光が弱まり開いていた箱が周囲の埃を少し巻き上げフィンが大きな音を立てて動きだす。

 音に驚きレイショウは自分の足にも連れ転倒し、どうなるのかと結末を見届けていたが数秒で箱の音が止まる。


 少し待って箱が再び動き出さないことを確認すると、レイショウは立ち上がって恐る恐る近づいていく。


「何だったんだ……それは何の機械だ何が入って……」


 そして開いた箱の内側をペンライトで照らす。

 機械の箱の中はバスタブのようになっており、長く純白な白色の髪と透き通るような白い肌の少女が呼吸器や固定具につながれ透明な水の中に沈んでいた。


「女の子? 綺麗な顔立ちだ……なんでこんな箱に女の子が」


 見惚れるようにレイショウが少女の全身を懐中電灯で照らしていると、水中で少女が金色の瞳を開く。

 彼女が動き出したことにレイショウは驚き箱から離れる。


「動いた!」


 そして彼女は水の中から起き上がると、ザパンと音を立てて女性は立ち上がりバスタブ内の液体が零れた。

 液体の中でいきなり動き出した少女に驚きレイショウは懐中電灯を落として尻もちをつく。


「ケハッ、ゴホッゴホ。カハッ、カハッ。あ、あ、あーゲホッ」

「だ、大丈夫か?」


 白い髪金目の女性はむせ返り肺の中に溜まった液体を吐き出しながら液体の入った装置から出てきて、女性は尻もちをついたレイショウを見下ろす。

 そして息を整えると背筋を伸ばし腰に手を当て彼女は口を開く。


「ええ、誰ですかあなたは? 見たところ一般人ですよね、どうしてここにいるんですか? ここは関係者以外立ち入り禁止のはずです」


 澄んだ声でレイショウに声をかける女性。


「聞いていますか? 自分の言葉は通じていますよね」


 彼女の声に聞き入りレイショウは少し遅れてから自己紹介する。


「お、俺は。ヤソウ・レイショウ、薄葉鉄回収を仕事にしている。ここには鉄を探しに来た」

「自分はジークルーン・アインホルン、この基地に置かれている飛翔艦キルシュブリューテの関係者です。鉄を集めに? 何のため、とりあえず落ち着いて話を聞くために場所を変えましょう」

「飛翔かん? ジークなんとかってなんだ、なんですか?」


 ジークルーンと名乗った少女は顔についた水を払いレイショウを睨みつけた。



 レイショウが落とした懐中電灯を手にしたジークルーンは問いかけた。

 彼女は鋭く眉を吊り上げ彼を睨みつけている。


「と、とりあえず服を着てくれ、ください。つっても服がないのか、俺の上着でよければ……」

「動かないでください、変な動きをすれば容赦なく攻撃しますよ」


「わ、わかった」


 顔に当てられる懐中電灯の光と一糸まとわぬ姿のジークルーンの姿からレイショウは目を背けた。


「俺は逃げないし攻撃もしないから、とりあえず俺の服を貸すからそれを来てくれ」


 そう言われ自分の姿を見て何も纏っていないことに気が付くとジークルーンはレイショウを見ながら後ろに下がり彼女が眠っていた箱に触れる。


「……ええ、そうですね。すみません、目が覚めたら知らない人がいたもので、つい質問を先にしてしまいました。少し待っていてください」


 すると彼女の触れた機械は彼女が手のふれた部分がめくれ上がり、その材質が変わり液体のような状態になると意志を持ったかのように動き出し彼女の体にまとわりつく。


 装置はすぐに形を失い箱の中に入っていた液体が床に流れ出し、彼女の体にまとわりついた機械の一部だった物はみるみるうちに体を覆い下着や衣服へと形を変えて変質していく。

 濡れた体の上から上質な生地の服が身を包む。


 彼女は自分のつくった丈の長いシャツに不備がないかを確かめると、同じように箱の形を変えて体に纏わせ上着とズボンを創る。

 そして追加でベルトや鞄を作り出して身に着けていくと腕輪やピアスを作り、すべてを身に着けたところで身をよじり動いた時の服の間隔を確かめた。


「これが限界ですかね、これ以上は動きの邪魔になりますか」


 一糸纏わなかった白い肌はほとんど隠れ、手袋やブーツなどで顔以外の露出はほとんどない。


「さて……」


 彼女は改めてレイショウを見る。

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