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「坂本に関しては私がなんとかしてみる。同じクラスだし、意外と話すからそういう話をしても違和感はないだろうし。」


立候補したのは舘川だった。近藤ほどではないにしろ、剣道部部長、陸上部部長として絡む機会も多いのだろう。近藤ばかりを動かして怪しまれるのを危惧していたのもあり、坂本は舘川に任せることにする。


「じゃあ坂本がクソ真面目だった場合だが…。」

「いっそのこと美園ちゃんに話したみたいに協力者になってくれって説得してみる?」

「いや、最終的にはそうせざるを得ないことになるかもしれないが、あくまで最終手段としたい。というのもこれから先はこちらから探すんじゃなくて、依頼を受けるスタンスに変えていこうと考えているからだ。」

「キューピッドとしての経験も積んでおきたいってことですか?春臣君。」


相葉が言ったことが正しく佐久間の言いたかったことなのだろう。その通り、とパチンと指を鳴らす。


「賛同者、協力者を増やしていくっていうのは当初の目的からしてみても間違いではないのでしょうけど。結び屋はそもそも生徒たちに恋をして青春を謳歌してほしいってことで発足したのだし。」

「うん。確かにこのやり方ってプロパガンダみたいなもんだしねー。美園ちゃんにクライアントっていえるのか?って聞かれたときは窮しちゃったよ。」

「そう、それに今のままだと俺たちの周りだけにしか目が行かないからな。向こうから来てもらえればこちらの仕事量も減るし、より多くのカップル成立を果たせるかもしれない。」

「私に任せればその心配もなくなるわけだけどぉ?」


と、そこで逆井が口を挟む。

自分の情報網を持ってすれば、青麗内の恋に悩む生徒たちのことは手に取るようにわかるが故の発言だろう。

確かに逆井に悩める生徒たちを特定してもらい、接触、そして晴れてカップル成立。というのが一番効率的だということは佐久間は当初から思っていた。しかし、それをしないのも理由がある。


「ひばりは結び屋じゃないだろ。勧誘しても入らないところを見るに完全に面白半分で協力してくれていることは明らかだ。お前自身も言ってただろう。…それに無償でそれをやってくれるとは思えない。それだけのことをしてもらうとすると何を要求されるか…、考えただけで震えが止まんねぇよ。」

「よくわかっているじゃない。情報は力であり、提供には対価を頂くわぁ。今私が協力してるのは自分へのメリットの布石よ。」

「ほぉ…、それは初めて聞いたな。布石について聞いても?」


そう言うと逆井は右手の親指と人差し指で円を作る。タダでは教えてくれないらしい。

佐久間は片手で痛い頭を押さえたまま、逆井のことは気にせず続けることにする。


「とりあえず校則の撤廃は最終目的ではあるが、生徒たちの恋愛を成功させていった結果ついてくるものと考えておいた方がいい。相葉の言った通りキューピッドとしてカップルを増やし――。」

「生徒たちの声で校則の撤廃の声を上げさせるということですよね。」

「そうだ。」


再び相葉の適切な纏めに感謝する佐久間。

結び屋の声、持てる生徒会の力を使ったところで校則の撤廃などできないことは火を見るより明らかだ。今はとにかく賛同者が必要となる。

先は長いが、不可能ではないはず――。皆で頷き合う。


――この5人であれば――。


「となると今後、生徒が結び屋に接触するための依頼方法を考える必要も出てくるわね。」

「正体がバレっちゃったり、殺到なんかされちゃうと大変だし、困っちゃうよねー。」

「…ひばり、なんかないか?」


先ほどのやり取りを経たのにも関わらず、速攻での逆井頼りに皆から冷たい目を向けられる佐久間だった。

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