第2話〜決断〜
「さぁ、君はどっちを選ぶ?」
異世界転生。どんな世界が待ち受けているのかは、俺には分からない。転生した人のレビューがあるなら読みたいものだがそんなものは存在しない。
それと俺にはどうしても気になることがあった。
「異世界転生者は今までに何人くらいいた?」
異世界を救って欲しい。つまり、異世界は現在進行形で救われていない。俺が初めての転生者なら問題ない。
だが、今までに転生者が大勢いたら?それほどリスクが大きいことが分かる。しかも、"今までの奴らとは一味違う"のグレンの発言から2人以上はいると考えていい。
「本当に君は面白い! この質問は私も予想外だよ。そうだね〜、分からないけど100人くらいは転生させたのかな?」
「分からないってどういうことだよ。お前が送り出したんだから分かるはずだろ?」
自分で言ってから気付いた。馬鹿か俺は。グレンは言ってたじゃないか、異世界転生のデメリットについて。
「だって、異世界で死なれると存在ごと消えるからね。私の記憶とか書類上の記録とかからも一切消える。生きていた痕跡が丸ごと消えるって言った方がいいかな。まだ何人かは覚えてるから、生きてる人もいるね。」
「……。」
実際に口にされて分かった。消滅するっていうことがどういうことかを。自分の生きていた証が消える。
それは自分の人生の意味や価値すら消えてしまうということ。どんなにちっぽけな存在だったとしても死んだら灰は残るし、お墓も作ってもらえる。どんなに嫌われ者だったとしても、嫌われ者として他人の記憶に残る。
誰かが言っていた。
人が本当の意味で死ぬのは、"忘れ去られた時"だと。
「正直、どっちも選びたくはない。天国でお前に永遠にコキ使われるのも、異世界転生してギャンブルをするのも。」
でも、それでも。俺にはやるべきことがある。
叶えたい夢だってあった。恋人とイチャイチャしたりしたかった。あのクソッタレな家を飛び出して、自由になりたかった。あと、童貞のまま死ぬのだけは嫌だ。これは絶対に嫌だ。
だから俺は選択する。
正直まだ怖いし、今にも逃げ出したくなる。
でも、もう逃げない。
取り戻すんだ。俺の明るい未来を
俺は…
「それでも俺は生きたい。あんな終わり方、俺は認めねぇ。てか、認めたくない。」
クスッとグレンが笑ったような気がした。
確認の意味も込めて、グレンは俺に問いかける。
「じゃあ、君が選ぶのは…。」
俺は力強く、決意の意味も込めて言い放った。
「やってやるよ、異世界転生。魔王でも何でもかかってきやがれ。俺が全部終わらせるやるよ!」
グレンが腹を抱えて笑い出す。
「やっぱり君は面白い! 私は、最初から異世界転生を選ぶと信じてたよ! 私は娯楽の神グレン。君はこれからも私を楽しませてくれるかい?」
俺はフッと鼻で笑って、こう言ってやった。
「笑い転げて死ぬなよ、グレン。」
まだ読んでくださっている方がいると信じて書いております!たとえ、いなくてもこの先も頑張って書いていきます!
優太の決断いかがだったでしょうか?あなたの決断と同じでしたか?
異世界転生ものなのに、いつ転生するんだよ!と思ってる方。僕もそう思っています!前置きが長くなってしまいました!すみません!!
お待たせしました!次は、いよいよ異世界転生します!