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プロローグ
空は黒い煙で覆われ、景色は赤く染まっている。
建物は崩壊し、見渡す限りの絶望。
この、とても生き物が生きているとは思えない場所に1人、
少年がポツリと立っていた。
どこかに逃げるわけでもなく、ただただその地獄を見ていた。
「何回目だ・・・これ見るの・・・。」
そうつぶやく彼の目はどこか素っ気なく冷たい。
少年が呟くと、あの地獄のような光景が少しずつ形を変え、
目の前に見えているのは自室の天井となっていた。
目覚ましの音。いつもの終わり方だ。
「またあの夢かよ・・・。」
いい加減飽きたとも言わんばかりの口調で呟くと、
少年はデジタル時計を見る。
瞬間、青ざめた顔で一言、
「遅刻だぁぁぁ!!」
怒号に近い声が響き渡り、急いで支度をし始める。こうして彼、
神野サイガの物語は始まる。