第1話 目覚めるとそこはまだ異世界でした
ふぅ~↑やっと本編スタートですwwwww
寒い....身体全体が凍えてる。寒すぎてもはや痛いんですが...
あれ?温くなってきたぞ?あぁ、眠たくなってきた....クソネミ....
「はっ!!」
そして俺は目を覚ました
目線の先に映るのは知らない天井だった。
まず状況の整理と行こうか。まず周囲の状況についてだ。まず俺はベッドのようなものに寝ておる、身体には毛布が掛けられている。壁の木目から見てこの建物は木造だろう、なにをしている場所なのかは分からんが。
さらに身体が動かん、石のように固まっているわけではなく身体が言うことを聞かないのだ。しばらくはこのベッドからも起き上がることはできないだろう。
そして俺についてだ。俺はあの時、魔王の一撃で死んだはずだ、たしかに死んだはずだ。ならいまの状況は?天国と考えるやつもいるかも知れないが俺はこう答える。
「転生...か」
俺が10年前に突然あの湖のほとりで目覚めたときと同じようなことが起こったと考えたほうがまだ合理的だ、天国は最終手段だ。
俺は死んだ。自分の力に自惚れて、自分なら全てを救えると勘違いをして、一番身近なものを守れなかった。姫様のことが好きなわけではないが、俺にとっては妹のような存在だった。そんな存在が目の前で息絶えている様は、信じられなくて、信じたくなくて、俺に精神的に大きなダメージを与えている。だが俺は折れない、折れて自殺なんてことはもっとない、そんなことをすれば姫様や、死んだやつらに天国でぶっ殺される。
俺はあの世界で10年過ごした。地球の日本とは圧倒的に真反対の世界だ、日本で人が死ねば丁重に弔い、その人を忘れないようにいろいろなことをするが、あの世界ではそんなことはほとんどしない。冒険者が死ねば同じパーティーのやつらが穴に埋めて、大きめの石を置き、その石に酒をかけて「安らかに眠れ」とかいう程度、いやこれでもかなりいいほうだ、基本は冒険者はそのまま放置だ、人間の死体をわざわざ危険を冒してまで持ち帰るやつはそういない、荷物になるし、そのぶん動きが鈍るから自分が死ぬ可能性が高くなるからだ。幸い魔物がいるから死体は残らないしな。
あの世界は人の死に悲しみはすれど引きずったりはしない、そんなことを気にしていれば次に死ぬのは自分だからだ、俺もあの世界で過ごすなかで、何度も人間の死を見た。同じパーティーのやつだったり、一般市民だったり盗賊だったりいろいろだ。言い方は悪いが一言でいえば人の死になれてしまった。
だからまずはこの世界でどう生きていくか、ということを最優先に考える。
まずこの世界には魔力がないのか、あの世界でバカみたいにあった俺の魔力は感じられない、オーラも同様だ。いや、もしかしたら世界が違うことで魔力の使い方が違うのかもしれないだけなのかも知れないが。
そして俺が持っていた数々の特殊能力(いま試せるのは主に魔眼だが)も使えないみたいだ。まぁこれも当たり前か、身体が変われば持っている能力も変わるだろうしな。知識はあるから技術面は大丈夫そうだが、それは前の身体でチートしていたときに身につけたものだ、役に立つのかどうかは分からん。
俺のいまの身体がどれだけの能力を備えているのかは知らないが、まず以前のあれは絶対にないだろうと踏んでいる。
.....なんもねぇな...ヤバイな、いきなり勇者LvMAXから村人Lv1になっちったよ。まぁ俺にチート能力があれば話は別なんだが、ないだろうね、えぇ分かってましたよコノヤロー。
とまぁあれこれ考えている間に俺の身体がわずかだが動くようになった。慣れた、といったほうがいいかもしれない、なにせ全身が重いのだ、まるで何10kgもの重りをつけているようだ。
そうしてゆっくりと、ベッドに手を置きながら起き上がった。まるで病人だな、ははっ!
そして起き上がると同時にサラっとした感触がして、俺の視界に銀色の髪が映った。
(やはり転生か、それにしても銀髪か、中二病っぽいな...)
そんなことを考えながら俺はふと自分の右手を見た、さっきからベッドに置いた手の感触がやけに小さいような感じがするのだ。
するとそこには透き通るような白いお肌の小さなお手てが御座いました。
身体から嫌な汗が出てくる、願わくば俺の予想が外れていて欲しい。そしてチラっと俺の視界に窓が映った。透明度の高いガラスだ、あの世界には無かったものだからかなり綺麗に感じる、日本ほどではないがかなり綺麗なそのガラスには外の風景が透けている、そしてうっすらと人影が反射している。
そこに写っていたのは怪訝そうな、それでいてどこか分かりきったような顔をしている銀髪セミロングの超絶美少女がいた、つまり俺。
「........」
俺はまじまじとその薄い人影と見つめった。いやまてよ!?まだだ、まだ男の娘という可能性が残っているじゃないか!
そうおもい俺は着ていた病衣のようなものの下をずらして確認した、そこには女の子が履くような、そして男が追い求めてやまない逆富士が存在した。俺をその存在すら無視してその奥を確かめた。しかしそこには新たな我が息子は存在しなかった。
「マジですか...」
異世界TSですか、いや好きですけどね、まさか自分がそうなるとは思わないじゃん?
えぇぇ...さすがにこれは想定外でしたわぁ、人間の死は乗り越えられたけどこれはちょっと想定外ですわぁ、俺ノンケだよぉ、男とヤるとか絶対やだよ!
ガチャリ
「っ!?」
ふと扉が開いた。長い間、戦闘の中に身を置いてきた俺は反射的に戦闘態勢を取ろうとした、しかしいまの俺はまともに自分の身体を動かせない。おそらく青年の身体から華奢な少女の身体になったせいだろう。兎も角バランスを崩した俺はそのまま毛布と共に床に落ちて身体を打ち付けた。クソ痛い。なるほど、長らく忘れていたが普通の身体はこういったことで痛みを感じるんだったな。
そんな俺に驚いたのか扉を開けた張本人が慌てた様子で駆け寄ってきて、俺を起こしてくれた。その人は女性だった。おそらく20代前半といったところか、着ている服は清潔感あふれる白いシャツにロングスカート、顔がかなり美人だ。昔の俺ならこのシュチュエーションにアームがストロングしてかも知れないが、今の俺にそんなものなぞ存在しない、なんだろうこのやるせない感は。
「大丈夫!?まだ寝てなきゃダメよ?」
瞬間、俺の身体に戦慄が走った。この女性の声がすごく綺麗だったからではない、いや綺麗な声なんだけどもそうじゃない、俺が驚いたのは女性が使った言語だ。
アラン語だ、俺があの世界で使っていたアラン語だ。いや、喜ぶのはまだ早い、もしかしたらあの世界と言語が同じだけなのかもしれない。
だがそんな憶測さえもこの女性は塗り替えた。女性は俺の肘に手を当ててこう言った。
「ほら、ここ怪我しちゃってるじゃない。ちょっとジッとしててね?すぐに治しちゃうから。我が力を持って、汝の傷を癒す、慈愛の光を【エルヒール】」
すると女性が手の平から淡い緑の光を発した。さっきからチクチクと痛かった肘から痛みが引いていった。怪我してたんだろうか、だがそんなことはどうでもいいんだ。魔法を使ったぞ。
この【エルヒール】という魔法は、治癒魔法【ヒール】の下位互換版だ。一語一句呪文は全て一緒だった。俺の顔が驚愕を浮かべていたのだろうか、女性が少し得意げに俺に話しかけてきた。
「ふふふ、驚いた?実は私は治癒魔法使いなのよ?」
俺にとっては治癒魔法なんて珍しくもなんともないのだが、一応空気を読んでコクコクと頷いておいた。
「じゃあベッドに戻りましょうか」
「...はい」
そう言われて俺はベッドに戻る、そして俺の声くっそかわいいんだが。これマジ?
俺がベッドに腰掛けると女性は俺の隣りに座っていろいろと話しだした。
「脅かしちゃってごめんね?あ、ごめんなさい...まだ私の名前教えてなかったわね。私の名前はアンジェよ、アンジェ・ベルモント。この孤児院で治癒魔法使いをやっているわ、よろしくね。えーと...貴方のお名前を教えて貰っていいかな?」
ここ孤児院だったのか...
「あ、はい。アリス・エステリアです」
あ、本名はまずかったか?...いや、しかしなこれ以外の名前となるともう日本語の名前し...か...あれ?俺の名前なんだっけ?いやアリスの方じゃなくて元の、本来の日本人としての名前のほうだ。
思い出せないだと?連鎖的に親や身の回りの人間の名前も頭に浮かんでこないことが分かった。いや名前だけじゃない、両親の顔も思い出せない、兄弟はいたのかどうかすら分からん。おそらくいたであろう友達の名前も思い出せない。そして名前や顔ばかりか思い出という思い出すべてがなくなっていた。日本人としての知識はある、現に今の俺はまだ日本語を理解できているし、俺がこの世界に来るまでに発売されたゲームのハードやソフトの内容、アニメや漫画、ラノベに至るまで全て覚えている。
だが思い出だけがない。ゲームのハードやソフトの内容は知っていても、それで遊んだ記憶が一切合切ない。何が起こった....
ま、取り敢えずこのことについては後で考えるか、今となっては日本にいた頃の思い出なんぞどうでもいいし、知識がなくなるのは困るが。
「アリスちゃんね、いい名前ね」
アンジェさんはそういいながら俺に笑いかけてくれた。くぅ~俺がいま女じゃなかったら一発で落ちてる自信があるね、コンチクショー!
「ところでアリスちゃん、貴方に聞きたいことがあるんだけど...」
アンジェさんはそう言いながら俺にいくつか質問をしてきた。
まず一つ目は俺がどこから来たのか?というものだった。俺は孤児院の院長に森の中で拾われたらしい、今の季節は冬でその日は雪が降っていたらしい。アンジェさんが院長に聞いた話では、俺は近くの森の中の開けた場所に積もった雪の中で倒れていたらしい、なのに俺の身体には凍傷のひとつもなかったらしい。
ふむ、なるほど、分からん。なんか引っかかるものはあるが。
取り敢えずアンジェさんの質問に答えようか。
「すいません...分かりません」
嘘はついてない、嘘はついてないんだ。俺がどこから来たか?遠い(異世界の)国からやってきたんだよ、とは言えないからな。
そんな俺の答えにアンジェさんはなにか気付いたようにハッとした。
「ご、ごめんね?そうよね、言いにくいこともあるわよね」
どうしたアンジェさん、そんな、どこかの国から命からがら逃げてきて今ここで自分がどこから来たか言えば国に連絡が行って追っ手がくるから話せない実は一国のお姫様である少女を見るような目をして。
アンジェさんはこういうことを考えてる。絶対な。俺の男としての勘がそういっている、いやここは女の勘になるのか?うーんしっくりこないな...
このあともいろいろと簡単な質問をされた、本当に他愛もない質問だったぜ。
「ありがと、いろいろと参考になったわ。じゃあアリスちゃん、ちゃんとベッドで寝てるのよ?ふふふ」
アンジェさんはそう行って微笑みながら部屋から出て行った。
これでこの部屋は俺一人になった。丁度試したいことがあったところだ、まずは俺の魔力量とオーラノードについてだ。
はいみなさん!アリスが女の子になりました!やったね!
これからどうなるかは8割の人は予想出来てると思いますが、大体その通りになります!ごめんね!
次回の更新はまたも未定!でも一週間いないには頑張って投稿しますよ、不休みですからね。え?課題?なんですかそれ、おいしいんですか?
それでは!お気入り登録または評価よろしくお願いします!!