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第54話 学院祭!!!

会場が盛り上がる中、クレアは現在では使われていない魔法名を叫ぶ。


「【エアエンハンス】!」


中位風魔法【エアエンハンス】は一定時間風魔法の威力を上げる魔法だ。同じく他属性にも【フレイムエンハンス】や【アクアエンハンス】といった俗に属性強化魔法と呼ばれる【エンハンス】系の魔法が存在している。

クレアが使った魔法が誰も知らなかったのか会場はざわついている、そして次にクレアが放つ魔法で観客全員が騒然となる。


「【エアクロッド】!」


中位風魔法【エアクロッド】は【エアブロウ】の上位版で、クレアが突き出した両手から生成された割と大きい風の塊が勢いよく俺に向かって放たれる、風自体は不可視だが風の塊のある場所だけすこし歪んでいるため、よけられない訳ではない。


「【アースシールド】」


俺は中位土魔法【アースシールド】を使い、2メートル程の硬い岩の壁を作りだす。しかしクレアの魔法に込められた魔力が多かったのか、クレアが放った【エアクロッド】は俺の【アースシールド】を粉々に砕き、そのまま威力を落とさずに俺に迫ってきた。

俺は咄嗟に腕にオーラを纏って風の塊を弾き飛ばす、が流石に遅かったのか少し掠ってしまったらしく、腕輪の珠の1つが光りを失った。というかこれまともに受けて大丈夫なのか?腕輪弾き飛んだりしないだろうな……


「ひぇぇ……添え恐ろしいな……」


会場は先ほどの歓声もなく、静かになってしまっている。一通り見回してみたがほぼ全員が口を開ききって唖然としていた、少数だが気絶している奴もいる、何があった。


「アリス……ちゃんとやってる……?」


会場が静かなせいか、少し先にいるクレアの声が聞こえてきた、そちらを見るとクレアがジト目をこちらに向けて文句を言ってきた。

まぁ、クレアもそれなり強いし、ちょっとぐらいなら本気だしても十分だろう。それと後始末用に少し魔力を残しておかないとな、足りないときは魔力結晶かポーションでも使えばいいか。


「ここからだよ、気を抜くなよ」

「言われなくても!【エアショット】!」


クレアは話が終わると同時に下位風魔法【エアショット】を発動させた、【エアショット】は【エアブロウ】をちょっと弱くしたものを大量にバラまく魔法だと考えれば良いだろう。


「しゃらくせぇ!」


俺は今度こそは腕にオーラを纏ってクレアの放った【エアショット】を全て弾いた。もちろん俺には掠りもしていない。

さて、そろそろ反撃するか。


「【メギドフレイム】!」


俺の右手から燃え盛る炎の塊が出現する。上位火魔法【メギドフレイム】は【フレイム】の上位互換版だ。ちょっと魔力込めすぎた気もするけど……腕輪は耐えられるのだろうか……ま、まぁ大丈夫だろう!


「うわ!?えっちょっ!【エアシールド】!」


いきなりのことで焦ったのかクレアは狼狽えたあと、なんとか中位風魔法【エアシールド】を使って風の盾を生成するが、俺の【メギドフレイム】はその風の盾をゴリゴリと削り、必死にクレアは魔力を送り込んで耐えていたが、最後には風の盾は破られ、多少は威力は落ちたがまだまだ燃え盛っている炎の塊がクレアに直撃する。

その衝撃でクレアは後ろに吹き飛ばされる、腕を見ると、腕輪の珠が2つ減っていた。ドユコト?与えるダメージによって減る珠の数が変わってくるのか?


「痛て……コ、コホン、これは……ちょっと油断してただけなんだからね!【ブラスト】!」


クレアはツンデレっぽい台詞を吐きながらもきっちりと反撃してきた。【ブラスト】は上位風魔法で、説明しにくいが、あえて言えば風の砲撃だと思えばわかりやすいだろうか。つまり先ほどまでの風魔法がそよ風だと思うほど威力が高い、しかも魔力めっちゃ込めてるし、避けてもいいがその場合この訓練場自体が崩壊しかねない、後始末が面倒になるのでそれは避けたい……うけるしかないか……

全身にレイドオーラを纏い、クレアの放った風の砲弾の正面に仁王立ちする。俺は迫ってくる魔法に対して思い切り右手で殴りつける。

俺の右拳と【ブラスト】との衝突した場所から突風が巻き起こり、周囲に砂埃が立ち込める。


「うらあぁ!」


そうすること数秒、俺は【バラスト】をオーラで相殺することに成功したが、クレアが詠唱していたらしい上位風魔法【エアバインド】に捕まってしまった。【エアバインド】は風の鎖やらなんやらで相手の自由を奪う魔法で、俺が魔法を解こうとしている間にクレアは再度【ブラスト】を使ってきた。

上位魔法はかなり魔力を消費する筈なんだが……さすがだな……全然疲労の色が見えない……まぁどっちみち俺ももう使える魔力が少ないし、潮時か……

俺はクレアの放った【ブラスト】を真正面から受けた。


「っ!?ごはっ!!」


いやあいつ魔力込めすぎィ!威力強すぎんだろ、吐血したぞオイ!

そしてパキッという嫌な音が鳴り響く。恐る恐るその音がした方をチラリと見ると俺の付けていた腕輪がボロボロに砕け散ったあとだった、ナンテコッタイ……

だがそんなことを考えている場合じゃない、取り敢えず後始末だ。クレアが近寄ってくるのを横目に地面に魔法の効果を増幅させる魔術式を魔力で描き、その上で【インセプション】を発動させる。範囲は念のためこの学院、対象は俺とクレアを除く全て。


『――、【インセプション】!!』


魔法が発動すると一気に俺の脳に掛かる負荷が大きくなり、ポタポタと俺の鼻から血が落ち始める。【インセプション】は他人の記憶に干渉する魔法だ、今回は先ほどの試合を適当なシナリオを作って俺の負けという結末にし、その試合の記憶をもつやつの記憶を置き換え、俺とクレアが古代魔法を使ったこと事実を葬りさる。


「……良し……任務完了……」


一応学院内の記憶は全て置き換えた、学院外に漏れていればどうすることも出来ないが、まぁその時はその時だろう。

チラっと横を見ると、クレアが真っ青になった泣きそうな顔でこちらを見ている。記憶を置き換えたのはいいが、俺の腕輪がぶっ壊れて吐血した事実は変わらない為、会場は盛り上がっているが教師には焦りが見える。

審判は焦ったような声で早急に試合を終わらせた。


〈勝者ッ!クレア・フェイシス選手ッ!はやk――ブツッ〉


審判は手早くそういったと、通信を切ったせいか、ノイズ音が少し混じっていた。

俺は怠い身体を引きずりながら訓練場をあとにする、するとそこにはもうすでにクレアがいた。早すぎんだろ、さっき出たばっかだろ、しかも息切らしてないし。

ついでにすぐあとに数人の養護教諭と思われる女性が数名駆けつけてきた。一応女子生徒になってるからな、学院側が配慮してくれたのだろう。

俺は無表情のままもう一度ガフッという咳とともに再度血を少し吐き出した。


「アリスっ!」

「あぁ?大丈夫だよ、安心しろって――」

「アリスさん!しっかりしなさい!早く連れて行きましょう!」


俺が言い終わる前に顔を青くした教師陣に医務室に連れて行かれた。えー……俺元気じゃん……




医務室に連れて行かれた俺はすぐさま胴体に包帯を巻かれベッドに寝かされた、ついでに男装についての注意もされたが。訓練場での件については早急に対応したお陰で騒ぎにはならずに済んだようだった、対応が早くて助かった、【クリーン】をかけられるだけの魔力もなかったからな、どうしたものかと思っていたのだが……


「アリス……」

「んな顔するなよ、お前の魔法の威力なんて大したことないから大丈夫だよ」


クレアは俺の怪我が自分のせい――まぁ大体それで合ってるんだが――だと思っているらしく落ち込んでいた。

俺がそう言うとクレアが顔を上げて何か言おうとしたが俺はそれを止めた。


「心配すんな、大丈夫だよ。それよりも、今日はまだ準決勝が残ってるだろ?Dグループの代表が誰かは知らないが負けるなよ?」


俺がそういうとクレアは涙を溜めていた目をグシグシを擦ってから。


「分かった!」


そう言っていい笑顔を作った。






〈中等部魔法科“ソロ”ッ!今大会の優勝者はッ!クレア・フェイシス選手ゥゥゥッ!!!〉





そして、クレアは優勝した。

どうも!作者です!

明日は月曜日ですね!来週からテスト一週間前になります!中間終わってまだ一ヶ月くらいしか経ってないのに早くないですか?テストなんて一年一回で十分だと思うんですけど……


それでも次回更新は一週間以内、二日ペースはキツいんですね。今回は頑張りましたよ~。


よろしければお気にり登録または評価のほうをよろしくお願いします!

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