第52話 学院祭!
長期休暇終了のお知らせ。そして去年と同じく今年も今日から後期の授業が始まる、横を歩くクレアは凄く嫌そうにしていたが俺は別にそうでもない、別に勉強が出来ない訳ではないし、ただ暇なだけだ。まぁその暇な時間もこっそりと魔力鍛えるなりなんなりして割と充実している。勉強はしていないがテストで良い点とる奴が俺だ。
しばらく歩いていると、イケメンに声を掛けられた、爽やかなイケメンだ。去年は分からなかったが今年は大丈夫だ、こいつはレイザックだ。
レイザックの今の身長は大体170センチ後半くらいだろうか、去年の夏から急激に伸び始めて長期休暇が始まる前にはすでに170センチを突破していたらしい、たった一ヶ月見なかっただけなのにまた身長伸びてないか?
俺は最近やっと150センチの壁を突破した、長らくの悲願だった。ここから俺の成長期は始まるのだ……
ちなみに今の俺はクレアと身長はほぼ同じなのだが、全体的にクレアの方が発育が良い(どことは言わない)、こいつ確か俺と一緒でまだ13歳だよな?それなのにこの差はなんなんだ。いやまぁ男装する以上出るモン出てたらサラシ巻くなりなんなりで非常にめんどくさいことこの上ないのだが、無ければ無いで非常に悲しい、クレアはなぜか嬉しそうだったがな。
レイザックの横にはマリアもいた、ふむ……俺より身長低いな……ふっ、勝った……虚しい。というかなんであいつもデカイの?(どことは言わない)ロリ巨乳じゃん、反則だろそれ。
レイザックと合流したあとは俺たちは一緒になって教室まで向かったのだが、レイザック以外みんな身長が低いせいでレイザックが浮きまくっている、まぁ元々あいつ浮いてるからあんまり関係ないか。おっといまそこの女子生徒が失神したぞ、どこのアイドルのライブだよ……
教室についたあと、ジーナ先生から毎年恒例の学院祭の説明を受けた。
今年からはみんな実力も少しついてきたからこのクラスからも参加者が増えるだろう、特に男子の騒ぎ様が異常だった、まさに男子中学生といった感じか。聞いた感じ見た感じではこのクラスの男子は全員がいずれかの競技に出場するようだった、そういう訳であまり乗り気じゃないが俺も参加することにする。だって男子は全員参加してるんだぞ?そこに仮とはいえ男装して男子生徒のように振舞っている――学院の生徒登録は一応女子生徒になっている――俺が出場しないといろいろと言われそうだからな、それにそうすると貴族(笑)になんとなく絡まれそうな気がした、俺の勘は良く当たるんだ。
まぁクレアも出るようだし、丁度いいだろ、別に本気で戦わなくたっていいんだし、俺はこんなお遊びの勝ち負けなんてどうでも良いからな、準々決勝辺りで良いだろう、あまり早くにやられすぎるとそれはそれで舐められそうだし。
いろいろ考えた結果、俺は“ソロ”にのみ出場することにした、“マルチ”だの“オール”だのはもうしんどいからやらない、クレアもマリアも俺と同じだし。レイザックは“ソロ”と“マルチ”にでるみたいだ、やる気たっぷりだな。
運良く、初参加の奴らはまだペース配分が分からないとかなんとかで“ソロ”のみの生徒が比較的多かった。レイザックと同じような感じで出場するのはほんの数名だな。女子はもはや出場する気配さえ見せない奴もいるぞ、そういうやつにとっては学院祭はつまらないだろうな、まぁ俺もなんだが。
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まぁそんなこんなで時間が過ぎて“ソロ”の予選だ。予選内容は勝ち抜きトーナメント、敗者復活は勿論無しだ。
いつの間にか決まっていたトーナメント表をみると、俺の対戦相手は中等部3年の男子生徒だった。うわぁ……なんか面倒臭そう……後輩に負けたからって逆恨みとかされないだろうな、棄権してやろうか……
「う―ん……これだとアリスと当たるのは準々決勝かな?」
俺がそんな事を考えていると横で一緒にトーナメント表を眺めていたクレアがそう言った。
トーナント表の中でクレアの名前を探すと俺の名前が書いてあるところから少し離れたところに“クレア・フェイシス”と書いてあった。
この学院が非常に生徒数が多いため、予選ではいくつかのグループに分けられる“ソロ”の場合は全部でA、B、C、Dの4つのグループが存在しており、最終的にその4つのグループを勝ち抜いた上位一名でさらにまたトーナメン戦となる、俺とクレアは共にCグループ、レイザックはA、マリアはDグループにいた。
言い忘れていたがアインとジェニーは今年から高等部の1年だ、ここには載っていない、だが多分ジェニーは“ソロ”では優勝するだろう、去年リュークを負かした魔法科の生徒はもう卒業してるし、その可能性は十分にある、反対にアインはどうだろうな、リュークとテオがいる以上優勝はないだろうが……去年は“マルチ”で4位だったからな……ちょっと面白そうだな、あとで確認しとくか……
それから俺たちは数あるうちの一つの訓練場に行った、第2訓練場、ここがC、Dグループの予選会場だ。学院祭に開会の挨拶なんてまどろっこしいものは存在しない、なんかメガホンっぽい魔法道具で学院長がなんか言うだけ、生徒はほとんど聞いてすらいない、学院長涙目。
まぁそんなわけで去年よろしく予選が始まったわけだが、これがまぁ面白くない。会場の生徒は皆深夜テンションなのだろう、深夜じゃないが……そうでなければこんな試合でここまで盛り上がるとは思えない。しかも試合終わったあとみんな汗だくだし、あの試合のどこにそんなに汗をかく要素があったんだよ。
そして遂に俺の番が回ってきた。
「頑張ってね!私と当たるまで負けちゃダメだよ!」
「まぁ……それなりに、な」
俺はそう適当に返事を返して訓練場の中心に向かって歩いて行った。
俺の対戦相手の3年は、活発そうな栗毛の男子生徒だった、アインと気が合いそうだな。魔法武具は杖、得意魔法は良く分からんがたぶん火だろう、だってアイン同様暑苦しそうだしな。
俺は一応魔法武具のように見立てた指輪を両手の中指にはめている、魔法武具の特徴としては、杖タイプは正確さが増し、指輪タイプはその性質上、機動力が高いらしい、まぁどっちもどっちってことだな。
訓練場内に取り付けられたスピーカのような魔法道具から審判の声が聞こえた。
〈両者構えッ!〉
その合図と共に、相手の男子がグッと杖を前に傾けたような構えを取る、対する俺は一応空気を読んで軽くファイティングポーズをとった。さて……いまからやることは、なるべく差し障りのないように勝利することだ、圧勝はダメだ、絶対に。かと言って負けると面倒そうだし、クレアがなんか知らんが俺と当たるのを楽しみにしてたからな、まぁアイツは負けることはないだろうし、あとは俺次第だな……
俺の右腕には去年見た例の腕輪がついている、今年も変わらず3つの珠がついていたが、準決勝からは、いくらか前に貴族同士の良く分からん決闘があった時に使われた腕輪の方を使うらしい、なんでも見ごたえのある試合はもっと見たいというお偉いさんからの要望だとかなんだとか、まぁその腕輪が使われることになったのは例の事件(第41話のアレ)が原因だろうな。
〈始めェッ!〉
試合が始まると、まず始めに相手が呪文の詠唱を始めた、詠唱省略を使ってるな……だいたい4割くらい省いてる……使う魔法は俺の予想と反して中級水魔法の【ウォーターカッター】か。まぁ弱めの水圧カッターのようなものだと思ってくれればいい、まぁ当たっても切れないが、打撃としては有効な魔法だ。
俺を一応詠唱をしながら相手が先に魔法を発動させるのを待つ。
試合が始まって数秒、ようやく相手が動いた。
「――、【ウォーターカッター】!」
相手が放った魔法を俺はひょいと気軽にかわす、この腕輪はちょっとかするだけでもアウトだからな……さすがに火魔法の火の粉とか、水魔法のあとに残る水しぶきとか風魔法のそよ風とか土魔法の土煙とかは大丈夫なようだが……
俺は魔法を躱したついでに詠唱していた【ファイヤーアロー】を放った。
「うおっ!?」
相手は躱すことができずに俺の【ファイヤーアロー】が直撃した。そしてそいつが付けている腕輪の珠のうちの1つが光を失う。
「くっくそ……!くらえっ【ウォーターアロー】!」
相手の男子は珠が一つ減って焦ったのか、詠唱破棄を使って魔法を使ってきた。使い慣れているのかさきほどの【ウォーターカッター】よりも早い。
が、俺は難なくそれを躱し再度【ファイヤーアロー】を放つ。
「ぐあぁ!!」
またも俺の魔法が相手に直撃した、避けるという選択肢はないのか?防御もしないし回避もしない、これがゲームならコマンドのうち「たたかう」しか選べないクソゲーと化すぞ。
「う、うぉおおおおおお!!」
もうあとがないため、相手の男子生徒は必死になって【ウォーターアロー】を使いまくる、インターバルは大体1秒に届くかどうかといったところか……まぁ詠唱破棄ならこれが限界か。俺は次々と放たれてくる【ウォータアロー】を避けて避けて避けまくり、一つ残らず避け切った。
そうして1分も経たないうちに相手の攻撃の手が止まった、見ると、肩で息をしており全身がだるそうだ。魔力切れか、早いな、そんな魔力量でなにができるっていうんだ。
取り敢えず俺は【ファイヤーアロー】を使って止めをさしておいた。俺この試合【ファイヤーアロー】3発しか使ってないんだけど……
そして審判の声が響いた。
〈試合終了ッ!勝者、アリス・エステリア選手ッッ!〉
そして会場内が拍手に包まれた。
サブタイ考えるの面倒になってきた作者の僕ですよ!
ちょっと更新がいつも以上に遅くなってしまい申し訳有りません!今回書いてて、ちょっと楽しかったのでもしかしたら更新頻度があがるかもしれません!願わくばストックが溜まって欲しい……!
さて、次回更新は一応一週間以内、頑張って4日以内には上げたいです!昔の2日に1回のペースは取り戻せるのか!?
よろしければお気にり登録または評価のほうもよろしくお願いします!