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第51話 見え見えのフラグを建てて行くスタイル

「ふぅ、久々に有意義な時間を過ごせたわ……」

「んー……頭がフラフラするぅ……」

「ハァ……ハァ……ア、リス……うっ!」


ジブリールは見事なまでに肌が艶々になっており、頬が紅潮しているがその表情はどこか穏やかだ。

クレアは血を流しすぎたせいで若干貧血気味らしい、事あるごとに鼻血がでるので仕方なく【ブラッドライズ】をかけ続けた、かけてないととっくに出血多量で死んでいるほどの量が流れ出てたからな、まぁどっちにしろそれでも血の生産が追いつかなくて貧血気味なのだが。

あとアイビスはダメだ、何度でも言うがあいつはダメだ、あいつからはもはや犯罪臭しかしない、早くなんとかしないと……


俺の周囲にはファンシーな服がいくつも散らばっている、その数は数十やそこらではきかない、ちなみに全て俺は着た、着させられた。始めは数え切れない程の服が入っていた衣装棚をいまは中身が全て部屋中に撒き散らされて空っぽになってしまっている、取り敢えず片付けようぜ。


「また何かあったら頼んでくださいね?相応の対価は頂きますけど」


ジブリールは嬉しそうな表情で俺にそう言った。くっそ……いい顔しやがって……殴りたい、この笑顔。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「それじゃあ、ここまでですね」


それから間もなく、用が済んだとばかりに俺とクレアは地上に帰ることになった。日が沈み初めており、空は少しだけ赤い、そういえば……クレアの冒険者登録をして、森に入ってデゥイ、アイビスと出会って、レスニア教ぶっ潰して天界行って……濃いなぁ、これだけでもう夏休み終わりそうなほど濃いな。

今日で長期休暇終わりだと言われても納得しそうだ、実際はまだまだあるんだがな。

俺の隣りでニコニコと笑顔を作っているクレアは両手に大きな紙袋を提げている。実は天界を出るときに、クレアが大きな紙袋を持っていたので俺が持とうとしたのだがなぜか凄く嫌がられた。怪しく思って無理やり奪って中身を覗いてみると中に入っていたのは忌々しいしいあの悲劇に使われたあの服たちだった、しかもクレアたち3人が選んだベストドレスが入っている、バッと視線をクレアに移すとそっぽを向いて口笛を吹き始め、視線をジブリールに移すと流石にバツが悪そうに顔を逸らし、チラッとアイビスの方を向くと何を思ったのかあいつはまた鼻から血を垂れ流していた、頭大丈夫だろうか、天界で生活することによって良くなることを願おう。

俺も涙目からの上目遣いで懇願するクレアを蔑ろにすることもできず、クレアとアイビスにチョップ、ジブリールには懇親の、その場で出せた力の全てを込めた腹パン一発ということで落ち着いた。そのダメージがまだ残っているのか、腹部をさすりながらジブリールは立っている。ちなみに血を流しすぎたせいでアイビスは遂に貧血で倒れてしまいここにはいない、今は天界で療養中だ。

天界から地上に戻ってくる時にも来たときと同じようにジブリールの“昇天の扉”を潜ってきたのだが、如何せんあの光り輝く扉は目立つため、俺たちは“魔の森”の比較的ノクタスの街に近い場所にできていた洞窟の中にいる。


「ジブリールさんっ!ありがとうございましたっ!」

「えぇ、また会いましょうね」

「はいっ!アリスと一緒に行きます!!」

「自分お留守番良いっスか」


もうこいつらと一緒に天界へは行きたくない、まぁ天界に気軽に遊びに行くこと自体が間違っているんだが……まぁいいだろう。

クレアはジブリールとの別れの挨拶を済ませると意気揚々と洞窟の出口に向かった。俺も特にジブリールに言うこともないのでクレアを追いかけようとしたところで、ニュッと俺の顔の横にジブリールの顔を持ってきた、ちょっとビックリしたのは内緒だ。

ジブリールの顔は先ほどまでとは違い、キリッとした表情が読みづらい顔をしており、ジブリールはそのまま、俺の耳元で小さくこう囁いた。


「さっき冥界で動きがありました、いまはまだ大丈夫だけど近々何か事を起こす可能性があるので注意しておいて下さい」

「俺の知ってる奴か?」

「いえ、その可能性はないと思います」

「そうか、助かった」

「当然のことです、それに……今日は楽しませてもらいましたし」


ジブリールは最後にフッと小さく笑うと俺から身体を離した。


「お、おぉ……」

「おーいアリスー!早く行こー!」

「子供かお前は。じゃあな、ジブリール」

「えぇ、それでは……」


ジブリールはそう言い残して、自分で出した“昇天の扉”を通って天界に戻っていった。“昇天の扉”が消えると、辺りを照らしていた光も消えてしまい、薄暗い、元々の洞窟の姿が視界に入った。

ジブリールが最後に言ったことが気になるが……まぁ大体検討はついてるし、分かったところで今の俺にはどうすることも出来ないからな、できることと言えばいざという時のために毎日の鍛錬を怠らないことだけだ、いま俺良いこと言った。


取り敢えず森を出る前に仮面を被っておく、作ったわいいが全く使わなかったな、これ。いや、これからはそれなりに使うことになるだろうし、期待してるぞ仮面君。ちなみにクレアの持っていた紙袋は俺の“倉庫”に入れておいた。

そうして仮面を付けてノクタスの街に向かうべく、森の中を歩いているとあることに気がついた。

魔物がいない、いや正確にはいるのだろう、試しに【エコーロケーション】で周囲を調べてみると範囲ギリギリのところにブラックウルフに乗ったゴブリンたちがいたが、すぐに何処かへ行ってしまった。

しばらく歩いたところで数体のゴブリンたちと出会ったのだが。


「ギギッ!」


俺たちを見つけても襲おうとはせずに敬礼のような物をして何処かへ行ってしまった。そこで思い出した。


(そうか、そういえばデゥイがいるんだっけ。あいつから良く分からんの貰ったしそれのせいか……)


デゥイからもらったあの良く分からん首飾りがあるとこの森のデゥイが支配下に置く魔物からは襲われなくなるらしいからな、絶対それだ。

しかしそれはそれで問題だな……無害な魔物を狩りたくないし、俺に敵意を向けてくれるなら遠慮なく殺れるんだが、そうじゃないなら手は出したくないし……そういえば“倉庫”の中に去年に狩ったブラックウルフの死体があったような気がするぞ。いま受けているブラックウルフの討伐依頼をどうしようかと思っていたのだが、それ使うか、そのまま置いておいても勿体ないし、若干狡いような気もするが気にしない。

俺は森を抜けた辺りで“倉庫”からブラックウルフの死体を取り出してアイテムバッグに突っ込んで置いた、あとはこれをギルドの受付に置くだけの簡単なお仕事だ。


実は“魔の森”に異変があり、ブラックウルフに乗ったゴブリンに中堅の冒険者たちが被害に遭うという事件が起きており、その中で綺麗なブラックウルフの死体を持ってきた俺はまたすこし話題になってしまったのだがまたそれは別の話。




長期休暇中、“魔の森”に行っても魔物を相手にすることは出来ないと考え至ったため、少し遠出をすることになったりしたが、割と順調に活動を続け、俺は運良くBに、クレアはC-にまで冒険者のランクが上がった。依頼の報酬もかなりの額が溜まったため、大部分を孤児院に寄付することにした。

何を勘違いしたのかアンジェさんが目に涙を溜めてうるうるしていた、院長は必死に笑いを堪えていたが……

こうして俺の2回目の長期休暇が終了した。

タイトルがネタバレ、どうも!作者の僕ですよ!

しかしなんていいますか……しばらく書いてないと続き書こうとしたときに戸惑いますね、何か文章の感じが変わりますし。

それはそうと、いつの間にかこの小説も本編が50話を突破、全体ではこれが丁度60部分目になりました!いやぁ、割と続きますねぇ、最後までのプロットは割合できているのでこれからもエタらないように頑張っていきますのでよろしくお願いします!


さて、次回も一週間以内!ちょっと遅くなるかもしれないです←基本いつも


よろしければお気に入り登録や評価のほうもよろしくお願いします!

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