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第46話 淑女× 変態○

肉体的な百合がありますゆえ、苦手な人はご勘弁を。

「落ち着いたか?」

「「ハイ、スミマセンデシタ」」


 胸の前で腕を組んで仁王立ちする俺の前には、正座をしてこうべを垂れる2人の少女、クレアとアイビス。

 アイビスが飛びかかってきたあと、クレアも参戦してきたため両方ともシメておいた、オーラは使ってないからそれほど痛くはないだろう。頭を叩いたときに2人とも嬉しそうだったのは見なかったことにしたい。


「あぁ……!仁王立ちするアリスがかわいいっ!」

「分かる!分かるよアイビスちゃん!」

「なに握手してんだお前ら……」


 もうダメだこいつら。


「そういえば、私、自分で左腕切り落としたはずなんだけど、なんで生えてるの?」

「俺が生やした、というか気づくの遅すぎんだろ」

「いやー、アリスがかわいすぎてって……アリスがやったの!?」


 気づくのが遅かったが、俺がやったということを伝えるとアイビスは目を見開いて驚いた、初印象はお淑やかな感じだったんだけどな、なんか芸人みたいだ、クレアとコンビ組めそうだな、待てよ?そうなると2人ともボケというわけか……となれば俺がツッコミでトリオか……?この件は無かったことにしてもらうか。


「腕を生やすほどの魔法なんて聞いたことないわよ……ねぇアリス、どんな魔法なのか教えてくれない?」

「アイビス、近い」


 アイビスはそう言いながら俺の横から抱きついてくる、腕に柔らかい感触が当たるが虚しい感情しか沸いてこない。俺も成長するから……いずれな。


「ダメなの?」

「あぁ、危険すぎる」


【ヒール】系魔法の一番上に行くと、部位欠損を治すことも出来るが、あの魔法は対価に魔力だけでなく生命力を使う、簡単に言えば使い続ければ死ぬ。そう簡単には死なないが、それでも着実と使用者の生命を蝕んでいく魔法だ、元々人間が使うような魔法じゃないしな、あれは生命力が無尽蔵にある、悪魔や龍、天使だけが使えるような魔法だ。


「そっか……」

「アイビス、残念そうな顔しながら服の隙間に手を入れるの止めてくれないか?」

「えっ……やだ、私ったら……あぁ!でも、止まらないわ!」

「私もやるよ!」

「ちょっ、クレアまで!?取り敢えずお前ら一旦落ち着けって!おいアイビス変なとこ触るな!クレアはどこ触ろうとしてんだ!」


 アイビスとクレアの魔の手が再び俺に襲いかかる。


「落ち着けぇぇぇ!!」





 兎に角、鉄拳制裁の後、2人を落ち着かせることを諦めて俺はアイビスにもう一度同じことを言ったのだが。


「アイビス――」

「脱ぐよ!すぐ脱ぐよ!速攻脱ぐよ!」

「私も脱ぐよ!」

「クレアは脱がなくていいぞ。アイビス、下まで脱ぐな」

「上は外してるのに?」

「上も外せとは言ってない、服だけ脱げ」


 アイビスは俺が言い切る前に服を脱ぎ捨て、クレアもなぜか便乗して脱ぎだした。クレアを止めた一瞬のうちにもう一度アイビスを見ると既にパンイチ状態、恥と言うものはないのか。最終的にアイビスはパンイチで俺に背を向けて座った。

 アイビスの身体はほんのりと紅色に染まってフルフルと震えている、恥ずかしいなら辞めたら――


「あぁ……!私、アリスに見られてるよぉ……!」

「わ、私も脱いでいい!?」

「お前らマジでなんなの!?いいからまずは落ち着けよ!」


 残念、違ったようだ。

 取り敢えずクレアとアイビスは無視することにして俺はアイビスの背中を見る。コラそこ視○とか言うな。

 俺がアイビスの背中を見たいといったのはあることを確認するためだ。俺の予想が正しければアイビスは天人(てんにん)族だ、天人族というのはハーフ天使、つまり天使と人間、もしくはそれに準ずる獣人等との子供のことだ。基本的に天人族は幼い頃は天使や他の天人族が済む天界という場所に住んでいる、その理由として天人族の力が強すぎることにある。

 そもそも天人族自体が少ないのだが、天人族は言い方は悪いが劣化版天使そのものであり、その姿は背中に翼が生える翼人と類似している、しかし天人族の身体には薄まった天使の血が流れており、その翼は白く輝き、その血を飲むと多大な恩恵をもたらす。

 天使の血を飲むと力が強すぎて普通の人間なら速攻死んでしまうが、天人族だと丁度いい濃度になるのか、傷が治る、魔力が回復する、視力がよくなる、腰痛、関節痛に効く、美容にetc.とその効果は様々だ。だからこそ天人族は人間によく狙われる。

 いくら治癒魔法に長けているとはいえ、人間の血を飲んで傷が治ることはありえない。アイビスの血を飲んで傷が治ったというなら、それはもう天人族である証のようなものだ。

 アイビスが天人族であることはまず確定だが、覚醒(・・)はまだらしい、いや、幸運だったな。天人族なんて種族、学院では習ったこともないし、伝承されていないのだろう、もしこいつに純白の翼でも生えてみろ、天使だなんだと言われて薄い本のようなことをされるだけだろう。幸運だな。

 天人族が覚醒すると、まず翼を使えるようになる。天使や天人族は、常に翼がある翼人と違って、任意で翼を出現させることができる、アイビスから話しを聞いたかぎりでは、まだ翼を出したことはないらしい。聞いたときは「何言ってんの?」って顔されたが。他にはまぁ、いろいろと凄いことができるようになるが、一番大きいことは天界とこの地上を行き来できるようになることだろう。とりあえずアイビスは天界に帰って、自分の力のことを学ぶ必要があるだろうからな、あと戦力も上がるし。

 俺はアイビスの背中にスッと手を当て、アイビスの体内を探る、エロい意味じゃない。背中でやる理由としては近いからだ、前は(いろんな意味で)ヤバそうだし、腕や足は遠すぎる、よって背中。


「あぁ……アリスの手、フニフニで気持ち良い……」


 無視するぞ。

 アイビスの中心深くに、固く閉ざされたクルミの実のようなものを見つけた、おそらくというか絶対これだろう、ちょっと光漏れてるし、この様子だと放っておいてもあと数ヶ月で覚醒しただろう。

 俺はアイビスを探るのを止めて、アイビスの背中に俺の魔力で魔法陣を描いていく。この魔術は俺が以前に【エコーロケーション】を強化した魔術と同系統のものだ、使う魔法は独自魔法の【オープンロック】という魔法で、対象の呪い、封印等を解除できる魔法だ。その代わりに消費魔力が大きく、その消費を抑えるために魔力消費効率上昇魔術式を併用しなくてはならない、まぁ昔は別にしなくても良かったんだが。


『縄を解け、枷を壊せ、牢を捻じ曲げ錠を開けろ、我が望むは自由なり、解放せよ【オープンロック】』


 詠唱を省略しないのは、魔力消費を抑えるためだ。詠唱省略や詠唱破棄は魔法を呪文の詠唱を省略する対価に相応と魔力を消費するからな、まぁ速度をとるか魔力をとるかって感じだな。

 俺が【オープンロック】を使うとアイビスの身体が輝き始める。俺とクレアはアイビスから少し離れた場所で見守った。

 光りが収まるとそこにいたのは、こちらを向くアイビス、背中にはそれなりの大きさの純白の翼が生えていた、アイビスの持ち前の金髪と白い肌に相まって、まさに天使という感じだ。

 パンイチというほぼ全裸じゃなければ、だが。こんなのただの痴女じゃないか。


「アリス……これって……」

「あぁうん、まぁいろいろと言いたいことはあると思うけど簡潔に言うぞ、お前は天使と人間のハーフ、以上」

「え、天……?うえぇぇ!?」

「驚くのは後でいいからまずは服を着ろ」


 アイビスは自分の背中に翼が生え、さらには自分がお伽話の中で出てくる天使のハーフだと知り、当然だが驚いていた、全裸で。

 俺がアイビスに服を着るように言うと、アイビスは困ったような顔でこちらを向いてきた。


「これ……翼が邪魔で着れない……」

「ん?あぁ、翼は……そうだな、翼がないと思えば勝手に消えるぞ」

「?」


 ……どうやらアイビスには俺の説明が通じなかったらしい、そもそも翼の出し入れなんてほとんど感覚でやるようなもんだし。え?なんで俺がそんなことを知っているかだと?その内分かると思うぞ。割りと早いうちにな。

 アイビスは数分の間、四苦八苦しながらもなんとか翼を消すことに成功した。


「ふぅ……これ、慣れないと大変だね……というかなんでアリスはこんなこと知ってるの?」

「……乙女のヒミツだよ」


 そうだよ。




 さてと、これでアイビスが天人(てんにん)族として覚醒したわけだが……


「アイビス、これからどうする?お前には2つ道があるわけだが」

「2つ?」

「そうだ、一つは天界に行ってその力の使い方を学ぶ道だ、まぁこれは絶対行ってもらうが……もう一つは、その前にイカれた宗教をぶっ潰すか。この2つだ、どうする?」

「そう……ね、そうだったわ。アリスのかわいさのおかげですっかり忘れていたわ」

「その一言余計だな」

「ふふ……。私はね、実は孤児なのよ、それで両親の顔も名前もわからずに路頭で迷っていたところを助けてもらったのが前代のレスニア教の司教様、まぁお義父様なわけなのだけれど。お義父様が殺されて、司教様があいつに代わってからレスニア教は狂ってしまったわ、けれど全員がそうではないの、私を助けてくれようとしてくれた人もいたの。それに、レスニア教が街のみんなに愛されていたのも本当なの……だから……そんなレスニア教を汚した奴らを」


 ぶっ潰すわ――とアイビスは続けた。俺の口の端が自然と釣り上がった。


「……いい返事だ、クレア、お前は――」

「行くよ」

「……いや、ダメだ」

「覚悟は、できてるから」


 クレアは流石に置いていこうと思っていたが、俺が何を言うか分かっていたかのようにクレアはそう言った。視線はまっすぐに俺を向いていた。


「……分かったよ、まぁお前がそこらの人間にやられるほどヤワじゃないのはわかってるがな」

「あー!ひっどーい!こんなか弱い乙女になんてことをー!」

「はいはい、か弱いか弱い」


 クレアと俺の小芝居を見てアイビスは笑った。暗い雰囲気(暗くない)が明るくなったような気がする。


 俺とクレアはフードを被り直し、仮面を再び付ける、今度は付けてても暑くないようにしてある。アイビスには一応翼を出したときの為に雰囲気にあうように白いマントと俺が付けているものと同じ魔法を付与(エンチャント)した仮面を渡しておいた。



 さぁ、行こうか。

はいどうも!作者の僕です!

今回はちょっと何言ってるかわかんないところがあったと思いますが脳内補完でどうにかこうにかお願いします!流れは決まってたんですが、中身は決まってなくてこんなことに……うぅ!

最近肉体的な百合が多い気がします、今回は酷い。ギャグとか書くの苦手なんですよね。


兎も角、総合評価ptが3000を突破しました!有難うございます!久しぶりに日間ランキングにも乗りましたし、このままどんどん人気出ないかなぁ(白目


さて、次回なんですが、実は明日から4日間は諸事情(中間考査)があるのでそれ以降、24、5日くらいに次をあげようかと思っています、もしかしたら月曜になるかも……


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