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第37話 突撃!隣りの盗賊団

「……どういうことだ?」


 俺がみんなにクレアとジェニーを発見したことを告げると、アインが俺を睨みながらそう言ってきた。半信半疑なんだろうか、まぁ分かるよ、愛しのジェニーがいなくなったんだからな。


「そのままの意味だ、クレアとジェニーを見つけた」

「それは本当なのか?」


 俺がそう答えると、こんどはリュークがそう言ってきた。整った顔はいまがやつれているようにも見える。お前ら本当分かりやすいな。

 リュークの問に俺は頷いて肯定した。


「俺も連れて行ってくれ、シイラの仇をとる」


 リュークは意を決したような顔でそう言ってきた。

 ここはゲームのようなご都合主義の世界ではない、こちらが1人や2人でも相手が数十人なんてことはよくある。それに、さっきのシイラの話しを聞いていると、あいつら3人は一人も殺していないようだった、少なくとも今は昔のように子供がナイフを身につけているような時代じゃないからな、殺人を経験した奴も少ないのだろう。リュークはあるのだろうか。


「人を殺せるか?」

「っ!……あぁ」


 なんか不安だな、見た感じから推測するとまだ未経験だな。初めてはきついぞ、俺も吐いたし。まぁいいだろう、リュークはそこらへんの冒険者よりも強いだろうし、ジェニーやシイラ程度に手こずるような輩ならおそらくは死ぬことはないだろう。

 リュークが決意を見せると、アインも俺に連れて行くように頼んできた。その表情はさながら少年漫画の主人公のようだった、そう考えるとジェニーはとらわれのヒロインという訳だな。

 取り敢えずアインとリュークが組んで行動すればあの盗賊のような集団に負けるようなことはないだろう、いや知らんけど。死ななければ治せるし、どうとでもなる。


 アインとリュークを連れて外に出る。二人共真剣を装備していた、なんでも院長の持ち物なんだとか、何者だよアンタ……不安だから向こうに着いたら”倉庫”にある適当な剣を渡すか。

 俺は装備を整えた2人に孤児院の倉庫にあったロープを俺が持ちやすいように(・・・・・・・・・・)巻きつける、2人は訝しげな顔をしていた。ロープは頑丈そうだったが、万が一切れると大惨事になるような行動をいまからする為、一応オーラを纏わせておいた。

 ロープがしっかりと2人に巻き付いたことを確認してから、最近まともに使えるようになったバトルオーラを全身、特に脚に纏う。バトルオーラを纏ったことで俺の身体がほのかに発光しはじめ、それをみた2人は驚きで目を開いていた。

 そして俺の準備が完了すると、まず地面を土魔法をつかって固めたあと、全力で目的地の方向に向かって飛んだ。俺が掴んでいるアインとリュークから声が漏れるが我慢してもらおう。

 いちいち門から出て行く余裕はないので、街の外壁を飛んだり走ったりしながら越えた。外壁から見える先は平原だったが視界の端には森が映る、件の洞窟があるのは”魔の森”の内部、あそこで間違いないな。

 外壁から跳躍し、平原を駆け抜ける。チラっと二人を見ると、目を回しているようだった、大丈夫なんだろうか……

 森の中に入るとこいつらを木にぶつけてしまいそうだったので、上から行くことにした、木々の葉をオーラを使って足場にしながらどんどん目的地に向かって進んでいく。最終的に着いた先は木で覆い隠されるように出来た洞窟だった、【エコーロケーション】を使ってみたがここで合っているようだ。

 地面に着地すると地面に叩きつけられた2人から呻き声が漏れる。


「おぇ……」

「もうちょっとマシな方法はなかったのか……」

「いや、そんな余裕ねぇから」


 アインもリュークもちょっと酔ってるぽかったので、回復薬を渡しておいた。数分休むと2人とも治ったらしく、顔に凛々しさが戻ってきた。ここで俺は2人にあらかじめ”倉庫”から出しておいた剣を渡しておく、院長に借りた剣は予備にするように言っておいた。




 洞窟の入口には見張りはおらず、明かりもなかった、夜の暗闇も相まって元々ここに洞窟があることを知らなければ見つけることは難しいだろう。俺とアイン、リュークは足音をたてないようにしながらゆっくりと洞窟の内部を進んでいく。たまに【エコーロケーション】を使って見張りがいないか確かめながら進んでいくが、洞窟を進み始めてすこし経った頃、相手側に動きがあった。


「……クレアとジェニーが牢屋から出された……?いや、これは……」

「ど、どうしたんだよ……」


 洞窟のさらに奥にある牢屋からクレアとジェニーが出された、しかしクレアは長耳の人間の集団に、ジェニーは盗賊っぽい人間の集団にそれぞれ連れて行かれた。クレアのほうはなにか信仰の対象でも扱うかのようだが、ジェニーのほうは違った、ヤるきだな……こいつら。

 なるほどな、大方あいつらは盗賊で、長耳に依頼されてクレアを攫うように言ったんだろう。しかしいざ攫ってきたのはクレアともう一人の少女、揉めてたのはそれでだろうな、多分というか確実にジェニーはあいつらのお楽しみ(・・・・)の為だろう、シイラが殺されそうになったのは……まぁ、亜人が嫌いなやつはどこにでもいるということだ。


「チッ……アイン、リューク。ここから右に一直線の場所に階段があるはずだそれを降りてから、脇目も振らずに走った場所にある部屋に行け、そこにジェニーがいるはずだ!いいな?」

「は!?」

「いいから行け!手遅れになる前にな!」

「行くぞアイン!アリス、お前は?」

「俺はクレアのとこに行く」


 リュークはなにか言いたそうだったが、それを飲み込み、アインを連れて俺が指示した方向に急いだ。なるほど、やはりリーダーシップがあるな、さすがアニキ。

 リュークたちが行ったのを確認してからもう一度【エコーロケーション】を使い、俺はクレアがいる方向を目指す。クレアは相手が言い争っていたあの開けた場所に連れ込まれており、その周囲は長耳野郎が囲っている。いまは長耳の代表らしき人物が一方的にクレアに話しかけているところだった。

 俺は急いでクレアがいる場所に向かうが、曲がりくねっている洞窟内部では速度が出しにくい、壁に衝突して落盤しましたとかシャレになんねぇからな。そうして俺がもたもたしている間に長耳が行動を起こした。

 長耳の代表(仮)がクレアに襲いかかったのだ、クレアの衣服を破り、クレアは声は聞こえないが叫び、泣いている。


 ――俺の脳裏に遠い記憶が蘇ってきた。


 笑いながら俺のほうを向き、”ごめんね”とつぶやいて俺に抱かれながらゆっくりと暖かさを失う少女。

 光りを失った目を俺に向ける、俺のことが好きだった少女。


 次の瞬間、俺の身体をドスの効いた赤黒いオーラが纏う。あぁ、今の俺でもコレ(・・)は使えるのか……

 そして俺はクレアがいる部屋の扉を粉々に吹き飛ばした。


「テメェらァァア!覚悟は出来てんだろうなァ!」

「な、なんだぁ!?」

「アリス!!」


 俺はそのままクレアに接近し、クレアを襲っている長耳の男の首根っこを掴んで壁まで放り投げる。


「ぐぇ!?」

「お、長様!?おのれ貴様ぁ!!」


 俺が長様と呼ばれた長耳を放り投げたのを見て、周りの長耳も俺を睨んでくる、おぉ怖い怖い。長耳の長も、手加減したため、他の長耳同様、俺を睨みながら俺が投げたときに打ったのか腰を抑えながらヨロヨロと立ち上がった。


「お前ら!あの蛮族のガキを殺せ!」


 長耳の長がそう命令すると、周囲の長耳たちは一斉に杖を構えた。魔法武具か、こうして戦闘で使われているのを間近で見るのは初めてだ、俺が何もせずに見ていると長耳たちが詠唱破棄を使い、風属性の中級魔法【ウインドカッター】を放ってくる。

 それを確認した俺は、クレアを抱きしめ、俺の周囲に赤黒いオーラをドーム状に展開した。そして【ウインドカッター】がそのドーム状のオーラに接触したとたん、ガガガと何かが削られるような音をたてた。そして風の刃はドーム状のオーラに阻まれて俺たちに届くことはなかった。


「な、なんだこれは!?」


 俺の古い友人の話しでは、魔力は元々この世界にはなかったらしい。魔力は本来、この世界とは少しズレ次元の世界である”冥界”の不思議エネルギーだというらしい。そして、この世界の生物が持っている本来の力はオーラである、と言われている。というのも、オーラと魔力は相性が悪く、オーラを纏った戦士には魔法が効きづらかった、反対にオーラは魔力に強いのかというとそうでもない。まぁそれは魔力は所謂劣化版であり、冥界の高位生物が生成する”上魔力(エーテル)”と呼ばれるものがオーラと同等だったりするのだが、今は置いておこう。

 いろいろと説明は省くが、簡単に言うといまの俺に魔法は一切効かない、つまりそういうことだ。


 自分たちの魔法が阻まれて困惑する長耳たちを他所に、俺は己の内から湧き出てくるドス黒い感情を思い切り周囲にぶちまける。もちろんクレアに影響が出ないように注意はするが……ついでに長耳の長も。

 俺を中心に目には見えない、俗に殺気と呼ばれるものが周囲の長耳を襲った。俺とクレア、そして長耳の長を除いた全ての長耳が白目を剥き、ガクガクと震えて泡を吹きながら地面にバタバタと倒れていく、そして少しの間ピクピクと動いていたがやがて動かなくなった。

 強すぎる殺気は、それに慣れていないやつがまともに浴びるとショックで心臓麻痺を起こす。有り得ないと言われそうだが、出来るんだから仕方ない。こうしてみると俺って力失った割りには結構無双してる感じがするな。


「な、なんだ……どうしたんだ!?」


 長耳の長はバタバタと倒れていく仲間を見つめ、俺が何かしたという結論に至ったのかこちらを睨んできた。


「貴様ァ!こんなことをしてただで済むと思っているのか!」

「どうなるんだ」

「覚えていろ、我々エルフ(・・・)族が総力を上げておまえを―」

「エルフ?」


 ……聞き間違いか、今エルフといったのか?


「ふん!そうだ、我々は貴様蛮族と違う、崇高なるエルフ族だぶふっ!?」


 俺はまだ話しそうな長耳の長の顔を蹴り飛ばす。俺の周囲を纏っていた赤黒いオーラは一層濃くなった。

 エルフ……?馬鹿を言うな、おまえたちはエルフじゃない、かといって獣人や竜人といった亜人種でもない、強いて言えばおまえたちは――


「薄汚ねぇ人間風情が……エルフの名を語ってんじゃあねぇよ」


 ただの、少しばかり耳が長いだけの……人間だ。

はいみなさん!最近ストーリーが迷走気味で自分でも何が言いたいのかわからなくなることがある作者の僕ですよ!

前話のあとがきで、三点リーダ使いますよーって言った次の文章で早速忘れてましたね。

血生臭い話とか書きたいんですが、自分はそういう経験がないもので……難しいですね!


次回更新は一週間以内(保険)!出来れば2、3日以内に投稿しますよ!


それでは!お気に入り登録または評価をよろしくお願いします!

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