第34話 これは努力の成果だよ!
取り敢えずクレアが冒険者になるという件はひとまず保留ということになった。まぁいろいろと準備が必要ですし、今日で長期休暇もとい夏休みが終わりますし、とにかくまた今度だ。
最終日はギルドに行くわけにもいかず、暇だから取り敢えず孤児院の掃除をした。クレアもさっそくバイトを辞めてきたらしく、一緒に掃除をした、やはり二人でやったほうが効率が良いな。その日、孤児院は光り輝いた。
まぁそんなこんなで長期休暇終了のお知らせ、今日からまた学校だ、課題もないし、別に学校も嫌いではないので別に憂鬱ではない。
久しぶりにノクタスの街の霊獣車に乗った、安定の速さと安さ、1ジルはコウクンの街の霊獣車を使った後だとやはり破格の値段に聞こえる、まぁあちらと違ってこっちは使用する人数が段違いに多いからな、1ジルでも支障はないのだろう、素直にありがたい。
久しぶりにみたシルバニア学院、相変わらず大きい。
他のやつらと分かれてクレアと一緒に教室に向かっていると、声を掛けられた。そっちを向くと、そこにいたのは、身長が160後半ほどあり、サラサラの金髪をお持ちになっている。爽やかそうなイケメンだ、そこらを行き交う女子生徒が爽やかイケメンのほうを向いて頬を赤くしている。俺か?頬なんぞ染めるわけないだろう。
イケメンはすごい慣れ慣れしく俺とクレアに挨拶してくるが生憎知り合いではない、横のクレアにも聞いてみるが分からないらしい、そらみろ、お前は誰だ。
「え...?本当に分からない?俺だよ、俺俺」
なんだ貴様、オレオレ詐欺か?引っかかる分けないだろう馬鹿め。
俺が爽やかイケメン(詐欺師)の方を睨み、クレアが首を傾げていると、そいつは観念しながら額に手を当てて溜め息を付いた。
「俺だよ、レイザックだよ、忘れたのかい?」
「は?」
「え、うそ...!」
馬鹿言うんじゃないぞこの野郎、レイザックは顔は爽やかイケメンだったがどっちかっていうぞショタ枠だぞ、お前みたいな青年ではない。
「嘘じゃないよ、長期休暇の間に身長が伸び始めたんだよ、ちなみにまだまだ伸びる予定だよ」
あぁ、成長期か...まて、俺は?俺の成長期どこいった、帰ってこい、俺はお前を待っている。
「へぇ~レイザックくんますますイケメンになっちゃってモテモテなんじゃない?」
「う~ん、どうだろうね、どっちかっていうと前よりも女の子が近寄ってきてくれないんだけど」
見た感じどこぞの王子っぽいしな、いまもそこらの女子が頬を赤くしてポォっとしてるし、見惚れてるんだろ。俺は男に見惚れるような趣味はないし、クレアも興味なしみたいだ。
「あれ?そういえばアリスはあんまり背が伸びてな――っ!」
「皆まで言うな」
俺はレイザックの言葉を遮って腹に肘を一発お見舞いしておいた、大丈夫、オーラは纏ってないからそんなに痛くないはずだ。
「こっ、声変わりはしたんだ...良かったね」
「何が良かったんだ?」
「イエ、ナンデモモナイデス」
俺の声は以前のような低さまで下げれなくなってしまった、代わりと言ってはなんだが、風魔法でそれなりの低さの声にしてある。身長は変わってないのに声だけ一丁前とかなんかやだな、女の身体である以上、そこまで背が伸びないのは承知の上だが、少なくとも160以上は欲しいな。
俺が睨みを効かせると、レイザックはなにか怯えるような表情で冷や汗を流し、視線を逸らしながらそう言った。どうやら彼の中にひとつの心的外傷が誕生したようだ。あまりそのままにしておいてもかわいそうなので、俺が普段どうりに戻るとそれに伴ってレイザックも元気になっていった。あ、なんか楽しい。
その後はレイザックも一緒になってなんでもない会話をしながら教室を目指した、例の事件の話しも出てきて、割と他の街でも騒ぎになっていたようだった。そして廊下ですれ違う女生徒はほとんどがこちらを見て頬を赤らめて行く、レイザック、お前すごいな、全然羨ましくないけど。
久しぶりの教室だ、中にはもうそれなりの生徒はいたが、男子生徒はほとんどが本格的に成長期を迎えたようで、長期休暇前と後ではかなり外見が違っている。みんな筋肉質だな、この世界には娯楽が少ないし、女子はお茶やらなんやらがあるらしいが、男がやることと言えば身体を動かすことくらいだからな、俺もちょっと羨ましい。
毎日筋トレをしているが最近はまったく成長した感じがしない、魔力やオーラは順調なのだが...限界か、早すぎるだろう。体力面での問題もあるが、成長を妨げるかもしれないという理由で過度な筋トレはしていないんだが、これはないだろう。俺の二の腕プニップニだぞ、コブすら出来やしねえ。筋トレの甲斐あってか全体的に身体がスラッとしたが全く嬉しくない。オーラが使えないと俺どうなってたんだろうなぁ。
その後、教室に全員が集まると、そのまま武道館に移動して始業式が始まる。学院長の話しが長い、そんなんだからお前の頭頂部はハゲるんだ、絶対そうだ。長い長い始業式を終えて教室に戻ると、なにやらジーナ先生からなにかの説明があるようだった、みんなはそれを今か今かと楽しみにしている。一体なにがあるというんだっ....!
「それでは、シルバニア学院、毎年恒例の学院祭についての説明をする」
学院祭、文化祭のようなものだろうかと思ったがやはり違った。内容的にはどちらかというと武術大会といったほうがいいだろうか、魔法科と剣術科のさらに中等部と高等部に分かれて行うものだったり、魔法科と剣術科とで分かれて行うものだったり、全生徒だったりさまざまだが、ようするに戦うための大会だ。野蛮すぎる。俺はあまり目立ちたくないし、まわりのやつは今の俺からしても話しにならない奴らばっかりなので正直楽しくない。ということでパスだ。俺は魔力量を増やす訓練に勤しんだ。
説明会が終わって昼休み。食堂で食べる昼食も久しぶりだ、でもおっちゃんのが美味しいんだ、ここがマズイわけはない、その証拠に横のクレアはご満悦だ。ソースを口元につけて、まるでお子様ランチにはしゃぐお子様のようだ、まだ12歳だしそれでいいのかもしれないが...なんとも残念だな。俺がハンカチてきなやつで口元のソースを拭ってやると、クレアは俺を見ながら照れたように笑った、かわいいがお子様だ。向かいに座るレイザックが微笑ましいものを見る目でこちらを見ていたので睨んだら冷や汗をダラダラ流し始めた、やっぱ楽しいわこれ。
そしてやってきました実力測定、以前には1月、4月、7月とやっているのでこれで4回目だ。みんな慣れてきたようでかなりスムーズに進んでいく、かなり後もつかえているし、急いでいるんだろう。あのオネェっぽい教官とも久しぶりにあった、また逞しくなってた。
そしてその実力測定の結果がこれだ。
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氏名:アリス・エステリア
性別:女
魔力:16855
筋力:E-
体力:E
適正
火:SSS
水:SSS
風:SSS
土:SSS
光:SSS
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どうよ、頑張っただろう、特に魔力な。増えすぎじゃないぞ、俺の予想だとこれが昔の一般的な数値だ、魔法使いなら基本的に魔力はSより上だったはずだし。
俺の【ステータス】だと魔力の数値化はされないし、実力想定で増えているかどうかを確認するしかいまのところ手段はない、というかこれも魔法じゃなくて魔術だしな、魔法の場合は呪文とかに手を加えられるのは製作者だけだし。まぁいいか、そこまで困っているわけでもないし。
ちなみに俺の【ステータス】を使った場合の結果はこれだ。
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名前:アリス・エステリア
年齢:12
性別:女
魔力量:B-
オーラノード:C
筋力:F
体力:F+
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悲しいかな、これが現実だ。
兎に角、しばらくは平和そうだし、のんびりと過ごすことにしようか。
花粉症で左目だけが痒い作者の僕ですよ!
ネタを考えました、そして次回、TS作品恒例のアレの話題いきます、アレですよ、分かりますよね。
しかし最近ネタ切れ気味です、早くアリスの学年を2年に上げねば。
次回更新は安心の一週間以内、自分のなかでは2日に1回というペースで頑張ってますがそろそろペースが落ちてきそうです...
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