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第30話 迷宮からの脱出

ユニーク5万人突破有難うございます!

 目が覚めると視界に入ったのは石の天井、体もひんやりとした石の上だ。右手の近くには雪華が転がっている。そういえば暗視ゴーグルをパーシオンの攻撃で落としたはずなんだが問題なく見えてるな、最終階層だけ迷宮の床とか壁とかが光ってるんだろうか。

 目が覚めたのはいいが、身体が重い、周りには血がそこらじゅうに飛び散ってはいるが無事に出血死は免れたようだ。しかし致命傷は回復薬である程度塞いだが、細かい傷が所々に残ってて、服をいたるところが破れており、血だらけじゃなければ大分色っぽいというか、率直に言うとなかなかにエロい格好をしている、あくまで血だらけじゃなければだが。

 魔力の回復具合から見て俺は3時間ほどここで眠っていたらしい、最終階層はボス以外の魔物はいない、そのためボスであるパーシオンが不在のいま、この最終階層はかなり安全な場所とも言える。

 俺は回復した魔力を使って”倉庫”から回復薬をいくつか取り出し、破れた服を脱ぎ捨てて回復薬を身体中に塗っていく、擦り傷や切り傷に指が触れると出したくもない声が口から漏れてくる、痛い。

 回復薬を塗り終えると”倉庫”から予備の服や下着を取り出す、服は勿論上下黒だ。服を着込むときにも傷に布地が触れてチクチクと痛む、早く【キュアー】で一気に治したいんだがなぁ。服を着たあとは”倉庫”からレイピア、ではなくそれ以前に付けていたショートソードを取り出しておく。ついでに雪華を拾い上げて、軽く労ったあと”倉庫”に戻しておく。

 俺がすぐ横に目をやると、そこにはパーシオンが残した竜玉が落ちている。俺はそれも拾い上げ、”倉庫”に保管した。俺は手を合わせ、軽くパーシオンに対して黙祷する。


「...よし」


 さて、やることはやった、切り替えるぞ。

 取り敢えずここを出よう、その前に財宝だ。迷宮といえば最終階層に眠る財宝だと言っても過言ではない、各階層にランダムに出現する宝箱も魅力だが、迷宮の最終階層には金はもちろん、魔法道具や魔法付与(エンチャント)がかかった武具なんかもある。そんな財宝が眠る宝の部屋、所謂宝物庫が迷宮の最終階層には存在するのだ、当初はここまでくる予定ではなかったが、結果論だ、良いとしよう、終わりよければすべてよし。

 そう思って部屋の入口を探していると、迷宮のコアの丁度後ろのほうに扉らしきものが見えた。


「お、あった」


 近づいてみると、その扉は最終階層の床や壁と同じ様な材質で出来ていた。俺はその扉を開けようと思って押してみるがビクともしない、引くドアなのか引き戸なのかと思ったが取ってがない、くぼみもない。そういうわけで俺はある程度回復したなけなしのオーラを纏って石のような材質の扉を押し開ける。これでもまだ足りなかったようで、ギギギと音を立てながらも数分かけて扉を開けた。もうちょっと滑りをよくしておけよ迷宮、辛いだろ。

 中に入るとそこは金色に輝いていた。金貨がザックザク、だがお前はいらねぇ、”倉庫”の中にどれだけ金貨入ってると思ってんだ、まぁ貰うけど。

 俺は片っ端から金貨を集めて、ある程度溜まったら”倉庫”の金庫用の部屋に放り込んでおく。しかし”倉庫”を使うのにも魔力がいる、1度に全部入れるのは無理かも知れない。そんあことを考えながら割とホクホク顔で”倉庫”に金貨を放り込んでいく。

 たまに魔法付与エンチャントされた武具が金貨の中に埋まっていたり、そのほか魔法道具や普通の武器防具も埋まっているのでそれらは分別しておく。マンガでよくある迷宮の宝物庫は、金貨とか武器とか装飾品とか細かく分けてあるがそれは幻想だ。ここは人間で言う胃みたいなもんだ、吐き出さんが、兎も角、人間が食べたものをごっちゃにして胃に放り込むように、迷宮も、自分の中で死んだ冒険者の装備品はここに集める、そして迷宮が「いらん」と感じたものは、一時的に宝箱に入れられ、その後消滅する、原理は分かっていない。

 まぁそういうわけで、ここにあるものは実をいうと全部遺品なわけなんだが、そんなものは関係ない、これは迷宮の財宝、それで万事解決、なにも心配はいらない。

 宝物庫の金貨をすべて”倉庫”に放り込んだときには、すでに俺の回復した魔力もかなり持って行かれていた。そのため、俺は少し休憩を取っていると、腹減ったということを俺の腹が伝えてくれたので軽く食事を取る、魔物の肉を上手に焼いて貪りました、美味しいです。ただなんか肉食いすぎて胃もたれしそう。

 食事もとって腹も膨れたことだし、俺は”倉庫”に財宝を放り込む作業を再開する。残っているのは主に装備品と魔法道具、もちろん全部頂く。魔法道具は、あまり良いものがなかったが、ライターやポットの代わりになるようなものがあり、そのほかにも私生活に役立ちそうな魔法道具がたくさんあった、なんだこれ、そうだこれをお土産にしよう。

 装備品は、ありきたりな剣や弓、魔法武具ばかりだったが、どれがいつ役にたつか分からないので一応全部”倉庫”にしまう。あまり良い武器はなかった、強いて挙げるとちょっと刃の部分が暖かくなる能力を持ったナイフの魔剣があったな、火がでるんじゃない、暖かくなるんだ、カイロか、しかも適温だ。

 宝物庫内の財宝を全て”倉庫”に入れ終わったあとに残ったのは、ちょっと狭い石の部屋だった、ありがとう迷宮。

 あとはここをどうやって脱出するかなんだが、それも問題はない、宝物庫の床には魔術式が描かれており、魔力を通すと迷宮の外に転移できるらしい。まぁ転移するのは良いんだが迷宮の入口とかは止めてほしい、目立ちそうなんで。

 取り敢えず、まずは迷宮のコアをどうするかだな。迷宮のコアを取り除くとその迷宮は死ぬ、死ぬと言ってもすぐにダンジョンが消える訳ではないし、魔物が沸かなくなるわけでもない、迷宮がコアを失うと、竜が竜玉を失ったときと同じように、魔力が回復せずにゆっくりと死んでいくのだ。だんだん魔物が沸かなくなり、迷宮の最終階層からだんだんと崩れていき、最終的にすべてが埋まる、こんな感じだ。

 そういうわけで迷宮のコアを取ったところですぐに死ぬわけじゃないから俺が迷宮倒したみたいな噂は流れないだろう、そういうわけで迷宮のコアは持って帰ることにした。

 迷宮のコアは紫っぽい赤色の光りを爛々と放っており、その上下には肉の柱のようなもので繋がっている。俺はコアの両端をオーラを纏って切り落とし、コアを受け取った。コアは、肉柱から切り離されると同時に白く輝き始めた、高純度の魔力結晶の証だな。コアから切り離されら肉柱はとたんに元気がなくなったかのように細くなり、腐ってしまった、くさい。


「さてと、帰りますか」


 俺は宝物庫の魔術式の上に乗り、魔力を流し込む。すると魔力をすこし流したところで、別のところから魔力が供給され始め、勝手に魔術式が起動した、そういえばこれ罠とかじゃないよね、最後の最後にそんなのないよね。

 そんな俺の思いも虚しく、魔術式が起動し、俺は再びあの浮遊感を味わった。




 気が付くとそこは丘の上だった。既に日は落ちかけ、空が赤い。下をみるとあの整備された道が見え、露天商たちが帰っていくところだった。なるほど、ここはアラクの迷宮の真上らしいな。久しぶりの外の空気、あぁ、美味しいなぁ、いま俺生きてるって感じがする。

 俺は取り敢えず下に誰に見つからないように下に降りて、さも迷宮の中から出てきたように装う。向かう先は霊獣車、さすがにいまの身体の状態であの距離を歩いて帰ろうとは思わないし。霊獣車の御者に話しかけると、もうすぐ街まで帰るらしいので載せてもらうことにした、乗車賃は銀貨1枚、なんと100ジル、ぼったくりではなかろうか。ノクタスの街の乗車賃1ジルを見習え。

 そのあと、少しまったが誰も出てこなかったので、俺一人を載せた霊獣車はそのまま出発し、コウクンの街へ向かった。

 街に付いたときはほぼ日は落ちていて、空は暗くなり始めていたが、街はまだまだ賑やかだった。パーシオンから頼まれたこともあるがそれよりも疲れがヤバイ、今日もまた”割と満腹亭”で一泊するとしよう。

 その後、おばちゃんに「やっぱり来たね」と言われたのは言うまでもない。俺は確保されていた205号室に向かう、久々のベッドだ、とたんに俺を睡魔が襲う。俺はきちんと扉に鍵をかけたあと、泥のように眠った。

最近は一週間以内とかいいつつも2日おきくらいに投稿しているので、頑張ってそのペースを維持できればいいなと思っている作者です!

物語がなかなか進みません、メインヒロインの影がどんどん薄くなっていく!閑話とかも入れてみますか!


次回の更新は、取り敢えず保険で一週間以内と言っておきます。もしかすると僕のやる気が頑張ってくれるかもしれません、期待はしないでください。


それでは、お気に入り登録または評価のほどをよろしくお願いします!

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