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第28話 赤竜との戦い

 俺は床に倒れた衝撃で我に返った、喉になにか詰まっている。吐き出すと、それは唾と血の塊だった。ふと視界に入った俺の髪は黒ではなく銀だった。

【カリング】は、俺が意識を失うと効力を失う。睡眠の場合は別だが。その【カリング】の効果が切れているということは、俺はあの竜に飛ばされて短い間だが気を失っていたらしい。

 俺は痛む身体をよそに立ち上がろうとするが、左腕が動かない、右足もだ。さらに動こうとすると胴体に鈍い痛みが走る、どうやら肋骨が逝ったらしい。

 なるほど、重症じゃないか。


 俺が自信の状況を確認していると、俺も吹っ飛ばしたあの竜が口を開いた。


「ふん...他愛のない...すこしはやるかと思ったが...――」


 竜は、久しぶりに出会った外敵が、自分の軽い攻撃1つで死にかけていることにお怒りのご様子だ。

 安心しろ、俺はまだ死んじゃいない。


 俺は掠れてほとんど声も出ない喉から一語一語紡ぐように呪文を唱えていく。


『―――、【キュアー】』


 俺が魔法を発動させると、俺の身体が淡い緑色の光りに包まれる。俺が使った魔法は、独自(オリジナル)治癒魔法の【キュアー】だ、べつに治癒魔法なら他に【ヒール】やらその上位互換の【エクスヒール】やらがあるのだが、残念ながら、それらの魔法は、俺が作った【キュアー】に比べて極端に燃費が悪い。

 それは兎も角、【キュアー】を使ったことにより、俺の全身の骨折が一気に治っていく。俺が魔法を使って僅か数秒で、左腕、右足、肋骨の怪我を完治させる。しかし変わりと言ってはなんだが、俺の魔力の半分以上が【キュアー】に持って行かれた。それに、魔力量が足りないため、行動に支障がでる骨折や内蔵へのダメージは治したが、全身には壁に激突したことで出来たであろう細かい傷やところどころにある打ち身はそのままだ、はっきり言って満身創痍、全身が重いし痛い。

 死んだと思っていたのか、竜は立ち上がった俺を見て、ニィとその凶悪な牙をむき出しにして笑みを作った。


「ほぅ、死んだと思ったが...なるほど、やはりお前は我を楽しませてくれそうだ」


 何時からここに居るのかわからないが、竜の言動と、外の状況から考えて軽く数百年は誰もこの階層に到達していないのだろう。竜が新しい玩具を買ってもらったばかりの子どもにも見えてくる。なるほど、この竜はかなり暇らしい。


 しかしまぁ、俺は馬鹿なのか?自分でも言うのか馬鹿なのだろうか、いや、馬鹿なんだろうなぁ。

 あれが俺の全力?いや、違うだろう。


 俺は手に持ったレイピアと即席で作ったレイピアの鞘を”倉庫”にしまう。そして代わりにひと振りの剣を取り出す。透き通るようなその剣身はこの世界では珍しい片刃であり、少しだけ反っている。柄は綺麗な花の模様に切り抜かれており、柄には紐のようなものが交差するようにして巻きつけられている。

 この武器の名前は日本刀、銘は”雪華(せっか)”、俺が唯一本気で作った、神剣(・・)だ。

 その刀身からはスラスラと白い冷気が降り注いでいる、雪華は氷の神剣だ、炎を操る(おまえ)にぴったりの武器だろう。


「それは...」

「神剣”雪華”、俺の愛刀だよ」


 竜の疑問に俺は短くそう答えた。

 雪華は俺の魔力を吸ってその効果を発揮させる刀だ、いまの俺の魔力を少し注ぐだけで、かなりの威力を発揮できるだろう。

 だが、いまの俺がほぼ全魔力を雪華に注いだとして、その魔力を全て使って雪華で攻撃しても、おそらくあの竜は死なないだろう。魔力を使うことで雪華ができることは主に二つ、1つは雪華の能力、氷を作り出すことだ、氷の刃を作り出したり、周囲を凍らせたりできるが、いまの俺の魔力ではどうやってもあの竜に致命傷は与えられないだろう。もう一つは神剣や魔剣、聖剣などといったものが持つ標準的な能力、武器自身とその使用者の強化だ。

 雪華の刃は欠けることはないが、切れ味はそれほど鋭くはない、それを強化で補う。ついでに俺の回避能力もその強化に頼る。神剣である雪華は、少しの魔力でも多大な恩恵を与えてくれる、今の俺でも、あの竜と15分程度ならまともに戦えるくらいにはしてくれるだろう。

 いや、まだ竜の能力の全てが分かった訳じゃないから、もしかしたら15分が10分になるかもしれないが。

 竜よりも遥かに強くならなくてもいい、あの竜と同程度の戦闘が出来ればそれでいい、それさえ出来ればどうとでもなる、と思う。よくよく考えれば、今の状況は昔の俺がずっと求めてきたものだ、俺と同程度、いや、俺よりも強い奴と戦いたい、俺はそれだけを考えて行動していたときがあった。ある出来事のおかげでその考え方は見直したのだが、それでも俺は、昔のチートだった俺は、少しでも()()()()()()()()()()()()()()()()()

 その夢が叶った。今となっては全く嬉しくともなんともないが...それでも、俺はこの状況が楽しかった。


「っけ、昔ほどの力がでないことがこれほどイラついたことはないぜ」


 俺はそんな愚痴を言いながら巨大なその竜に刀を突きつける。


「行くぞ、雪華」


 雪華に魔力を注ぐ、雪華から出る冷気が勢いを増し、その刀身が凍り始める。

 竜はまだ呑気そうに俺を眺めている、この状態の雪華を見て何も思わないのか、流石、戦い慣れていない竜は違うな。


 俺はいま雪華の強化のおかげでかなり身体能力が向上している。俺はそこにさらにオーラを纏って身体能力を強化する。昔の俺にはまだまだ及ばないが、これでまぁ一応は竜と同程度の機動力を保てるはずだ。残り時間は約14分、それを過ぎれば俺は死ぬ。

 俺は地面を蹴り、走り出す。その速度は亜音速を軽く超える、俺の身体がミシミシと嫌な音をたて、身体中に痛みが走るが俺は無視する。竜は突然消えた俺を探すように首を左右に動かすが残念ながら俺はお前の下にいる。

 いつもの俺は、生物の基本的な急所である首を執拗に狙っているが、竜の場合、頭から首、胸にかけてが一番鱗が厚い、加えて顎の下のは逆鱗がある、万が一そこにあたって不用意に怒らせることはないだろう。

 狙うのは、鱗が薄い、目、口内に続く弱点である腹だ、鱗がないことはないが他の部位に比べれば格段に薄い。

 俺は雪華を上に思い切り薙ぎ払うが竜の腹に当たると雪華が跳ね返ってくる、しかしそれを力にものをいわせてそのまま薙ぎ払うと、竜の腹は切り裂かれ、赤い血液が漏れ出す。竜はいきなり自分の腹に激痛が走ったため、悲鳴のような声を上げる。

 俺は赤竜の返り血を浴びながらも悶えて暴れる赤竜から距離を取る。


「ゼラァ...!我の身体に傷を入れるとは...なるほど、お前の力を侮っていたようだな...!!」


 腹から出血はすでに止まっている、おそらくもう傷が治癒したのだろう、相変わらず馬鹿げた治癒能力だ。

 赤竜はゆっくりと俺の方を向きゆっくりと話す、その瞳には怒りも混じっている。いままで自分の身体を傷つけられたことがなかったからだろうか、それとも、俺の力に気がつかなかった自分自身に怒っているのだろうか。恐らくは前者だ。


 竜は思い切り息を吸い込む、吸い込むにつれ胸が膨らむ、竜お得意のブレス攻撃、赤竜が放つのは灼熱の炎だ。

 俺は雪華を垂直に掲げ、追加で魔力を注ぎ、もう一つの能力を発動させる。雪華の周囲の水分までもが凍りはじめ、俺の息が白くなる。


「ゼラアアアアアアア!!!」

「うらあああああああ!!!」


 竜がブレス攻撃を行ったのと同時に、俺は雪華を思い切り振り下ろす。すると俺の前方が瞬時に凍結する、現れたのは氷の盾、だがいくら神剣でもいまの俺の魔力では赤竜のブレスは防ぐことは到底できない。氷の盾は赤竜のブレスの少しの間だけ受け止めたあと、ジュっという音とともに蒸発する。しかしその時すでに俺はその場所には居ない。竜の弱点の1つとしてブレス攻撃中は動けないというものがある、空中でブレスを放つ竜もいるが、普通はブレスの反動が強すぎて、地面で爪を滑り止めにしないと、ブレスを放った竜自身が後ろに吹っ飛ばされるためだ。

 俺はブレスを放って動けない竜の側面に回りこみ、巻き込まれないように、ブレスが終わるのを見計らって腹を数回に渡って切り裂き、再度竜から距離を取る。竜は終わりかけのブレスをそこらにぶちまけながらも悲鳴を上げる、しかしあまり深くないにしろ、それなりに切り裂いたはずのその傷はすぐに閉じてしまう。

 しかしいかに竜と言えど、永遠に傷が治癒し続ける訳ではない、あれは竜のもつ魔力を使って治癒している、もちろんブレスにも膨大な量の魔力が使われている。俺が狙っているのは竜の魔力の枯渇だ。

どうしようか考えた末、このような感じになりました。

戦闘シーンを書くのは好きですが、描写が雑すぎて可哀想なことになってしまいました、恨むぞ僕の語彙力。


さて、次回はまだ書きあがっていませんが、おそらく2日か3日後あたりには投稿できるかなと思います。


それでは!お気に入り登録または評価よろしくお願いします!

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