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第15話 弱音

10万PV達成しました!みなさまありがとうございます!これからもよろしくお願いいたします!

 暗い。ひたすらに暗い。

 俺はそんな暗い空間に立っていた。何故か俺の姿だけはくっきりしている。

 俺は死んだ、アレに毒を盛られて、ナイフで刺されて。あの時、なぜすぐに毒を盛られたのか気づかない俺も俺だが、昔の俺は毒にかかったこともない、いや、実は侵されていたのかも知れないがどっちにしろ気付かなかった。

 まぁ、俺の慢心が招いた結果なんだろうか。俺は自分が毒にかからないことを前提にしていた、あの時は熱中症かなにかだと思っていたしな。

 

 俺は暗い空間の中で一人考え込んでいると、不意に少し離れたところが、淡く光り始めた。

 その光が収まると、そこには白い肌に白い髪、プロポーション抜群のナイスバディをした美人が立っていた。


「随分可愛らしくなったものだな、アリス」


 この世界には竜と呼ばれる種族が存在する。ひとえに竜といってもいろいろと種族があるのだが、その中でも個体数が少なく一際力の強い種族がいる。

 その種族の名前は古竜種、俗にエンシェントドラゴンと呼ばれる竜たちだ。

 しかも彼らのほとんどは固有種、なぜなら彼らは子を作らない、いや、作れないといったほうがいいのか。彼ら古竜種の多くは性別がなく、性器を持っていない。何故かは知らん、それゆえの固有種なのか。

 それはともかく、知能があり、魔法が使える竜は、”人化”という能力を使う。その名の通り人間に化ける術だ、普通の竜たちは性別があるため、”人化”を使うと、自分と同じ性別の人間の姿に化けるのだが、性別のない古竜種たちは、何故か全て女性の姿になる。何故かは知らん。

 それもともかく、俺の目の前に立つ、この超絶美人さんなんだが、こういうことを言ったあとだから分かると思うが。


 竜神バハムート


 古竜種の王であり、すべての竜の頂点に立つ存在であり、俺と眷属契約を結んだ竜でもある。

 だが、バハムートは俺の異空間生成魔法でつくった異空間に入っていたはずだ。俺が死んだあと、あの異空間は閉じて、中にいた俺と眷属契約を結んでいた連中も死んだはずだが...

 いや待てよ?そういえば”倉庫”は無事だったな。こいつらも同じなのか?...まぁいいか。無事ならそのうち出てくるだろ。


「...無視しないでくれ」

「あ、すまん」

 

 超絶美人、もといバハムートは寂しそうな顔で俺に抗議してきた。かわいい。


「それで、何か用か?」

「なにか用かってお前...それが、お前が死にそうだったから、異空間から無理やり出てきて傷を直して毒を抜いてあげた竜に言う言葉か?」

「あぁ、その節はどうも...て、異空間から出てきた?ということは、お前以外のやつらも無事なのか?」

「あぁ、健康そのものだ」


 なんだ、無事なのか。しかしそれなら何故俺は連中を放り込んでおくために作った異空間”ホーム”に【アクセス】できない?俺の疑問は、俺の顔からなにを思っているのか察したバハムートが答えてくれた。


「お前が私たちのいる空間と連絡がとれないのは、私たちのいる空間が封印されているせいだな」

「封印?」

「あぁ、封印だ。あのアホがかけたものだからな、今のお前じゃ解除できないぞ」


 あのアホって誰だ?俺に封印をかけるようなやつなんていたか?

 俺が久しぶりの感覚に、それとなく和んでいると、バハムートの姿が、まるでノイズを起こしたかのようにブレた。そうとう無茶をしているらしい。


「そろそろ限界だな」

「そうか。久しぶりに話せて楽しかったぜ、バハムート」

「私もだ、アリス。願わくば、早く封印を解いてもらいたいものだな」

「善処するよ」


 俺とバハムートは軽く握手を交わし、バハムートの身体はノイズのような音と共に消えた。

 さっきまで暗かった空間が、いつのまにか明るくなってきている。俺は強烈な眠気に襲われ、抗うことも許されずに、眠った。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「――ス!」


 瞼を閉じているはずなのに、光りが瞼を透けて凄く眩しい。


「―リス!、アリス!」


 俺は、まだ重い瞼を持ち上げる、と、そこには泣き顔の少女、クレアがいた。仰向けされ、されにはクレアに膝枕をされていた俺は、鉛のように重い右腕で自分の腹を触ってみる。制服に穴が空いていたが、傷はなかった。廊下にぶちまけていたはずの大量の血液を綺麗さっぱり無くなっていた。バハムートの仕業か。


「っアリス!?良かった!あのね!女の人がね!魔法をね!ブワァってね!」

「落ち着けよ、クレア」


 俺は右手でクレアの頭を撫でてやる。頭を撫でてやるとクレアも落ち着きを取り戻したようだった。


「それで?なんだって?」

「あ、えっとね。すごい綺麗な女の人が突然現れて、すごい怪我だったアリスを直して、ついでにこの廊下も綺麗にしていったんだよ!凄かったなぁ、私あんな魔法みたことないよ!」

「お、おぉ...」


 いつになくクレアのテンションが高い、さっきまでの泣き顔が嘘のように晴れ晴れとした顔をしている。

 廊下の血を綺麗にした魔法か。【クリーン】だな、それ。別に驚くような魔法じゃないんだが、いまのこの世界には存在しないものだからそういうものか。

 俺が、いつまでもクレアに膝枕されているのも気恥ずかしいので、身体を起こそうとすると、クレアに押さえつけれてまた膝枕された。クレアはまた目に若干の涙を浮かべていた。相当心配してくれたようだ。


「私、アリスが死んじゃうかと思って...それで...」


 クレアはポロポロとその涙をこぼし始める。なんというか、罪悪感。


「もう大丈夫だ、それよりも時間は大丈夫なのか?もうすぐ授業が始まるんじゃないのか?」

「なんでいつもそんな平気そうな顔するの?!アリス、もうすぐで死ぬところだったんだよ?!」


 俺が何気なく言った言葉にクレアが怒った。そういえばクレアが怒ってるところを見るのは始めてだな、いつも笑ってたし。いや、外見だけで内面はそうじゃなかったのかもな。

 俺は安心させようと、クレアに「俺は死なない」と言おうと思ったが、すんでのところで飲み込んだ。いつの間にか俺は過去の犯した自分の失敗を忘れていたようだ。死なないなんてことはありえない、チート時代ですら、あんなにあっけなく死んだんだ、今の身体じゃ、昔と同じような無茶はできない、ナイフ一本で死ぬ、ひ弱な人間なんだから。


「...医務室へ連れて行ってくれないか?まだ一人で歩けそうにない」

「アリス...分かった、連れて行ってあげる!」


 クレアは嬉しそうな顔でそう言った、守りたい、この笑顔。

 

 俺はクレアに肩を貸してもらって医務室に向かった、俺達が去った廊下に残っていたのは血のついていない綺麗なナイフとアゴを外して気絶している一人の男子生徒だけだった。




 場所は変わって医務室、中にいた女性の先生には「貧血です」と言っておいた。「昼食に毒を盛られた挙句、通りすがりの男子生徒に腹刺されて、傷は治ったし毒も抜けたけど貧血です」とは言えない、嘘は言っていないからいいんだ。

 俺は医務室の奥の方のベッドで横になった。まだ身体は重い、オーラを使えばそのへんは大丈夫だが、クレアが心配するから止めておこう。


「クレア、お前までここにいる気か?」

「だって、アリスが心配なんだもん」

「そんなこと言って、授業をサボリたいだけだろ?午後はお前の嫌いな魔術学だし」

「そ、そそそんなことないよ!」

「分かりやすいな」


 図星を突かれたクレアは、汗を流しながらあたふたしてそれを否定する。

 これも演技なんだろうか。


「大丈夫だよ、動きたくても動けないだ、無茶なんかできねぇよ、安心しろ」

「でも...」


 クレアは心配そんな目で俺を見つめる、まぁいろいろとやってきたしな、アンジェさん同様仕方ないだろう。

 俺とクレアがぐだぐだやっていると、みかねた先生がクレアに教室に戻るように告げた。それを聞いて、ようやくクレアは諦めたようで、渋々という感じで教室に戻っていった。


「彼女さんかしら?かわいいわねぇ」

「いえ...そんなんじゃないですよ...」

「うふふ...若いってイイわねぇ」


 あ、この人絶対誤解してるわ。




 その後は何事もなく普通に歩いて帰った。クレアはまだ心配していたが、帰ってゆっくり休めば問題ない、と言っておいた。


 次の日は運良く休日、1日休んだら体調もだいぶ良くなった。そうして瞬く間に時間がすぎてゆき、王立シルバニア学院の長期休暇、みんな大好き夏休みが始まった。

最近すごいたくさんの人が読んでくれているみたいで感激してます作者の僕です!

ふと気がつけば10万PVを突破していたという...目指せ100万PV!


さて、次回は安定の一週間以内!もう少し話しの質を上げつつ、ストックを貯めることができればいいんですが、時間が足りませぬ!


さてさて、お気入り登録または評価よろしくお願いします!

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