第13話 え、これ無差別殺人か何かですか?
サブタイトルのセンスがマシになったよぉ
時は過ぎて、俺がシルバニア学園に入学してからはや数ヶ月、気温もそろそろ暑くなってきた頃だ。
少し前までは雨季、日本でいうところの梅雨で、毎日雨ばっかりだったが最近は晴れの日が多い。これから本格的に暑くなってくるだろう。
学校の制服も冬服から夏服に代わり、上は風通しの良いシャツを着ている生徒が多い。夏服はカッターシャツのような服で、半袖と長袖が存在する。ちなみに、一度半袖を着ていった日に、露出している肌の部分が真っ赤になって痛い思いをしたので、いまは長袖だ。ちなみに、薄手の服になったから俺が女だとバレるというヘマはしていない。
そして授業に関してだが、率直に言うと飽きた、それに尽きる。
もちろん全てじゃない、魔法学は一応は授業を受けている。別に図書館の魔導書を読めば一発なんだが。
他にも、魔術学、魔法工学、薬学があるが、基礎しかやらないので面白くないし、魔法実習も、使える魔法がアレなだけに大して楽しむことができない。もっとド派手にドカンとやりたいんだが、いい方法はないものか...
共通科目も存在するが、元々あまり人気がないし、一応日本の教育機関で培ったであろう知識が存在する為、俺からしてみれば授業内容は完全に舐めきっていた。
専門科目は俺の復習も兼ねて、ボーッと眺めてはいるが、共通科目に関しては、別に受けなくても定期考査――無いかと思ったがやっぱりあった――
で満点を取れる自信があるので、いつも魔力量やオーラノードを増やす訓練をしている。
あと、入学初日の実力測定、あれについてだが。やっぱり結果は各自、記入用紙に書いて提出、とのことだった。実力測定のときに、まだ魔法が使えなかった子がいたように、字が書けない奴もいるんじゃないかと思ったがそんなことはなかった。紙に書いてあるのを見よう見まねで写しただけかも知れないが。
話がそれたな、結果については、やはり所々イジって出す生徒もいるようだった。クレアも魔力の値をかなり小さめに書いていたしな。
俺も自分の結果は公表されないと言われていたが、取り敢えず適正を火がC+、水と土がCと書いておいた。クレアのように、Bランク台のやつは少ないらしいが、これくらいなら結構いるらしいのでこんなかんじになった。あとは筋力と体力を少しイジっておいたが問題はない、いざとなればオーラを使えばいいだけの話だ。
結果を偽ることについては、学園側は何も言ってこないらしい。まぁやりすぎると、定期考査の実技の時に、いろいろと痛い目を見るだけなのであまりやる生徒はいない。やるとすれば俺の適正やクレアの魔力のような異常な値を持ち、なんとなく嫌なので隠すやつか、よほどの馬鹿かどちらかだ。
そして集計の結果、クラスの序列が発表された。この序列について、クレアに聞いたところ、呆れ顔をしながらもわかりやすく教えてくれた。
それによると、この序列のトップクラスには、なにかしら褒賞がくるらしい。なにかは知らないが多分大したことはない。そしてそれが発表されるのが中等部1年が終わるとき、要するに12月だ。各クラスは12月までに、自分たちのクラスが1番になるように切磋琢磨するとかしないとか。
1月に発表されたときの俺の所属する6組の順位は4位、すごい微妙だ。まだ10位とかだったら俄然やる気が湧いてくるのだが、変な数字だと妙にやる気なくすよな。
この結果を聞いて、クラスの大半は「おぉ~」という反応だったが、あの貴族(笑)は納得いかないらしく、ずっとブツブツ言っていた。
ちなみにその時の1位は8組だった。なんでも適正Bクラス台が10人ほどいるらしい、ウチのクラスは結果を偽っている俺を除けばせいぜい3、4人なので多いのだろうか、そいつら以外にも、魔力量の平均が実際に高かったのでまぁそういうことだろう。
3ヶ月に一回くらいの割合で実力測定があり、そのときに、クラスの序列も変わるらしいのだが、8組はずっと1位をキープしてた。6組も4位をキープしてた。
まぁこの数ヶ月、いろいろとあった訳だ。そしてもうあと1ヶ月ほどで、長期休暇、所謂夏休みがやってくる。この学校は前期、後期で構成されており、連続した長い休日はこれからくる長期休暇と、年末の短期休暇がある。
クラスメイトたちはいまかいまかの楽しみにしているようだが、残念ながら俺はそうじゃない。長期休暇がきたとして俺は何をすればいいのか、ずっと掃除でもすればいいのか。たぶん夏休みの宿題的なものがでるんだろうが、今の俺なら1日2日で終わらせてしまいそうだ。まぁ、まだ時間はあるし、ゆっくり考えて行こうか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あづい...」
隣りを歩くクレアが汗を流しながら忌々しそうにそう呟いた。
最近はいつにもまして暑い、地球温暖化で夏は異常な暑さに包まれていた日本よりは気温は低いとは思うがそれでも暑いことには変わりはない。ちょっと違う国にいけば今の時期でも雪が降っていると思うんだが、あそこに行けば次は寒いのオンパレードなんだろうな、この世界に安息の地はないのか...
そんなことを考えながら向かう先は食堂である。先程2つの授業が終わり、今は昼休み。食堂は男子の熱気でいつもヤバイ事になっているため、いつもより早く行って人が集まる前に昼食を終わらせたいところだ。
俺たちがついた頃、食堂にはまだ数人しかいなかった。熱中症対策として一応は、冷気を出す魔導具が置かれており、人が集まってくるとあまり効果を発揮しないが、いまはきちんと効いているようだった。
俺達がいつもどうりの日替わりを食べていると横からいつものようにレイザックがやってきた。
あの日から度々食堂でレイザックと鉢合わせては、昼食を共にしていたため、俺とクレアはレイザックと結構仲良くなった、いつもくだらない話しばかりしているが、これがなかなかに面白かった。
昼食を食べ終わって少しして、食堂をかなり人が集まってきたので、俺たちは食堂を出ることにした。
レイザックは図書館に用があるらしかったのでそこで別れた、図書館で勉強か?熱心だな。俺も図書館に行ってもいいんだが、これといって読むものもないのでいかない、魔導書はなるべく読みたくないしな、これ以上学校に来る意味を失うわけには行かない、不登校にはなりたくない。
俺はクレアと話しながらゆっくりクラスに帰ることにした。
しかしそこで俺は身体に異変を感じた。
(なんだ...身体が...重い...?)
ものの数分前まではなんともなかったのだが、俺は若干だが、身体が重いと感じていた。これまた若干だが、視界がボヤ~としているし、もしかして暑さにやられたか?うわ、マジかよ...またアンジェさんに心配かけるな...うわぁ、面倒くさそう...
「アリス、大丈夫?顔色悪いけど...」
「ん、あぁ...大丈夫だ」
まぁ別に倒れるほどのことじゃないし、教室についたらこっそり治癒魔法でもかけて直しておくか、病気でも軽いものなら治癒魔法で治るからな、治癒魔法便利すぐる。いまのこの世界は治癒魔法使いが貴重な為、ただの薬で済ませるらしい。魔法が無くなったらやっぱりそっちが進歩するのか...魔法が完全になくなれば、いずれ地球みたいな、もしくはそれ以上の科学技術を身につけるのだろうか。
そんなことを考えながらも、俺は割と平気な顔でクレアと話しながら廊下を歩く。
しかしそんな余裕もすぐにどこかへ放り投げた。
ヤバイ、これはヤバイ。視界はぼやけながらグルグル回るし、暑いし、クレアが何か話しているが全部デタラメな方向から聞こえてくるし、暑いし、息苦しいし暑いし頭痛いし暑いし。
俺は倒れる寸前だった。
そして追い打ち。
――ズプ
腹に何かが突き刺さったかのような感触のあと、それが引き抜かれ、鋭い激痛が走る。俺はこの痛みを知っている。
俺には腹部の激痛とともに先程までとは比べ物にならないような目眩や頭痛を覚え、身体に力が入らず、そのまま力なく倒れた。
朧げな意識のなか、霞む視界に映っていたのは、慌てるクレアの姿と片手にナイフ持ち、薄気味悪い笑みを浮かべた男子生徒の姿だった。
現実は冬、寒い!でも物語は夏、暑い!夏のこと書いてても別に暖かくならないんですね!
こういう感じの話しは書いてて楽しいですね!
さて、次回は2/7金曜日、18時に更新予定です!お楽しみに!
ではでは、お気入り登録または評価よろしくお願いしまっす!