目覚めるとそこは異世界でした
文がごっちゃ
目の前に迫る巨大な鉄の塊、別名トラック。
あ、走馬灯見える。
俺死ぬのか...
直後、トラックが俺の身体にぶち当たった。鈍痛が一瞬全身に走っ―――
「うわああああああああああああ!!!ああああ....あ?」
らなかった。
俺はアニメでよくみるあの起き方をしながら叫び、周囲が豹変していることに気がついた。
「....なんで?」
俺が今いる場所は、ファンタジー系のゲームやアニメでよく見るような森の中の湖といった感じだ。俺はその湖のほとりで座っている。
そういえば服装も変わっている。さっきまでの俺の服は黒い学生服の上下だったはずだが、今は某RPGの布の服と布のズボンに外套と腰のベルトの右側にはポーチみたいなのが付いていて、左側には革製の鞘に収まった剣がついていた。
「うおっ!?これ剣!?」
さっきから腰痛いなと思ってたらこれが原因だったのか。取り敢えず俺は剣を鞘から抜いてみる。
剣の刀身は諸刃で光を反射させてキラッと輝いている。重量はそんなにないのか片手でもブンブン振れる。おっと危ないもう少しで脚をスパッとやりそうだった、気を付けないと。
剣を鞘に収めるとカチャッと音がなった、凄くかっくいい。
「すげー......あれ?俺トラックに惹かれたんじゃなかったっけ?死んでない?」
周囲の風景と本物の剣に感動していて忘れていた、とても重要なことを忘れていた。
あの時俺はトラックに惹かれたハズだ、痛みは全くなかったけど。どっちみちここは日本じゃないだろう。何故かって?そりゃあお前、日本に太陽は3つもないだろう?ああ、俺が何言ってるか分からないと思うが大丈夫だ、俺も訳がわからない。
「日本じゃないとすると...ここは異世界?いやでもラノベだと神様が出てきてチート能力くれるしなぁ」
俺は神様には出会ってない、ていうか状況すらわからんし、ここがどこかも知らん。チート能力欲しかったですハイ。
そしてふと俺の前髪が視界に入った、凄く綺麗な金髪だわ。...は?
金...髪...?俺金髪だっけ?いや俺黒髪だよ?ホントだよ?俺は立ち上がって湖の水面で自分の姿を確認する。さあここで本日最大のカルチャーショック。
「ああん!?なんで!?」
水面には驚いた顔の金髪で目が鮮やかな青色の超絶イケメンが立っていた、要するに俺。
その顔は俺の本来の顔とは全くの別物だ、金髪碧眼のイケメン、反則ですね。
それから数分経った(と思う)頃にようやく俺の頭が回り始めたので軽く状況整理したみた。
まずここは日本じゃない、というか地球じゃない。十中八九異世界で間違いないだろう。むしろこの状況で「あれ?ここ日本じゃね?」って言う奴は頭が逝ってる、病院行け。
そしてもう一つ、腰のポーチだ。これはいわゆる四次元なポケット的なやつだと思う。手を入れると中に入っているモノがわかるようになっているらしく原理は全くわからんが、そこの中から取り出そうと思ったものが取り出せる。これすごい便利。中にはいろいろなモノが入っていた。ポーションの類とか食料とか結構な量が入っていた。もう一回言おう、これすごい便利。
ポーチの中には本が一冊入っていた。その名も「世界のすゝめ」、日本語で書いてある。しかも俺専用らしい。著者は神って書いてあったが今更感がハンパない、無視しておこう。
本はこの世界について書かれていた。凄い胡散臭いが今はこの本も信用するしかない、無知は罪って言うしな。そしてこの本に「あなたがいる世界はいわゆるところの異世界です」と書いてあった。やはりここは異世界で間違いないらしい。
本の内容を軽くまとめてみた、いま俺がいるのはティリス地方と呼ばれる場所であり、この地方で使われている言語はアラン語と呼ばれているらしい。ちなみに俺はそのアラン語が読めた、多分翻訳チート的なものだろう、助かります神様。
この世界の生き物については、取り敢えず人間、そして亜人、竜、精霊、魔族、悪魔、魔物、その他もろもろとファンタジーあふれるものばかりだ。多分俺の持ってる知識で十分だろうし読み飛ばした。分からなければまたこの本で調べればいいだけだしな。
そしてついに魔法について書かれている章にたどり着いた。「うぇーいwwww魔法だひゃっほぉい!!」と騒ぐ俺だったが読み始めてすぐに壁に当たった。
「ルーンて何だよ...魔力ってどうやって使うんだよ...」
とっても難しかった。数学で言うと途中式全部飛ばしていきなり答えが書いてある感じだ。真ん中の部分をよこせよ。最後の方に語句の意味とか載ってたけどそれもよく分からんかった。ルーンについては「魔法の開発、発動、制御ために必要なもの」って書いてあった、分からんぜ。
魔力についてもそうだった、魔力は俺もよく知ってるから大丈夫だったが問題はその次だ。
魔法の使い方1「魔力をルーンに込める」
まずルーンがなんなのか分からないし、魔力の使い方も分からん。本には例として炎を出す呪文的なもの(アラン語)が書いてあったがどうやっても発動しない。もしかしたら俺には魔力がないのかもしれない。
それは辛い、異世界なのに、みんな魔法使えるのに俺だけ使えないとか嫌だよふぇぇ。
まぁしかし魔法が使えないからといってそう簡単に死ぬことはないと思う。
何故かって?簡単な話だ。俺の身体能力がもの凄いから、ただそれだけのことだ、簡単だろ?
どれだけ凄いかって聞かれると言いにくいが、取り敢えず5mは飛べた、腕でな。脚なら10mぐらいは飛べたと思う、まぁ飛べるだけで着地は失敗したけど、そういえば失敗したけどあまり痛くなかったな、この身体は頑丈らしい。でも死ぬときは死ぬだろうから注意しなきゃな、教会で復活とかできなさそうだし。
そして最後に、これは重要な事なのだかこの身体の持ち主のことだ。
俺はこんなにイケメンじゃないし身長も高くなってる気がする、兎に角この身体は俺の身体じゃなく、他人の身体に転生した俺の魂というか人格が入り込んでいるのでは?という疑問だ
もしそうなら果てしなく面倒臭い、まぁ俺が入ったことで消えたであろう元の人格は南無三だが、一番の問題はこの身体を知っている奴と出会うことだ。別に記憶喪失だとか言えばいいんだが知らない人に家族みたいにされても俺は受け入れなさそうだし、上手く言えないが面倒臭そうなんだ。俺は面倒なのは嫌いなんだ。
まぁしかしこの本によるとそれは問題ないらしい。作者(神)のあとがきに「君の身体は私が作ったものだよ」と書いてあった。これが本当なら今この世界で俺をしっている奴はいないということだ。それはそれで寂しいがこっちのほうが気楽でいいや。
自分の状況が分かってきて余裕が出来たので現在俺は絶賛素振り中だ。
使ってるのはもちろん腰の剣だが、俺の力が強いせいか重さは感じるが楽に振ることができる。それにかれこれ数分は本気で振り回しているのにまったく疲れないところをみると体力も凄いらしい。
剣を振る度に風を切る音が聞こえてくる、うんやっぱり剣振り回すのっていいよね、かっこいいね。
俺が感動していると森の奥の方からバキバキッと木が折れる音がした、そして
「......!!!」
「悲鳴...!?」
遠すぎて何を言っているが分からないが確かにそれは若い女性の悲鳴だった。
この森には魔物がでる。俺はまだ出会ったことがない、というかこの湖の周辺は魔物をより付けないらしく(世界のすゝめに書いてあった)まだこの世界のことがよく分かっていない俺はここを離れたことがなかった。
「どうする...助けるか....?」
俺は魔法が使えない、だがしかし身体能力は高い...だろう。それに武器も一応ある。
今の俺にはあの悲鳴を上げた人を助けれるだけの力はあるだろう、にもかかわらず背を向けて逃げられるほど俺は強い人間じゃない。それにこのまま逃げてもこれからこのことをずるずると引きずって、それが原因で俺は魔物に狩られて死ぬかもしれない。
考えすぎかもしれない、まぁでも俺を動かす為の理由としては十分だ。
「あぁいいぜ...やってやんよ!」
俺はそう言い残して悲鳴が聞こえた森の奥へ入っていった。