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第2話 アスメド孤児院へようこそ

書きあがった...だと!?

 さて、と。ぼっち状態になったところで俺は考えていたことを実行に移す。ズバリそれは俺の魔力量とオーラノードについてだ。

 さっきのアンジェさんといた僅かな時間で、分かったことがある。まずこの世界は9割がた俺のいたあの世界だということだ。アラン語もそうだが、魔法を使ったことでそれは確信に変わった。この世界は俺の知っているあの異世界だ。

 そうと分かれば話は早い、この世界の全ての生物は、多かれ少なかれ魔力を持っている。となれば、この俺の身体にも魔力があるはずだ。

 俺は慣れたように魔力を探った、意識を身体の中心当たりに集中させる。なにもない、でもそんなことはない。おおかた今までの俺の魔力がデカすぎて、感知できないとかそんなところだろう。

 俺はさらに集中する。しばらくして俺の身体の奥底に、僅かだが魔力を発見した。


「ちっさ...」


 俺の口からは自然にその言葉が出た。

 いや待て、小さすぎるだろう!?魔力量にどれくらいの差があるのかわかりやすく説明すると、以前の俺の魔力がドラム缶一つ分ほどあったとしよう、今の俺は水滴一滴分くらいだ。おわかり頂けただろうか?これじゃ魔力を感知できないのも頷ける。

 しかし、これはどれくらいの量なんだろうか?以前の俺にとっては、周囲の人間の魔力なんてみんな無いようなものだったからよく分からん。取り敢えず魔力消費量の小さい生活魔法をさらにギリギリの魔力で使うことにする。


「我が力を糧とし、発現せよ【エイブ】」


 俺の指先からマッチにつく程度の小さな火が出た。それと同時に俺の身体からスゥっとなにかが抜けていく感覚があった。へぇ、魔力が抜ける感じってこんな感じなのか。

 以前の俺は魔力量もさることながら、魔力が回復する速度も素晴らしくチートだった。全力で魔法をつかいまくっても大体はものの1分ほどでその分は回復できるほどだ。【アイシクルフォース】を作った時に魔力が3割しか残らなかったことがあったが、その時も瞬時に魔力が回復したため、魔力が抜ける感覚を味わうのは実はこれが初体験である、なんか異世界って感じがする...しかし、俺のただでさえ少ない魔力が回復する感覚はない、魔力が回復しないってことはないはずだが、前までのチート速度ではないようだ。

 肝心の魔力量もあまり無いようだ、ギリギリで使った【エイブ】で1%くらい持って行かれたような感じがする、うーん分からんな...あ、そういえば便利な魔法があったような気がするぞ。


「なんだっけな、えーと...そうだ【ステータス】だ」


 【ステータス】という魔法がある。もう名前からして分かると思うが、これは使用者の能力を25段階で表すことができる魔法だ。なぜ25段階かというと、冒険者ギルドのランクが25段階だからそのほうが解りやすいから、だそうだ。あと任意で名前と年齢を表示することができる。すげえ便利な魔法だ、

 この【ステータス】という魔法は消費魔力が小さいからいまの俺の魔力量でも尽きることはないだろう。魔法が不得意な人でも使えるように作られているからな。それにこの魔法をつかえば、魔力量の他にも、オーラノードや身体能力も分かるし一石二鳥だろう。

 ステータスを使うには触媒に平面の物体がいる、まぁ壁でいいか。俺は壁に手を当てて呪文を唱える。


「我が身を示せ、【ステータス】」


 すると木造の壁に白い文字が浮かび上がる、成功だ。

 俺は名前は兎も角、この身体の年齢が気になるのでそれも表示している、そして表示されたステータスはこうだ。


==============

名前:アリス・エステリア

年齢:12


性別:女


魔力量:F

オーラノード:F-

筋力:F-

体力:F-

==============


 ふぁっ!?ヤバすぎだろこのステータスは!ほとんどF-じゃねぇか!いや、普通の人間、しかもいたいけな少女になっても、俺はまだ心のどこかで「実は俺チート能力持ってるんじゃね?」とは思ってた、そして現実ツライ。

 まぁ魔力量は12才なら例のアレでまだどうにかなる年齢だし、オーラに関しても、オーラノードの鍛え方は知ってるからどうにかなる、筋力と体力、F-ってなんだ、最低ランクだぞ?多分全力で100mも走れないぞ?

 ちなみに全盛期のオレのステータスはこうだ。


==============

名前:アリス・エステリア

年齢:19


性別:男


魔力量:測定不能

オーラノード:測定不能

筋力:SSS

体力:SSS

==============

 

 これである。いま思えば測定不能ってなんだ、最高ランクのSSSでも表せないということだろうか?チートチートしてるなぁ、今の俺からすれば神のようなステータスだ。

 さて、どうするか。取り敢えず人が来るまで魔力でも鍛えとくか。まだ自由に歩けないし、このベッドの上で出来ることなんてそれくらいだ。

 俺は両手で包み込むように魔力を集める。いまの俺の魔力量とその回復速度からしてあまりやりすぎはよくないだろう。俺は経験したことがないが、魔力が空になったときは酷い脱力感と酷いときはめまいも起こるらしいからな。できれば経験したくない。

 ゆっくりと魔力を集めていき、そのまま魔力を一点に圧縮していく。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 どれだけの時間が経っただろうか、日の傾き具合から見て数時間だろうか。俺はどれくらいステータスが変わったのか、見てみることにした。


「げっ...」 


==============

名前:アリス・エステリア

年齢:12


性別:女


魔力量:F

オーラノード:F-

筋力:F-

体力:F-

==============


 驚くほどなんも変わってねぇな...もしかして増えてないのか?自分で確かめようにも、まだ俺の魔力は回復してないから確かめようがない。

 くそ、これが普通なのか...!ま、まぁコツコツやっていけばいつかは成果が出るだろう、出るのか?いや出ると信じておこう、これ以上は俺のガラスのピュアハートがヤバイ。

 そんなことをしていると部屋の扉からノックの音がした。くそ...前までならこれぐらいの距離なら確実に気配を察知できてたんだけどな。いきなり音が聞こえるのは本当に心臓に悪い。

 そんな俺をよそに扉の向こうから男性の声が聞こえてきた。


「入るよ」


 扉の向こうの人物はそう言いながら扉を開けた。言ってから入ってこいよ。

 部屋に入ってきたのは、4、50代の男性だ、身体は服の上からでもガッチリとしているのが分かる、顔はイケメンがそのまま年をとったような、渋い顔だ、怖いというよりも父性あふれる父親のような印象だ。日本の男性俳優にこんな感じの人がいたような気がする。


「体調は大丈夫かい?はじめまして、私の名前はレザード・セデアロス。このアスメド孤児院の院長だよ」

 

 この人が院長か...なんか思ってたのと違うな...そして外見と口調が不一致すぎる。

 俺の名前は多分アンジェさんから伝わってると思うが、一応ここは名前を言っておく。ついでに俺を助けてくれた(?)らしいからその礼も言っとくか。


「こちらこそはじめまして、アリス・エステリアです。危ないところを助けて頂いたようで、その節はありがとうございました」

「うん?どういたしまして、かな?えらくしっかりした子だね、こりゃアンジェくんが言っていたこともあながち間違いじゃないのかもしれないなぁ」

「あの...もしかしてそれは、私がどこかの国のお姫様だという話でしょうか...?」

「ははは、君は勘も鋭いようだね。君の言う通りだよ、それで本当のところはどうなんだい?」

「えっと、違いますね...」

「だろうね、ははは!」


 すっげぇハイテンションだなこの人、さっきからこの人が何考えてるか全くわからないんだけど。というかアンジェさん、本当に俺の予想通りのこと思ってたのか。ロマンチストだな、アンジェさんは。

 そして院長、あんたはさっきから笑いすぎだ。それと俺の口調が大人しそうなのは演技だ、結構様になってると思う。


「おっとごめんね、それじゃ本題に入るよ、まずは君のこれからについてだ」


 これから...か。そうだな、ついさっきまでは冒険者になって稼ごうとか思ってたけど、あのステータスじゃまず無理だろう。いまの俺は最弱のモンスターとして名高いブルースライムにも負けそうな勢いだ。

 院長は俺に、この孤児院で過ごさないか?という提案をしてきた。これはかなりありがたかった、怪しいと疑わない訳ではないが、今の俺じゃなにもできないしな、ここは素直に好意に甘えよう。

 このアスメド孤児院には、俺を含めると全員で十数人の子供が生活しているらしい。少ないとも思ったが、孤児院は各地に存在するため、ひとつの孤児院が大人数の孤児を抱えることはあまりないらしい。

 

「そうか、じゃあ後でいろいろと書いてもらうから...いやそれはその時でいいか。取り敢えず、アスメド孤児院へようこそ、と言っておこうかな。あ、そうだ、学校のことなんだけど」

「学校ですか?」


 学校?この世界にそんなもの...あったわ。いやでもあれは馬鹿貴族とかが入る腐ったとこだぞ?しかも授業料とかめっちゃ高いし、孤児院にそんなとこに通わせる余裕があるのか?


「うん、そうだね...いまが12の月の20日だから、1の月からになるね」


 いや、院長、その情報がいらない訳ではないが、俺が知りたいのはそういうことじゃないんだよ。だがまぁ、院長の口振りからして、俺ぐらいの年の子供が学校に行くのは当たり前のことのようだし、ここはそういうことにしておくか。


「おっと、肝心なことを忘れてたよ。アリスくんは今いくつなのかな?」

「えっと、12歳です」


 ちょいと君、女性に年齢を聞くのは失礼じゃないかね?...冗談だよ、俺にもブーメランが帰ってきたよ、イテェ。


「12歳か...ということは中等部の1年生からになるかな?」


 中等部、すごい中学校っぽいな、ていうかそうだろうな。

 というか、学校ってことは制服あるのか?え、俺スカート履くの?嫌だわぁ...どうやって回避してやろうか。

 いやまぁ取り敢えず、俺の今後のことが決まった。俺は1の月、要するに1月なんだが、1月にその学校の入学式があるらしく、俺もその時に入学するらしい。それまではこの孤児院で療養というわけだ。

 療養中に俺がやることは、魔力量とオーラノードと身体を鍛える、これだけだ。療養とはなんだったのか。

一つの孤児院に十数人って少ないんですかね?調べた感じでは、基本的に20人以上が一般的らしいんですけど。


次回更新予定は一週間以内です!大雑把ですね、すいません!


それでは!お気入り登録または評価よろしくお願いします!!

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