表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

仲間と願い

 どれくらい時間が経ったのだろうか。大して時間は経っていないはずだが。腕時計で確認しようとする前に、目の前にどアップの時計が飛び込んでくる。

 慌てて後ろに顔を下げる。

 「ふふ、相変わらずの反応ね」

 零児は相手の顔を確認すると、

 「はぁ、誰かと思えば未央か。どうした?」

 「どうしたって、時刻確認したかったんでしょ?」

 「まあ、それはそうだけどさ」

 「それに、レディに対してその態度はいけないわよ」

 人差し指で、額を小突かれる。

 零児は額をさすりながら、答えた。

 「そんなこと言ったってしょうがないだろ。俺にどうしろってんだ?」

 未央は呆れたといわんばかりに肩をすくめた。

 「あなたに期待した私が馬鹿だった」

 「どーいう意味だよ」

 「そのまんまよ」

 「訳わかんねー」

 「ふふ、分からなくていいの。それに、零児のそーいうとこ嫌いじゃないしね」

 全く女ってのはよく分からん生き物だ。なんでいつもこっちのこと見透かした態度で、接してくるんだ?全くわからねー。

 零児は再び振り返り、騒いでいる暴君共を見る。どいつもこいつも、癖のある連中だが、いい奴だ。こいつらのためなら、どんな時でも、どんな奴が相手でも戦って守ってやる。

 もし、世界で誰もサンタに平和を願わないなら、俺が願ってやる。こいつ等の平和を。世界の平和を。だから少しくらい、俺の願いを聞き届けてきれよな、サンタさんよ。でなきゃ、恨むぜ?

 零児は残ったレッドアイを一気飲みすると、立ち上がった。

 「おっしゃー!野郎共、盛り上がってるかー!」

 零児の声に全員気付きこちらを見て、叫んだ。

 「零児、来てたのか」

 「あたりめーだ!盛り上がってるぜ!」

 「うんうん、最高に楽しいよ〜」

 「零児も早くおいでよ!」

 「そうだ!早く来い!お前がいないと締まらねぇ」

 さっきまで見向きもしなかったのに調子のいい奴らだ。しょうがねーなぁ。

 隣に座っていた未央に視線を配る。

 「ほら、行こうぜ」

 「……しょうがないわねぇ」

 皆のところに歩き出す。最高の友のところに。

 「待たせたな!これからテンション上げてくぞー!」

 「あんたたち、折角の二人きりを邪魔してくれた罪は重いわよ!覚悟は出来てるでしょうね!」

 「イエッサー!テンション上げる出であります!」

 「未央ちゃん手加減してね〜」

 様々な反応が返ってくる。俺と未央は顔を合わせて笑うと、輪の中に入っていった。

 くだらない集まりだが、至福の時間。俺たちは毎年こうして、この時を一緒に過ごす。一体いつまで出来るかなんて、見当もつかない。でも、きっといつまでも続くはずだ。さっき、そのために平和を願ったんだしな。

 俺以外の人もこのクリスマスを楽しんでるんだろう。だけど、俺にはそんなことは知ったことじゃない。俺が良ければ、いいんだから。

 こうして、それぞれの夜が過ぎていく。ほんの一瞬の時を忘れないために。普通の日と変わらない、そう言えばそれだけだが、今日は違う。

 今日だけは俺もクリスチャンになるか。ここに来るまでに思っていたことなんて、忘れていた。なんだかんだで、俺もこの日が楽しみだったってことか。

 それじゃ、これから俺はこいつ等の相手しなきゃならないから、この辺でお別れだ。どんなクリスマスを過ごすのかは知らねーが、楽しめよ。年に一回しかねーからな。っと、本当にもう時間だ。俺を待ちきれなくて、暴れだしてる奴がいる。

 んじゃ、本当にさよならだ。

 では、皆さんにとって最高のクリスマスでありますように。

 これは、もう一つのサンタに対する願いだ。

 よいクリスマスを……。


これにて終了です。お付き合い頂きありがとうございました。宜しければ、感想等お聞かせ下さい。それでは、皆様、よいクリスマスをお過ごし下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ