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カップル

かなり癖があるので、気をつけてくださいませ(笑)

 (ったく、うざってぇ)

 駅前の雑踏を抜け、だだっ広い広場に出ると、男は心中でそんなことを呟いた。

 眼前にはライトアップされた観覧車や木々たちが見える。夜に花咲くイルミネーション、地上の星々だ。この日のために綺麗に装飾された街は、とても美しかった。

 だが、そんな景色もこの男の前では無に等しい。

 男は夜景には目もくれず、空を見上げた。

 見上げた空は分厚い雲に覆われ、星一つ見えない。今にも冬の妖精が舞い降りてきそうだ。

 (降り出す前に行くとするか)

 ダウンのポケットに手を突っ込み、歩き出す。

 男の背格好は180センチ程で、シャープな体つき。目つきは悪いが、顔立ちは整っており、「かっこいい」の部類に入る。歳は19で、大学生だった。

 歩き始めた矢先に不愉快なものを見つけた。目を細めて確認。やはり間違いない。俺の目がイカれてた訳じゃない。

 嫌悪感を隠すことなく、見つめる先にはカップルが一組。しかもただの「カップル」じゃない。その一つレベルが上がった「バカップル」って奴だ。

 俺は「バカップル」は最高に嫌いだった。本人達がいいのなら関係ないと言う奴もいるが、どうかしてる。あれは人類の敵だ。といっても一部の人間。このクリスマスという年内屈指のイベントに恋人がいない連中にとっての敵なのだが。ただ、男はそういった理由で嫌っているのではない。ただただ、見ていて不愉快なのだ。

 そのバカップル共は一つのマフラーで二人を繋ぎ、寄り添って歩いていた。マフラーの長さが短いのか、歩きずらそうに見える。本人達はそうでもないようだが。

 今時テレビの中以外でこんなことする奴初めてみた。全くもって不快だ。どれ少し世の中の厳しさを教えてやろうじゃないか。

 口の端を僅かに歪めながら、カップルに近づく。別に文句を言ってやろうとかする訳じゃない。彼らの前に立つだけだ。それでいい。

 お互いの距離はあっと意う間に縮まった。

カップルはこちらの存在に気付きもしない。二人の世界に入り浸っているようだ。

 (さあ、現実に帰る時だぜ?)

 男は二人の間に入った。

 突然の来訪者に驚いたカップルを無視し、直進する。その先にあるのはマフラー。

 男が入ったことにより離れた二人の間に伸びるマフラーに両手を挙げて、突っこんだ。

 「グ○コ」

 「ちょ、うげっ」

 彼氏の方の悲痛な声は軽くスルーした。

 皆さんもご存知であろう。あの有名なお菓子を。パッケージには、ランナーが両手を挙げてテープを切っている絵が描かれているお菓子を。男がとった行動は、まさにそのパッケージ、そのままだった。

 男がそんな行動に出た結果、二人の首が絞まり倒れこんだ。もちろん殺しちゃいない。単なる事故さ。俺の行き先にこいつらがいた。ただそれだけのことだ。

 あまりに自己中心的な考えだが、男は気にしたことはない。


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