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1 ライラ


(もっと軽く、指先が、天にまで届くように)


円形舞台(えんけいぶたい)の上、赤髪を揺らしながらその細い足でかろやかにステップを踏んでいる少女がひとり。


(もっと深く、呼吸が伝わるように)


少女がすう、と息を吸い、手にしていたシルクの布をヒラリと宙に投げる。

すると、布はまるで魔法の蝶のように彼女の頭上を舞い、再び彼女の指先へと帰ってきた。


少女の長いまつ毛に雫がつたい、その紫の瞳がふたたび開かれる。

すると数秒の静寂ののち、観客は一斉に立ち上がり、溢れんばかりの拍手が舞台を満たした。


「ライラ!」「赤髪(あかがみ)妖精女王(ようせいじょおう)、ライラ!」


観客は興奮冷めやらぬ様子で、舞台上の舞姫(まいひめ)の名前を口々に叫んだ。


赤髪の少女―――ライラは深々と礼をし、先程の力強い舞いを披露していた人物とは思えないほどの、控えめな笑顔を客席に向けた。


アルマンディン一座(いちざ)の首都エメラルダでの興行初日は大成功であった。


彼女の名はライラ。一座の看板踊り子である。



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