嫉妬して欲しかったって言われても……そもそも好いてすらいませんが????
夜会。
今宵も宮廷で、きらびやかなパーティーが開かれていました。
自家は公爵家の末席にあたります。なので、その娘である私テレージアが夜会に呼ばれるのは、ある意味当然でした。しかし、私に限って言うならば、招かれた理由は別のところにあるでしょう。
「ソフィア、君はなんて美しいんだ」
「いやですわ、エドワード様」
目の前には、別の令嬢を口説いている王太子の姿。あれでというのは、いささか王族相手に不敬ですが、あれが私の婚約者だからです。
ちらり。
王太子である旦那様が私のほうに視線を向けて来ます。
(……。どういうこっちゃ?)
いったいどういった意図で、旦那様が私に流し目を送って来たのかはわかりません。しかし、ひとまずはうなずいておきましょう。
(勝手にどうぞ)
もとより、これは政略結婚です。
王家との結びつきを強くしたい我が家。魔術に関する私の素養の高さを買った王家。これは両者の利害が合致しただけの婚姻です。当たり前ですが、私と旦那様に対する気配りなどありません。それが貴族というものです。
王妃になれば、私は国庫の魔術図書館に気軽に行けるようになりますので、それなりにメリットもございましょう。一方で旦那様には取り立てて何もない。それを思えば、多少は旦那様にも同情します。
(でも、子供っぽいところは、もう少しどうにかならないのかしら?)
私と旦那様との間に愛情はありません。
遅かれ早かれ、形だけの夫婦になることでしょう。
しかし、いくら使用人たちが世話をしてくれるからといっても、いつまでも子供のままでいられては、周りが迷惑するというものです。
旦那様が私に憤怒の表情を向けて来ます。
何が気に入らなかったのでしょうか。
そんなに好き勝手にやっていて、どこが不満なのかまるでわかりません。ソフィア嬢の手を取った旦那様が、音楽に合わせてダンスをはじめます。
足さばきは、腐っても王族といった見事なものです。
安心しました。
貴族としてのエチケットも、私が教えなければいけないのかと、ちょっと億劫に感じていたんです。
「素晴らしいぞ、ソフィア!」
「あ、ありがとうございます」
ソフィア嬢がちらちらと、不安げな様子で私を見て来ました。
さすがは第二公爵家の令嬢。旦那様と違って常識があります。
放っておくのもかわいそうなので、にこりと微笑んでおきましょう。
相手は第二公爵家の令嬢、私よりも家格が上ですから。
(……ん?)
違いました。
私はお妃様でしたね。
慣れていないので、ついつい自分を第四公爵家のつもりで考えてしまいます。しかし、今はもう王家の人間。そうだとすると、私は怒ったほうがいいのでしょうか。
困りました。
しかし、旦那様が何をしようと、あまり興味がないんですよね。
目先の関心であれば、私は夜会に並べられたご馳走に夢中です。自家でも豪勢な食事が出されることはありますが、王家の食事とこれほどの差があるとは思いませんでした。
毎日出されたらすぐにでも飽きてしまいそうですが、週に1回くらいの贅沢ならば、かなりGoodです。王家の一員として迎えられる、数少なりメリットの1つになりそうでした。
旦那様とソフィア嬢のダンスを見るにつき、周りの人たちがひそひそと噂話をしはじめます。
「まあ……信じられない。婚約者がいますのに」
「テレージア嬢が憐れですわ」
同情されるほどのことでしょうか。
確かに、旦那様は少々エチケットを知らぬご様子。私が愛や恋を欲していたのであれば、いくらかの失望も覚えましょう。
誤解してもらっては困ります。
冷めた女だと、嘲笑されるのは気分がよくありません。
子供のころは、私も純然たる恋愛に人並みの憧れを抱いていました。
ですが、少しずつ育っていくにつれ、自分がどのような家に生まれたのかも理解しはじめました。今ではもう、町娘のような恋ができると手放しに思ってはおりません。
完璧ではありませんが、政略結婚に満足できないほどでもないのです。この年になって駄々をこねるというのも、少々みっともないですしね。
ソフィア嬢とのダンスをおえた旦那様が、こちらに戻って来ます。
「何か僕に言うべき言葉があるのではないかな?」
(……?)
妙ですね。
旦那様が私に対して、ごめんなさいと謝るのであればともかく、私から旦那様にかけるべき言葉などありません。
正直、旦那様と話すことはないのですが、仕方ありません。
国王様の手前、パーティーに招かれた程度には礼を表してあげましょうか。
「……。お楽しみになられましたか?」
機転を利かせて私は旦那様に尋ねます。
「ああ、もちろんだとも!」
旦那様はうれしそうに話します。
やはり、自分の感想を聞いてほしかったようです。
「そうですか、それはよかったです」
私はにこやかに微笑みました。
とたんに不機嫌になる旦那様。
「違うだろう! 君はもっとほかに、僕にかける言葉があるはずだ」
訳がわかりませんね。
まるで子供が癇癪を起しているようです。母親稼業をするにしたって、体だけが大きくなった子供は勘弁です。
「そう言われましても」
「先ほどの光景を見ていたのだろう?」
「ダンスですか。ええ、大変お上手でした」
途中からお料理のほうしか気にしていなかったのですが、これはまあ言わなくてもいいでしょう。私だって空気くらいは読みますよ。
「君は僕の妻として思うことがあるはずだ!」
「そう……ですね」
私はどうにか作り笑いを浮かべることができました。
どうやら旦那様には、妻となるべき私に対して、礼を失した覚えがあるご様子です。
(自覚があったらダメなのでは?)
よもや旦那様がこんなにも身勝手な殿方だとは思ってもみませんでした。
「それを素直に伝えろと言っている!」
旦那様が段々と声を荒らげになるので、次第に私たちは注目を集めていました。
「素直に伝えろと言われましても」
せいぜい、もう少し大人になってください――くらいなのですが、さすがに本心を申すわけにもいきません。
「なぜわからないのだ! 君は僕に焼きもちを焼くべきだろう!」
「……は、はい?」
なんだか頭が痛くなって来ました。
いったいこの旦那様は、単なる政略結婚にすぎない相手に何を望んでいらっしゃるのでしょう。
よしんば私をやきもきさせたいのだとしても、それは2人の間に少なくない気持ちがあってこそのもの。
何もない私たちの間で、相手を妬んだり、もっと自分に構ってほしいと思ったり、そんないじらしい感情が芽生えるはずがありません。
「僕を馬鹿にするのも大概にしろ。第四公爵家でありながら、君が熱烈に僕を求めているというから、こたびの婚約に応じてやったんだぞ! 僕が他の女と親しくしていたなら、嫉妬するのが筋だろう!」
これは本格的に頭が痛くなって来ました。
「何をおっしゃりたいのかわかりかねますが、そういう遊びがしたいのでしたら、どうぞほかの女性となさってください」
貴族以上に高望みだとは思いますが、恋愛結婚をしたかったという気持ち自体には同情すべき部分もあるでしょう。それは側室で気を紛らわせていただくしかありません。
「なっ! なっ……」
旦那様が口をぱくぱくと開けて固まってしまいました。少々、やりすぎてしまったでしょうか。
まあしかし、こればかりは私に求められても困ります。
「ふざけるなよ、テレージア。お前は僕を愛しているはずだ」
「痛っ……」
旦那様が私の腕をがしりと掴んでいました。
力加減を間違えているようで、仮にも夫婦となる相手にすることではありません。
いよいよ私のほうも我慢の限界です。
ついつい私も口から本当のことを言ってしまっていました。
「嫉妬して欲しかったって言われても……そもそも好いてすらいませんが????」
シーン。
一瞬にして、会場が凍りついたように静まり返りました。
まるで通夜です。
ぱたん。
どこかの令嬢が落としたのでしょう。扇が地面に跳ねる音が、やたらと大きく響きます。
沈黙。
ソフィア嬢でしょうか。近くから息を飲む音が聞こえました。
「今……テレージア嬢はなんと?」
周囲からもざわざわと困惑に近い反応が次第に上がります。
「くすっ」
「笑ったのは、だれか! ふ、不敬であろう……ぷっ」
そう咎める声も、後半は笑いを押さえられないといった具合でした。
私はわなわなと体を震わせる王太子の手から、自分の腕を素早く引き抜きます。
全くどの口で焼きもちを焼いてほしいなどと、のたまっているのでしょうか。私が王太子に愛情を抱くことは金輪際絶対にありません。それでも、出会った当初から人並みのやり取りをしていたならば、男女としてしかるべきコミュニケーションを取っていたならば、私もきっと王太子に相応の愛情を抱いたことでしょう。
仮にも殿方が、夫婦としてなるべき相手に敬意を払い、人として当たり前の気づかいをするというのであれば、私のほうにもそれに応える用意がありました。私も、そこまで礼節を知らない娘ではないからです。
ですが、もはやそんな未来は二度と訪れないでしょう。
これは私の選んだ結果ではありません。
すべてはエドワード王太子、あなたが選んだことなのです。
これまでのチャンスを棒に振ったのは王太子であり、私の心づかいを台無しにしたのも王太子です。
「テレージア! お前はいったい、どこまで僕を馬鹿にするつもりだ……」
うっとうしい人。
「いい加減にしてください。第一公爵家や第二公爵家を差し置いて、第四公爵家である私に白羽の矢が立ったのは、それだけ私に魔術の素養があったからにほかなりません。それをどう間違えたら、私が他家よりもエドワード様をお慕いしているという話になるんですか」
どうにも不愉快で、普段よりも声音が低くなってしまいます。
なおも、わなわなと体を震わせながら、王太子は正気を失った瞳で私のことを見つめていました。
(気持ち悪い……)
身の危険を感じた私は、そうと悟られぬように数歩、後ずさっていました。
「婚約を破棄したっていいんだぞ……」
「エドワード様のほうに誤った情報が伝わっていたようですから、もとよりそのほうが両家のためかもしれませんね。第四公爵家としても、王家を騙したなどと悪評を立てられては困ります」
王家は神から人の統治を任される代わりに、魔術の素養を失います。
だからこそ、王家の人々は必ず、妻となる女性に魔術の素養が高い者を選ぶのです。王家にとってこれは常識。王太子が少しでも自分の立場を理解していたならば、今回のような誤解は生まれる余地がなかったのです。
(浅慮がすぎる)
それが私の偽らざる本心でした。
「……?」
にやりと王太子が醜く笑います。
もはや私のことを見ているのかどうかも怪しい目つきでした。
「僕を敬わなくていいのか? 僕は王族だぞ。僕の口添えがなければ、魔術図書館には入れないだろう。あそこは国庫だからな……。お前はここに興味を持っていたはずだ」
「それならそれで、どうぞ。是非とも宮廷魔導士にと、お声をかけていただいておりますので、わざわざ王妃にならずとも、魔術図書館には宮廷魔導士として伺います」
一刻も早く、私は王太子の手から脱出したかったのです。
「……」
「いったい、これ以上何が不満なんですか? 私はこれでも余計な揉め事を避けて来たつもりですよ。その私の気配りをことごとく無視して、傍若無人なふるまいを続けているのは旦那様……ああ、失礼。元旦那様のほうじゃありませんか」
王家との縁を強めたい我が家としては、あまりいい顔をしないかもしれません。
ですが、私の魔術の素養は、王妃としての立場を見込まれるほどのもの。それならば、宮廷魔導士であっても十分な働きが期待できるはずでした。自家には、これで満足してもらうしかありません。
「このメス豚が! いったいだれのおかげで、王宮に立てていると思っている!」
王太子が腕を振りあげます。
「きゃっ!」
私は思わず、目をつぶっていました。
まさかいい大人が、こうも暴力に訴えかけて来るとは思っていなかったんです。
(殴られるッ!)
ですが、いつまで経っても私の体には、起こるべき衝撃がありません。
恐るおそる目を開けてみますと、1人の男性が王太子の腕を掴んでいるではありませんか。
「いくらエドワード様といえども、淑女に対する狼藉を見逃すわけにはいきませんな」
「なっ! お前は……」
驚く王太子には目もくれず、その男性は私のほうに言葉を投げます。身に着けている金色の甲冑からして、その男性が騎士であることは私にもわかりました。
「お怪我はございませんか?」
「はい……。ありがとうございます」
目を白黒とさせている私の手をそっと引いて、男性が私を宮廷の外へと連れ出します。そうして彼は私に臣下の礼を取っていました。
「ご無礼をお許しください、テレージア様」
「頭を上げてください。私はもう王族では……」
青い髪の騎士はひざまずいたまま、困ったように笑いました。
「そうですか。先ほど聞こえて来た会話はやはり……」
「はい。十中八九、エドワード様と第四公爵家の婚姻はなかったことになるでしょう」
「そういうことでしたら、屋敷まで是非とも送らせてください。もう夜も遅いですから」
夜会に最後まで付き合う理由もなくなってしまいました。
この男性の言うように、自家に戻ることがベターでしょうか。
私は騎士に向かってうなずきます。
(不幸中の幸いね)
まだ居を移していなかったので、後顧の憂いなく我が家に帰ることができます。
まもなく、騎士のものだという馬車に、私は乗せられていました。
「では、のちほど」
扉を閉めようとする男性に、私は慌てて声をかけます。
「えっ、あなたは?」
夜間なので危ないという話だったはずです。騎士である男性が一緒でないのなら、自家の迎えを待っているのとそう変わりますまい。
私の疑問に、男性がきょとんと目を丸くします。しかし、やがて合点がいったのか、朗らかに笑っていました。
「自分には別の馬がありますので。ご安心を、先導するのはあくまでも自分です」
「そう……なんですね。ありがとうございます」
軽く頭を下げ、私は馬車の扉が閉じられるのを待ちました。
(元旦那様とはえらい違いね)
ほどなくして御者の鞭打つ音が聞こえたかと思うと、緩やかに馬車は動きはじめていました。
開いた窓から、今宵の熱を奪うようにして、心地よい夜風が入って来ます。疑っているわけではありませんが、外を覗いてみますと、確かに先ほどの騎士が露払いをしてくれているようでした。
「……」
私が傷心した町娘であれば、今頃心を奪われているのでしょうが、あいにくと傷心してもいなければ町娘でもありません。行動のスマートさは認めますが、私の脳裏にあったのは騎士と関係のない話題でした。
(どう言い訳しようかしら?)
すべて元旦那様が悪いのですが、期待していた両親のことを思うとちくりと胸が痛みました。
そうして、私がうんうんと唸っている間に、馬車は我が家へと到着してしまっていたんです。
「実はこういうことがございまして」
宮廷で何があったのか。その詳細を騎士の男性から聞いた父上と母上は、ぽろぽろと目から大粒の涙をこぼしていました。
ふむ?
「ああ、テレージア。なんてかわいそうなの」
「愚かな父を許しておくれ」
これは想像だにしていなかったリアクションでした。
「私こそ、せっかく父上と母上が用意してくださった機会を、無駄にしてしまいました。不肖の娘です」
「そんなことはない。まさか、そこまでエドワード様が粗野だとは思わなかったのだ。テレージア、もっとよく顔を見せておくれ。傷などついておらんだろうね」
「はい、父上。こちらの騎士様に守っていただきましたので」
「おお! これはなんとお礼を申し上げればよいのか」
「気になさらないでください。そのくらい騎士としては当然の務め。では、自分はそろそろ」
きりっとした礼をひとつしたかと思うと、私が送迎の感謝を伝えるよりも早く、男性は馬に乗って去っていきます。
(忙しい人なのね……)
それから私は軽く水浴びをし、その日は床に就いたのでした。
✿✿✿❀✿✿✿
翌朝。
昨夜の慌ただしさはどこへやら。
私は両親と、ゆっくりとブランチを摂っていました。
今後をどうするのかという大事なことについても話し合います。私はなるべく第四公爵家が有利になるように努めるつもりでした。
「やはり宮廷魔導士がいいのではないでしょうか。王家との婚姻によってうやむやになっていましたが、こちらが乗り気であることを示せば、悪くない返事をいただけるものと思います」
両親が沈鬱な表情で私を見ます。
さすがに一晩も経てば、王家とのつながりが失われたことにも現実味を伴って来た、という具合でしょうか。
「いいのかい、テレージア?」
「何がでしょうか、母上」
王太子と縒りを戻すように言われるのではないかと、自然と私は強張っていました。
「王宮に出入りするとなったら、またエドワード様と顔を合わせることになるだろう? 嫌な思いをするんじゃないかと、私はそれを心配しているんだ」
目が点になってしまいました。
父上のほうを向けば、こちらも力強くうなずいております。……まさか、両親は2人ともそんなことを気にしてくれていたんでしょうか。
口の中が渇いてしまって、うまくしゃべることができません。
「……。お会いすることもあるかもしれませんが、接点などあってないに等しいでしょう。父上と母上が望むのであれば、今すぐにでも別の縁談を――」
「そのことなんだがね。今朝早くに、ラインハルト殿とオーウェン殿から文が届いたよ」
父上はうれしそうに話してくれるのですが、あいにくと殿方の名前に、私には心あたりがありません。もちろん、同名の超有名人であれば私も知っています。騎士団長のラインハルト様と、若き天才魔導士オーウェン様。お2人の功名については聞き及んでいますから。
しかし、王族としてのテレージアであればともかく、公爵家の末席に戻った私には思いあたる節がありませんでした。
「父上、その方々はどちらの子息でしょうか?」
少なくとも公爵には覚えのない名前です。侯爵にもいなかったような……。
「まあ、嫌だわ。この子ったら、とぼけたふりなんかして」
母上が上機嫌に微笑みます。
「だれって、騎士団長ラインハルト様と、魔導士オーウェン様に決まっているじゃないか」
……あれぇ?
拍子抜けです。
肩透かしを食らったときのように、私は椅子に座ったまま体勢を崩してしまいました。
「良かったわね、テレージア」
「いやですわ、母上。まだ私に気があると決まったわけでは……」
「何を言っているのかしら、この子ったら。今の第四公爵家があるのは、あなたのおかげじゃない」
「そうだぞ、テレージア。僕らと接点を持ちたいというのは、君と親しくなりたいという意味にほかならないじゃないか」
「父上まで……」
両親までそうおっしゃるのであれば、まあそのとおりなのでしょう。いまひとつ実感はないのですが……。
「さすがに、相手がこのお2人ともなれば、とてもでじゃないが僕らでは選べない。テレージア、自分で会って決めなさい」
「ありがとうございます。しかし、一応、宮廷魔導士としての話も進めていただければなと」
さっきまでは政略結婚がなんぼのもんじゃいという気概でいたのですが、生きる伝説のような名前を前に、私はおののいていました。
どちらも間違いなく、第四公爵家の手には余るような方々です。
それに、どうにも王宮は王太子のような出来の悪い男性たちばかりのようです。貴族の務めとして、私も尽力しなければいけないでしょう。
「もちろん、構わないよ。ただ、ラインハルト様については、噂にたがわぬ好青年に見えたがね」
「父上はお会いになったことがあるのですか!?」
私は驚いて、つい大きな声を出してしまっていました。
王妃テレージアとしての期間が今よりも長ければ、私もお会いする機会に恵まれたでしょう。ですが、あいにくと私はまだお姿をお見かけしたことがありません。
私の発言に、父上も驚いたように目を丸くしていました。
「昨日、お前と一緒にいたではないか。エドワード様の乱暴から、守ってもらったのだろう?」
「えっ……」
あの青髪の騎士が、音に聞くラインハルト様?
昨夜のことを思い出し、その功名が実体となって像を結んでいきます。
きりっとした顔立ちと、誠実な立ち居振る舞い。
守ってくれた精悍な体つき。
私は思わず、胸を押さえていました。
「どうかしたのかい?」
「い、いえ。なんでも……」
どくん……。どくん。
(あの人がラインハルト様……)
私は久しく感じていなかった、胸の高鳴りのようなものを感じていたのです。
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