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スキルなどなど面倒なので《壁抜け》で異世界攻略してみます!  作者: 爆発しちゃいますおじさん
第2章 異世界転移者って、優遇措置ありませんでしたっけ(怒)
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チュートリアルとか面倒だ(1)

 俺、田中 冬太(24)。ニートである。


 大学在学中に、うっかり独立、開業可能な難関資格に合格してしまったことを皮切りに、俺の燃え尽き症候群は発症した。


 燃えに燃えていた大学生活。サークルに勉強にアルバイトに―――当時の俺はとにかく燃えていた。彼女もできたし、最高に楽しい学生生活を過ごしていた……


 最悪なのは、ここからだ。いつでも開業できるんだから、一度自分探しでもしてみようか、という思考にいたった甘い俺。


 卒業後は就職せずに株の勉強、取得した難関資格にまつわる勉強、それを活かしたアルバイトなどに精を出した。つまるところ、経営者のようなもの(ぼんやりしていたが)になりたかったわけだ。


 人生の中心を担うであろう、と考えていた―――まるでチートアイテムのように考えていた資格。


 それがあまりにもちっぽけな存在であることに気づいたのは、23歳になった年の秋。都会のなかでは珍しく、自然豊かなそこそこの田舎地域に住んでいた俺の賃貸周辺には、黄色く色づいた木々が風に揺れていた。


 ―――向いてねえわ、これ。この資格とこの仕事、俺には向いてねえわ。アルバイトの段階でも分かる。向いてねえわ。


 事務作業よりは身体を動かす業務が主体だったその仕事。体力のない俺には、壊滅的に向いていなかったのである。


 上司には叱られ、絶望。移り変わる季節のなかで俺は『これからどうすりゃいいんだ』と嘆いた。


 そんな時だった。


 超絶美少女アイドルの『綺羅羅ちゃん』に出会えたのは僥倖といえた。


 心を失いかけていた俺にとって、綺羅羅ちゃんを推すことはまさに希望の光。黒髪のツインテールに、抜群のスタイル。見た者を戦慄(褒め言葉)させる笑顔とファンサ……


 傷ついた俺の心は、まるでゲームのポーションによって癒されていくみたいに、早足で回復していった。





***





 季節は変わり、冬。何度めかの遠征を控え、コールの練習をしていた時……悲劇は起きた。



「ライブ参戦にも体力がいるな……」



 より強く綺羅羅ちゃんを応援すべく、俺は筋トレを始めた。とはいえ、筋トレ器具などはない。何から始めたものかと考えた時、真っ先に思いついたのがスクワットだ。


 ―――今となっては、このスクワットが全ての始まりだった。ああ、あれさえしていなければ異世界へ飛ばされることなどなかったのに。


 六畳ワンルームにて、スクワット35回を済ませた瞬間のことだ。


 ―――俺の身体は、まるでバグみたいな挙動で動き出す。そのまま、前方へとスライドし始めた。


 まずは、アパートの鉄筋構造の壁をすり抜ける。続いて、直立の姿勢のままで屋外へ。


 何が起きてんだよ。っていうか、これ夢じゃね? おかしくね?


 高層ビル群。電波塔。そこそこの標高を誇る山々……


 それら全てを、すり抜けすり抜け俺は東北地方まで飛行した。いや、飛行というよりはスライド。吹きつけてくるはずの風の強さも、本来ならばそれによってぷるぷるするはずの瞼や唇も無反応だ。


 1分後、俺は宇宙にいた。意味が分からない。


 地球を飛び出し、そのまま飛行。


 何故かは分からない。分からないのだが、宇宙移動中はよく眠れた。こんな意味不明な状況に置かれて、脳みそが『ああこれ夢やんけ』と楽観的な判断をしたのかもしれない。

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