ミッション『病に苦しむ少女』クリア(1)
ちきんたべたい
治癒アイテムを回収し、本来ならば『負けイベント』であろう高難易度ダンジョン『地下』から脱出した。
長く質の悪い階段に、度々足を取られながら外へ出る。差し込んで来た光は、夕焼けが発する淡いオレンジだった。
そのオレンジに照らされる俺の身体は、先ほどまでのような裸ではない。ボスからのドロップアイテム『スケルトン・アーマー』によって、一応は装備を手に入れた俺は、疲労を感じながらダンジョンの外を歩く。
ダンジョンから『はじまりタウン』まではかなり近い。このまま、ミアたちの元へ向かい『治癒アイテム』を渡せば、ミッションクリアだ。それによって、恐らくは何らかの情報なり、次のミッションについてのチャートなり―――が貰えるのだろう。
―――しかし、本当にこの異世界は荒廃しているな。普通、異世界転移となれば、活気溢れる酒場とかあるはずなのだが、俺にはそんなおあつらえ向きなものは用意されていないらしい。
別にいいけどね。俺の目的は、あくまで綺羅羅ちゃんの出る来月のライブへ間に合わせることだし。
そのために、異世界から脱出したいだけだし。別に仲間とかいらないし。ふんだ。
合理的にいこう。さっさとミアたちのいる『ちょっと猫みたいな香りのする家』へ急ぐんだ。で、今日は眠って体力を回復させよう。次のミッションチャートと、地図でも手に入れば壁抜けでショートカットしつつ、異世界から脱出できるはずだ。
***
ちょっとマズいことになった。これ、どういうことかしら。
ミアと、その妹のモアがいる家に着いた。中へ入ると、予想だにしない光景が待ち受けていた。外はすっかり暗くなり、肌寒ささえ感じるので―――早く風呂でも入って眠りたいのだが―――
「あの……これ、どういうコトなのですか。聞いてないのですけど」
室内にいたミアを問い詰めて(?)いたのは、やや青みがかった髪を足元まで垂らした少女だった。俺より二回りも小さなその身体。右手には、身体ほどもある巨大な杖。左手は、慌ただしく動いてジェスチャー。
NPCらしい言動を繰り返し、のらりくらりと動くのはミアだ〜っ。このバトル、どちらに軍配が上がるのか〜っ?
―――じゃなくて。とにかく、妹のモアを治癒しよう。
俺は、アイテムストレージから決死の思いでドロップさせた治癒アイテムを取り出した。
面白かったら、ブックマークなどお願いしますっ




