フィールドに巣食うボス(2)
最悪の事態だ。
壁抜けはおろか、武器も頼りにならない(しかも壁抜けのデメリットのせいで裸)俺の前に現れたのは《スケルトンEX》という骸骨たちの上位個体だった。体長は20メートルを超えている。
さっきの巨大な骨は、やはりコイツのものだったか。スケルトンEXの頭上には、途方も無く長い体力ゲージが。
同時に襲い掛かってくる小型の骸骨たち。これヤバいですけどね。詰みですよねこれ。
目の前まで突っ込んできた骸骨たちは、何とか対処できる。だが、後方から攻撃されるとどうしようもない。
考えろ、考えるんだ俺。難関の資格試験(結局無駄だったけども)に合格した時だって、考えて考えてその末に合格を勝ち取ったじゃないか。
骸骨の持つ骨型の武器が、俺の脇腹をわずかに掠めた。レベル差のある俺の体力ゲージは、それだけで一割ほど持っていかれる。
続けざまに、左肩を今度は直撃。明確にゲージが減少した。
それでも、俺は考え続ける。咄嗟に、思考を放棄しそうになるが考え続けた。
何か、方法は無いのか? 壁抜けもできない、囲んでくる骸骨たち、そして背後に控える巨大なボス―――
俺の頭は、処理落ち寸前だった。考えることにリソースを割かれた俺の脳は、たちまちラグを起こし―――
「ん……俺、今、何を……」
処理落ち? ラグ?
気づいた時には、俺の手はアイテムストレージを呼び出し、あるアイテムの取り出し操作を行っていた。
右肩に骸骨の武器が命中。
左足へクリティカル。
体力ゲージに限界が近い……
最後の一撃が、俺の脳天を直撃しようかというその時―――俺の手は、アイテムストレージ内の操作をぴたりと止めた。それは、別に諦めたからではなかった。
突如として、部屋全体の音がぴたりと止まった。あれだけ機敏に動いていた骸骨たちも、その動作を止めている。
背後に鎮座したボスは、かろうじてその身体を動かしているが、先ほどの数千分の一程度のスピードだ。きっと、彼らでさえ何が起こったのか理解できずにいるだろう。
「うっわギリッギリ……あと一発貰ってたら、俺死んでたな。これリトライとかあんのか?」
―――力を抜かし、地面にへたりと倒れ込んだ俺のアイテムストレージからは『骨粉』が、大量に溢れ出し部屋中を覆い尽くしていた。




