表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなどなど面倒なので《壁抜け》で異世界攻略してみます!  作者: にっこりバイアス
第2章 異世界転移者って、優遇措置ありませんでしたっけ(怒)
12/42

ミアってまさか……(2)

 俺はその後、ミアがNPC的存在であることを確信した。突如として現れた精霊魔法の使い手ことミアは、ゲームで言うところのプレイヤー補助キャラ……NPCだったのである。


 つまり、申し込まれた結婚も『ゲームのストーリー分岐の結果』生じた事象である。それを示すように、さっきミアの頭上に『NPC』のポップアップが出現した。あと、ミア妹にも同様に。


 彼女が意思持たぬ人形のような存在であるということは、彼女の妹もそうなのであろうし、言動一つ取ってもそう思わざるを得ない状況だった。


 俺がそのことに気づくのとほぼ同時に、木造の部屋のなかで『ミッションスタート 病に苦しむ少女』というポップアップが出現した。


 この世界に転移した時にも、このようなポップアップは現れた。マズいな、彼女たちと協力して異世界からの脱出方法を探りたかったのだが。


 ―――早いところここから脱出し、推しアイドルに会わねば。そして彼女のイチ推しソング(BPM162、しっとり系なのに何処か元気をもらえる)を今一度、生で聴くのだ。でなければ死ねない。


 なので、NPC的存在に構っている時間は無いのである。悪いがミッションはここで断らせてもらおう。





***





 人間とは、冷酷になりきれない生き物である……とは、ついこの前にも言った気がする。


 無理だった。やっぱ無理でした。うるうるとした瞳でミアの妹から見つめられた俺には、断ることなんて無理でした。


 別に良いヤツアピールがしたいワケじゃないが、俺はゲームをプレイしていても、動物やら人間のようなNPCに情が湧いてしまうタイプなのであった。


 しかしだ。どうやら、このミッション『病に苦しむ少女』は負けイベントらしかった。


 どういうことか説明しよう。


 ミアの妹のモア―――彼女の病気を治すことは、結婚システムによるステータス上昇後の治癒魔法でも叶わなかった。


 残る手段として、NPCのミアから提示されたものが『はじまりタウン』の地下深くにあるダンジョン『地下』の攻略だ。


 これもゲームあるあるだが、最初の村とか町の地下には、後から戻って来た時にだけ入れる高難易度ダンジョンがありがちである。何でそういうことをするのかは知らないが、胸踊る展開だということだけは分かる。


 その最奥部にある『ライトニング・ブリザードラック』と呼ばれる手のひらサイズのアイテムを回収することが、ミアからの依頼だ。どういう効果があるのかは分からないが、多分回復系のアイテムなのだろう。


 順当にここまでやって来た一般冒険者は、負けイベントに絶望したあと、ひと息ついて割り切り『これはこういうものなのだ』と、次のダンジョンに進むこととなる。


 ―――しかし俺には『壁抜け』がある。壁に抜けあり、障子に抜けありだ。


 ―――どうやら、指定のアイテムを回収することができれば、ミア妹を助けられるっぽい。この異世界脱出の手がかりも大して集まっていないので、先にこのミッションを攻略するのも悪くないだろう。多分。





***





 町の隅っこにあった煉瓦質の階段から5分ほどかけ、町の地下へ潜る。


 見送ってくれたNPCのミアは『私の案内はここまでよダーリン』という台詞を詠唱してからは、NPCらしくその場から動かなくなってしまった。


 試しに、ミアのほっぺをむにーっと引っ張ってみたが、その表情は歪むこともなく、逆に喜ぶこともなく―――どうしようもなくNPCのそれのままだった。


 『〜地下〜』というポップアップが表示されたその場所は、骸骨型のモンスターだらけだった。


 普通に禍々しいし怖い。あと空気が悪いので、空気清浄機の一つや二つや三つ付けて欲しいと思った。


 灰色の荒んだ石畳によって、地面・壁面・天井の全てを覆われた迷路のような空間。


 広さは両手を辛うじて伸ばせる程度で、目の前に高難易度ダンジョンの敵が近づいてくれば、手練れでも危ないだろう。


 初心の者がここに来たところでどうすることもできない『負けイベント』なのは確定だ。


 が、俺にはあんまり関係なかったりする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ