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お仕事モード



しばらくはドラマの現場に付き合ってから、ユキナが本番に入ったのを見計らってミズホの現場に向かう。


今日は六本木のスタジオに媒体を集めたレーベルが仕切る取材日だ。

同じ港区なのですぐに到着できた。


スタジオに入ると私を見つけたミズホがすかさず走って抱きついてくる。

全く人目を気にしない奔放さはヤバすぎるだろ!


「出ましたねー! ミズホのファザコン! オレの立場はどこに!?」


すかさずミズホのマネージャーである三花くんが大声でツッコミを入れて笑いに変える。

ナイスだぜ。


「すみませんね皆さん、ウチの娘がいつもこんなで!」


私の発言に場が笑いに包まれる。

どうにかやり過ごせたけど、ミズホにはあとで説教だな。


三花くんは元大手レーベルのトップクリエーターだ。

私がアイドル誌の編集部にいた頃に知り合い、かれこれ20年ほどの付き合いになる。


長身細身のイケメンで、学生時代に弓道とアーチェリーで日本一になっており、さらにどちらも世界大会で優勝したこともあるとんでもない腕前らしい。


もちろん仕事もきっちりこなす。

先ほどの対応でもわかるように機転が聞くのがなにより素晴らしい。

ミズホの移籍に伴い、なんの躊躇もなく大手のレーベルを辞めてウチに来てくれたことにも感謝している。



今日は紙媒体の取材日。

1媒体に2時間を渡して今日は5媒体で取材を組んでいる。

つつがなく取材は進んで最後の媒体取材も無事に終了した。

さてユキナの現場に戻りますか。


「ミズホおつかれさま。いい取材だったぞ。オレは赤坂のユキナの現場に戻るから今日はここでな」

「えー! ミズホもいくー!」

「ダメだよ。向こうの現場が混乱しちゃうだろ」

「変装するー!」

「そういうことじゃないからな。三花くん、頼んだよ」

「はい、ウミさん!」

「(入りの時のこと、こってり宜しく)」

「(もちろんっす)さ、ミズホ行くよ」


三花くんに引きずられて移動車の大型ワゴンに乗せられるミズホ。


「うぎゃー! さみしいよー! ウミさん、早く帰ってきてねー!」

「「!」」


またやった!

お見送りのスタッフもいるってのに。


「ウミさん、このあと事務所集合でいいんですよね?」

「(うーんやはりいいぞ三花くん!)そうだな、ユキナの終わりがオンタイムなら19時くらいだ」

「了解っす! 押し巻き遠慮なくで!」


ミズホのクルマが出ていくのを見届けてから、お見送りの方々にもお礼を伝えて私もセコイアに乗り込みスタジオを後にする。


赤坂テレビへ出戻り、スタジオへ。


入口に貼ってある香盤をみる感じでは……うん、どうやらかなり順調に進んでいるようだな。

ちょい巻きくらいか?


前室でほかのタレントマネージャーやスタッフたちとコミュニケーションを取りながら撮影を見守る。


本番が終わりユキナが前室いる私のところへ駆け寄ってくる。 


「おかえりウミさん。ミズホどうだった?」

「大丈夫だったよ。ユキナはどうだ?」

「そんなに重いシーンはないからね。問題ないよ」

「おー、さすがは女優だな!」

「やめてね」

「あと少しだ。最後までしっかりな」


―――――――


「本日以上になりまーす!みなさんおつかれさまでしたー!」


フロアADの声が響く。


しっかりみなさんに挨拶してからユキナ、古杉くんと控室へ戻る。


「じゃあ帰りはユキナを預かるよ。古杉くんお疲れ様でした」

「ありがとうございます。ウミさんもお疲れ様でした! じゃユキナ、明日は撮休やから久しぶりにのんびり休んでや!」

「そっか! やったー! 久しぶりのオフだー!」


ユキナは古杉くんとハイタッチをしてから私のクルマへ乗り込んできた。


「ねーねーウミさん! 大変だ! 明日! 明日!」

「はいはい、オフだってな」

「遊んで遊んで遊ぼう遊ぼう」

「いやダメだよ。ユキナが休みでもオレは仕事だ」

「えー! そんなーーー! 何カ月ぶりのお休みだと思ってるんだ!」

「だからユキナは遊んでいいよ。友達でも誘って……」

「友達いないの知ってるよね?」

「……まあ友達の話は聞いたことないな」

「ウミさん、お願い」

「ミズホが暴れるぞ」

「ミズホが休みのときは私が我慢します」

「ふたりが揉めないなら考えるよ」

「言った! 言ったからね! 帰ったらミズホとじっくり話し合いだ! 約束だからね!」


自宅に着くやいなやユキナはクルマを飛び降りて階段を駆け上がっていった。


「……まあ、まとまるはずないよな?」


クルマを駐車場に停めてから階段を上がり部屋に入るとそこには満面の笑みのユキナが。

隣には同じくニコニコのミズホ。


「ミズホとは話し合いました!」

「うん、話は聞いたよ! 明日はミズホに遠慮なく楽しんでねー!」


どんな魔法だよ。

なんなら大喧嘩になるのも覚悟してたぞ。


「え、ミズホ平気なのか?」

「明日はミズホ、仕事がんばりますー!」

「いやそれは偉いけど」

「でもって次のお休みはミズホがウミさんを独り占めできるんだー♪」


おう、そういう取り決めね。

まあ何があるわけでもなし。

お互いジャマせず楽しむ協定を結んだんだな。


確かに少なくとも半年くらい休みがなかったかも。

詰め込むことなくゆったり仕事をさせるのがウチのモットー。

その分1日の仕事量はそこまでタフじゃないけど、だとしても確かに休みをしっかり取らせてなかったのはかわいそうなことをした。


明日のミズホは三花くんにまた任せて、ユキナの慰労に努めることにするか。



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