ギルと練習
相棒のギルと魔法のテストと練習をすることにした。
愛車の米国トヨタのセコイアでお出かけだ。
並行輸入で取り寄せたんだぞ。
めちゃくちゃ高かったけどずっと欲しくて、元の本社で役員になった記念に購入したのだ。
「これかっこいいなマスター!」
「だろー。お気に入りだぞ。日本じゃ売ってないんだ」
「よくわからん! それよりこのクルマさ、こんど魔法で強化しようぜ」
「なにー! そんなことできるのか!」
「クリエイトと拡張だな」
「クリエイトかー。それまだ使えないんだよな。便利そうだよなあ」
「そりゃな。なんだって出来るぞ」
「早く覚えたいな。で、拡張ってなんだ?」
「魔法で空間を広げるんだよ。マスターは収納持ちだろ。あれと一緒だよ」
「いや、理屈がわからん」
「理屈なんていいんだよ。そんなもんだと思い込んでりゃ大丈夫だ」
「まじか」
「練習したらできると思うぜ」
「へえ、練習ってどうしたらいいんだ?」
「収納使いまくりゃいいんだよ」
「わかった!!」
とりあえずトレーニングとして車内の小物を消したり出したりしながら西に向かってクルマを走らせる。
東京都から高速で1時間も走ればそれなりな田舎に行けるからな。
海も考えたけどオフシーズンとはいえ見晴らしが良すぎるから今日は山にしたのだ。
この辺でいいかな。
やってきたのは富士山!
その山麓だ。
自衛隊の演習場もあるからなんか音も誤魔化せそうな気がしたのだ。
「で、さらにどっか人のいないところだよなあ。まあ樹海の奥かな」
「なんだそれ」
「迷子になったら出られないと言われるくらい深い森だよ。クルマでは行けないからかなり歩くぞ」
「まどろっこしいな。マスターって転移使えないのか?」
「まだだよ」
「魔法はイメージだぜ。マスターならチョロいと思うな! やってみろよ」
「え、イメージでいいのか? やってみるか!」
セコイアから降りてクルマは収納する。
で、まずは近くに転移できるか試してみることにした。
「誰もいないよな……。じゃああの大きな樹にしよう」
「イメージだぞー。びょんと飛ぶ感じでやってみろ」
えーと。びょんと飛ぶ感じね。
わからん!
それよりは「どこでも転移〜』だろ!
よし、あの樹のそばにジャンプ!
飛べた。
すげえ! 瞬間移動じゃん!
「できたぞ!」
「すげー! マスターやべえ」
「え? 簡単なんだろ」
「嘘だぞ。たぶん上から2番目くらいの難しさだ」
「おい!」
「なんか魔力も異常だからさー。ノセたらノリでできるんじゃないかってな」
「ノリって。でもまあできたからいいか」
ステータスを開くとちゃんと【転移/転送】が解放されてた。
トリセツによれば慣れれば直視できなくても一度行ったことのある場所なら自由に飛べるらしい。
なんと距離は不問!
【転送】を使えば見えるモノなら知ってる場所に飛ばせるんだって。
これも使い方によってはえらい便利だろ!
「じゃ転移も覚えたことだし、さっそく山ン中にいこうぜ」
「了解だ。じゃあとりあえずアイテムボックスに戻ってろよ」
「そんなことしなくても一緒に飛べるぞ」
「そうなの?」
「熟練度に応じて巻き込める範囲も変わるけどな。このくらい近くにいたらいけるだろ」
「いやまだ2回目だぞ」
「心配なら肩に乗るよ」
「それならオッケーかな。じゃとりあえずあの山! ジャンプ!」
次の瞬間、しっかり山の中へ転移できていた。
深い森だけど途中にある木々は関係ないようだ。
直線移動じゃないんだよな。
不思議だけどそんなもんだと思うしかない。
感覚的にはやっぱり「どこでも転移〜」だな。
イメージが大事だ!
「さすがだマスター!」
「よし、この調子で攻撃魔法もいったるかー!」
「え!?」
「ん?」
「魔法の練習ってそれ?」
「それもどれもあるか! 男のロマン、攻撃魔法だよ」
「いやいや。攻撃魔法はマズイぞ」
「へ? なんで?」
「マスターってば魔力ヤバすぎなんだよ。暴走したらえらいことになる」
「えー、こんななんもないとこまで来たんだし暴発しても大丈夫だろ」
「あのさ、マスターの魔力で暴発したらたぶん星ごと吹き飛ぶよ」
全然大丈夫じゃなかったし。
「マジで? そこまでなの?」
「マスターはそこらの神より魔力多いぞ」
「嘘だろ」
「もっといろんな魔法を練習してからだな」
「なんだよわざわざ来たのに!」
「とりあえず攻撃魔法は当面封印だな。せっかく来たんだし細かい魔法の練習!」
「はあマジか」
「ほら練習練習!」
ギルの練習はなかなか厳しかった。
全系統の魔法を生活魔法レベルからコツコツやらされた。
それはそれで楽しかったけれどな。
で、実際にやってみたら確かに微妙なコントロールが全然ダメだった。
マッチほどの火を点けようとして巨大な火の玉を出してしまい森林火災を起こしそうになったり。
それを消そうとしてこれまた巨大な水球を生んでしまったり。
結果、森に大きな湖を作ってしまったり。
こりゃ確かに攻撃魔法なんぞ撃った日には何が起きてもおかしくないと実感できたよ。
帰りは自宅をイメージして転移したらすんなり帰れた。
まじで便利などこでも転移だよな。
これはかなり嬉しい能力だな。
つかれたー。
とりま風呂だ風呂!




