古杉くんと三花くん
そんなわけで、ふたりには秘密を開示した。
週末は競馬と競輪に励みつつ、大きな宝くじにも手を出しながら、世界を救うための資産作りも進めることにした。
さて我が海クリエイティブだが、社長は私で、タレント、マネージャーの4人が役員という構成だ。
ユキナの現場は元社長の古杉くん。
ミズホの現場は元プロモーターの三花くん。
ギャラは平等。
まずユキナとミズホにはそれぞれの売上から50%を渡す。
それぞれの残り50%を足してから会社としての必要経費を抜いた分を私を含む3人で均等割をする。
マネジメントは会社に属するからにはどちらの担当だからっていうのは無しにした。
タレントは自身の稼ぎに応じたギャラを得るべきだ。
会社が50%は取りすぎだと言ったのだが、タレントが譲らなかった。
自分たちの使うお金はほとんどすべてが事務所持ちなんだし、なんなら私とそれぞれの担当と自分で三等分にするべきだと言ってきたくらいだ。
それはあまりにも搾取しすぎなので一旦は今の配分で落ち着いている。
古杉くんと三花くんには近所にマンションと移動車を用意して動いてもらっている。
基本は週に一度の全員会議以外は出勤フリーでそれぞれ現場と営業に動いてもらっている。
本人も稼働する現場にはなるべく私も同行するスタイルだ。
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ということで、今日は毎月定例の役員会議だ。
タレントとマネージャーが揃って参加する。
マネージャーのふたりには能力についてはまだ開示しないことにしたので、あくまで私の意向として仕事をセーブすることを提案することにした。
「ということで、先月の売り上げは以上だ。それぞれ計画以上の売り上げを出してくれたのでとてもいい調子だよ。みんなありがとう」
全員が拍手する。
「余剰利益はいつも通りに翌月の給与にボーナスとして振り込んでおくからな。あとでしっかり数字をチェックしておいてくれ」
三花くんが挙手。
「あのー、毎回言ってますけど、我々と社長が同じ取り分なのはやっぱりおかしいと思います」
「私もそう思います。ちょっともらいすぎですわ」
古杉くんもそれに続く。
「それを言うんだったらユキナも。ちょっと20代がもらっていいギャラじゃないよ」
「ミズホもだよー。未成年だよー」
「あのな。毎回そう言ってくれるのは有難いけどこれは最初に決めたことだ。身体を張ってくれてるのはタレントだ。それを言うなら50%50%が間違ってる。本当は70%30%にしたいんだぞ」
三花くん、古杉くんが反論する。
「いやそういうことじゃなくて。50%から会社の運営費を抜いてから三等分なんてのは体裁で、実際は社長の取り分から出してるものがほとんどじゃないですか」
「そうっよ。本来ならここの家賃、私たちマネージャーの家賃、携帯代とか3台の車両に関しての経費もきちんと計上すべきですよね」
「私たちの衣装代とかメイク代、ボディメンテ代とかも社長から出てるんじゃないかなあ」
「クレカの引き落としがそうだもんねー」
む。いかんな。
いろいろバレてるじゃないか。
「そこらへんはほら、税理士さんが辻褄を合わせてくれてるからな」
「「「「おかしい!」」」」
仕方ないな。
「あのさ、実は内緒にしてたけど宝くじが当たってさ」
「それ。なんか謎に共同購入したことしろって意味不明なことゆうてましたよね」
「あー! なんか1億振り込まれてるよ!」
「嘘だろ、あ、本当だ!」
「これハロウィンジャンボか? やとしたら前後賞入れても5億や」
「均等割してんじゃん!」
「意味ないじゃんー!」
いかん、あれこれバレたぞ。
「えーい、うるさい! 社長判断だ!そもそもオレなんてそんなにお金もらっても使い道なんて無いんだよ。おとなしく受け取ってろ」
なんかまだガヤってるがしらん!
「で、本題だ」
「本題やあるかい!」
「帳簿を開示しろ!」
「社長らしいギャラを受け取れ!」
「お人好しにもほどがあるー!」
「もういいだろ!たくさん貰えてるのに文句言われるとか意味わからん!」
「社長が払いすぎなのが悪いんすよ」
「経理部を作ろうよ」
「あ、オレ簿記1級持ってるで」
「よし、古杉さん経理部長だ」
「「賛成!」」
「役員過半数の賛同により決定!」
「任命いただいた古杉です。さっそくですが給与形態の見直しを提案します」
「「「「賛成」」」」
「詳細は帳簿開示の後に決定としますが、設立より遡って社長の過剰払い分を算出、今後の給与においてはその差分を加味したパーセンテージに変更して給与を決定すべきだと思います!」
「「「賛成!」」」
おいおい。
めちゃくちゃだろ。
「わかったよ。来月からちゃんとするよ。過去は一旦置いておけ。ならそうだな。まずタレント50%にして残りを三等分しようか。経費は社長であるオレが持つよ」
「「「「おい!」」」」
「一緒やないかい!」
「むしろ全経費社長持ちを公言してて悪化してる件」
「なんでそれが通ると!?」
「ファンタジスタか!」
なんかよくわからんが一蹴された。
来月の給料日にあれこれ調整されることになってしまった。
ちきしょう。




