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オフの〆は告白



美味しい蕎麦を堪能して店を出る。


「ねえウミさん! とんでもなく美味しかったよ!」

「気に入ってくれたならなによりだ」

「わざわざ行く気持ちがわかったよ!」


蕎麦の話でひとしきり盛り上がる。


「この次はシャチ?」

「いや、少し前にロケで行ったばかりだろ。本命は別だよ。もちろんネーミング通りのサウナだ」

「本命最高!!」

「酔い覚ましに温泉サウナがいつものコースだけどそれでいいか?」

「 温泉も付いてるんだ! 最高すぎだよ!」


外には運転代行の方が待っていてくれた。

送迎車に乗せてもらって移動すること30分。

貸し切りコテージへ到着する。


「えー! こんなところ貸し切りできるの!?」

「いいところだぞー」


ここもお気に入り。

バケーションレンタルと呼ばれたりする、最近流行りになっている一棟貸しのリゾートだ。


ダイニングキッチンのついたリビングにベッドルームは4つ。

広い庭には大きな温水ブール、温泉は庭の露天のほかに屋内にも。

大きめのサウナとバーベキューのスペースがある。

真冬以外は温水プールなので泳げるけれど、今回はサウナ終わりの贅沢な水風呂に使うのでヒーターは切ってもらう。


「ねえ、ヤバいです」

「だろー」

「てかさあ……ウミさん、誰とここに来てるのよ」

「?」

「許せない。明らかに女だよね」

「ないない。毎年大学バスケ部の集まりで使ってるんだよ」

「むう。本当かなぁ」


「写真見るか? もちろん女子バスケのメンバーが参加する時もあるけどな。もはやみんな50歳だぞ。間違いの起きようがないからな」


もう少し若い頃には合コンに使ったこともあるけど。

わざわざ言う必要もあるまい!


管理人の方も顔見知りなのでコテージの説明は不要。

さっそく水着に着替えてサウナだー!


―――――――


「はー、気持ちいいなあ」

「天国だあ」


ふたりでのんびりサウナを満喫中だ。


温泉→サウナ→水プール→休憩を繰り返すこと2セット目。


「こんなことなら勝負水着を持ってくればよかったなあ」

「そうなると思ったからな。こっちで健全なスイミングウェアを用意したんだよ」

「むぅ。次からは持ち込む! セクシーなの買っておくから楽しみにしておいてね」


とりあえず無視だな。


「喉かわいたー」

「冷蔵庫の中の飲み物は無料だから好きに飲んでいいぞ」

「なにそれ! お得感半端ない」 

「あと疲れたら好きな部屋で寝ていいからな」

「3セット目が終わったら休む。ウミさん一緒に寝よう」

「寝ないぞ」

「たまには!」

「無いぞ」

「むぅ」


3セット目が終わったユキナはベッドルームに仮眠へ。

私はソロになったのでさらにロウリュでサウナの温度を上げて、時間も8分から12分に伸ばす。


「効くー」


2セット追加したところで私も別の部屋で仮眠に入ったのだった。


―――――――


アラームが鳴る。

しっかり1時間熟睡できた。

が、隣ではユキナが私の腕にくっついていた。


「いつのまに!」

「……ふわぁ、寝てたウミさんが悪いんだよう」

「まったく……ってユキナ! 下着じゃねえか!」

「油断してたウミさんが悪いんだよう」

「あーもう!」

「もうちょっとしたら起きるからあと少しだけ」


そう言ってユキナは私に抱きついて気持ちよさそうに目を閉じている。


いかん。

これはさすがによろしくない。

うわ、ブラ浮いてるし。

これ好きなんだよな……じゃねえ!!

しっかり反応してしまってるぞ。


「あのさあ。こういうのはダメだ」

「ダメじゃないよ」

「話にならん」

「他に好きな人いるの?」

「関係ないでしょうに」

「いるの?」

「……いないよ」

「ならいいじゃん」

「ダメだ」

「なら私、外で自由に遊んでいいの?」

「ユキナが本当に好きになった相手ならね。隠さず言ってくれれば恋愛は自由にしていい」

「ならこういうことだよ」


さらに抱きついてユキナは私の目を見てしっかりと言った。

「ウミさんが大好きです」


「……おいおい」

「隠さずに言ったよ。恋愛は自由だっていま言ったよ」

「それは違うだろ!」

「ずるい」

「ユキナ、良くないよ」

「ずっと本気で好きなのに」

「こんなおっさんのどこがいいんだよ」

「全部」

「年の差! 嘘も大概にしなさい」

「関係ないし。……それと」

「?」

「ウミさんこそ嘘ついてるよね」

「……なんのことだ?」

「あなたはウミさんだけど、違うウミさんだもん」


油断した。

いきなりぶっこんできたぞ。


「……なに言ってるんだ?」

「ウミさんだけどウミさんじゃない」

「あのさあ。オレはオレだよ」


ユキナは息のかかる距離でじっと私の目を見つめてくる。


「な、なんだよ」

「うん。やっぱり違う」

「なにが?」

「なんだろう。ウミさんだけど……なんか違う」


恐るべしユキナだな。

でもまあここまでくると……否定するのはそれこそ嘘になるな。


「……ユキナ」

「はい」

「ごまかしてきたけどさ、これ以上は嘘になるから本当のことを言うよ」

「……はい」

「信じられないと思うけど……」

「大丈夫。信じるよ。ウミさんの言うことは何もかも」

「……ありがとう」


深呼吸をひとつしてから打ち明けた。


「こないだ、神さまに会ったんだよ」

「……」

「世界を救えと言われてる」

「……神さま……世界」

「すごい能力も授かったんだ」

「……」

「信じられないよな」

「いや……わかる気がする。そういうことかあ」

「神さまに会ったその日に、ユキナはオレの違いに気づいてたよ。すごいよ」

「なんかね、わかったんだよ」

「今の本当の姿はこれだよ」


そう言って認識変更を解く。

20代の容姿に戻った私を見てユキナは絶句した。


「隠していてすまなかった。世界を救うミッションが安全だと分かったらふたりには必ず打ち明けようと思ってたんだ」

「そんなの安全じゃなくても打ち明けてほしいよ」

「それは無理だよ。いちばん守りたいのがふたりだ。ふたりを救えないなら世界を救う意味なんてないよ」

「……そんなの言われたら泣いちゃうよう」


そしてユキナは静かに泣いた。


―――――――


「ねえすごい! すごすぎる!!!」


泣きやんだユキナが魔法を見せろと言い出したので収納でモノの出し入れをしてみせたら大喜びだった。


生活魔法もひと通りやらされた。

残念ながらギルの姿だけは見えなかったけど。

瞬間移動も抱きかかえて実演した。


「これもうお仕事の遅刻はないよね」

「いやバレたらアウトだから使わないぞ」

「今日ここお泊りで予約してるけど途中で帰るんだよね。一度帰ってミズホ連れてこようよ。3人で泊まりたい!」

「は? 明日の仕事は早いぞ」

「いや、転移で秒で家に帰れるじゃん」

「あー、まあ確かに」


ということで。


ミズホにも秘密を打ち明けることになった。


ということで、ユキナと文京区の自宅へ転移した。


突然、目の前にユキナをお姫様抱っこして現れた私を見て、ミズホは大声で叫んだ。


「ずるいー!! 私も抱っこしてー!!!!」


そこかよ。



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