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第一章 はじまり
ーこの日もいつもと変わらず作業を終えるはずだったー
「この区画も異常なし」
手元のモニターを操作しながら確認作業を続ける
ン……フェエ…ンエェア……
確認のため進路を修正し、声源へ接近する
「……声源確認。対象、人間の赤子。
異常なし。」
人間の赤子は日差しを避けるように
瓦礫の隙間にいた
「フェァ…ンエ…ェァア…」
か弱い声で泣いている赤子
推定一歳前後。
保護者の存在は確認できない。
「削除作業を中止する必要性、無し」
そのまま次の区画へ向かおう
視線を赤子から外し、踵を返す
しかし踏み出す足を止め
またその赤子へと視線を戻す
この赤子も成長すれば、
この世界のように歪んでしまうのだろうか
こんなになにものにも染まっていない魂も
濁ってしまうのだろうか
いつも通り、異常の有無を確認して削除開始すればいいだけ
なのに、何故だろうか
この無垢な魂が成長と共にどのような変化が生じるのか。
現時点では、予測不能。
「…これは、観測する必要性がある」
まるで自分に言い聞かせるように、
声に出していた




