第6話 満席の制服姿。
「きっちりとした制服姿もいいけど、ちょっと襟元開いたりして…うふふっ。」
「……」
「見て見て、上着を脱いでシャツの腕まくりしたところから、ムキムキの腕が見えるって言うのも、いい眺めだわね。はあっ。」
「……」
店内は配りまくった無料券を持った兵士と近衛がたくさん来ている。
制服姿…なるほど…これがお嬢様の最終目的か?
配っている時もにこにこしていたから愛想笑いかと思ったら…マジだな。
兵士の制服もいいけど、近衛のこれでもかって言うきりっとした制服姿は、お嬢さま的に鼻血が出そうなくらいいいらしい。実際、近衛の採用基準は面接で顔がいい男を取るのか?と思うほど、いい男が多い気がする。
うっとりとしながら、それでも皿洗いの手を休めないお嬢さま。
そう言えばあなたの婚約者のジュリアン様は王太子の側近ですが、近衛騎士団にも所属されていますよ?
ジュリアン様は隣国に留学した王太子と一緒に、今は近隣諸国を外遊中。もう5年も帰ってきていない。
この人…近衛の制服を着たジュリアン様を見たら…本当に鼻血を吹くかもな…。そんなことを考えながら、アメリーはやはり手を休めずに飲み物の注文をさばく。
【ジュリアン様
お嬢様は下宿先の食堂の再起をかけて、飲み物一杯無料券を兵士と近衛に配りまくりまして、そのおかげで食堂は大繁盛し、お嬢さまも制服姿に囲まれて幸せそうでございます。まさに、一石二鳥。損して得取れ、でございますね。
お嬢様は以前、制服を脱ぐと5割減、と申されておりましたので、お会いになる際はまずは私服で目を慣らされた方がよろしいかと存じます。】
アメリーはあらかじめ取っておいたウサギマーク入りの【飲み物一杯無料券】を2枚同送した。




