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【第37話】一触即発

読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、ポイントの方よろしくお願いします。

 放課後。思惑が外れた俺はしょんぼりとしながら部活へ向かう。

 

 あの後別の対処法を考えたが、いい考えは一切浮かんでこなかった。かなり癪だが、後は勅使河原の奴が熱を冷ましてくれるのを祈るしかない。


「おいーっす京さん。お疲れ」


「あっ慶さん。お疲れ様です。今日も頑張りましょう」


 京さんは俺に笑顔を向ける。


「だな。どうせ誰も来ないだろうけど」


 思えば図書室って現状学校の中で唯一落ち着ける場所なんだよな。そう思うと、京さんの存在っていうのは今の俺にはかなりデカいな。


 ああ、何故か京さんが菩薩様の様に見える。むしろ菩薩様が京さんに見えるのかもしれない。


「け、慶さん? どうしましたか?」


「ん? ああいやちょっと日々に感謝をな。それよりそろそろ部活始めようか」


「えっ、あっはい。そうですね。とりあえず清掃から始めましょうか」


 こうして俺と京さんの平和な部活が始まる。俺達はモップを手に取り、既にピカピカの床を磨いていく。


 その間の会話は無く、黙々と掃除に徹した。その静寂を打ち消すかの様に、図書室の扉の開く音が響く。


「それでよお、あそこであいつがさ」


「あれは笑ったな!」


 下品な笑い声を上げながら、勅使河原と不快な仲間達がぞろぞろと入場してくる。そいつらは馬鹿みたいな大声で話しながら奥にある円卓の椅子へと座り、そのまま談笑を続ける。


「うるせえな。あいつら」


 これって俺が注意した方がいいよな。京さんちょっと震えてるし。


「わ、私が行ってきます」


 京さんが勅使河原達の方へ向かおうとしたが、俺の手がそれを止める。


「そんなに無理しなくていいよ。ここは俺が行ってくるからさ。京さんは奥の掃除しといて」


 俺は京さんを奥へ退散させ、勅使河原達の下へ向かう。


「ちょっとお客さん。図書室ってのがどんな場所なのか知らないのか?」


 俺は勅使河原達に、比較的優しめにやんわりと注意を呼びかける。


「あ? これから本を読むんだろうが」


「あんなデカデカと書いてある文字すら読めない奴が本なんか読めるのか?」


 俺は後ろに貼ってあった『図書室ではお静かに』と赤字で書かれた紙を指さす。


「これ以上騒ぐならお外でやりな。グラウンドで馬鹿みたいにボールでも蹴ってろ」


 俺はしっしっと手で払う仕草を勅使河原達に向ける。俺のこの仕草に、勅使河原達は不安気な表情を浮かべた。


「なんだよお前。っち」

 

 勅使河原は聞こえる程の舌打ちをしてそっぽを向く。

 

 すげえガキみたいな行動だ。ホントにこいつ俺とタメか?

 

 気にしても仕方ないと、俺は背を向けてその場を去る。ある程度離れた所で、背後から再び笑い声が聞こえて来た。

 

 なんなんだこいつらは。ダチョウだってもう少し記憶力良いぞ。


「おいあんたら。さっき言った事忘れたのか? それとも言ってる意味が理解できないから騒ぐのか?」


「あん? 別に良いだろうが。他に誰も居ねえし」


「お前の言ってるのは人気のない公園なら全裸で徘徊しても良いって言ってるのと一緒だからな。分かったらとっとと出てけ」

 

 俺は勅使河原達に向けて二度目のしっしっを繰り出す。これには勅使河原も怒り心頭なご様子だ。


「ほら。出口はこちらだ」

 

 俺は入口の扉を開け、勅使河原達にどうぞの仕草を送る。


「っち。なんだお前。さっきから偉そうによ」

 

 勅使河原が俺に向かって悪態をつく。

 

 よくこの状況でそんな態度が取れるよな。百対ゼロで向こうが悪いのに。


「俺はただ図書室の規則に則って話してるだけだ。1回目で即退出アンド出禁にしなかっただけ優しいと思え」


「だからそれが気に食わねえって言ってんだよ。規則を盾に威張りやがって」


 なるほど。こいつはつまり、規則を盾にせず俺みたいに正々堂々と威張り散らせと言いたいのか。これは恐れ入った。


「虎の威を借りて何が悪い。とにかくこれ以上騒ぐならとっとと出てってくれ」


 正直こんな程度の低いチンピラを相手にするのは時間の無駄だ。


 と言うかこいつら行動が大胆になり過ぎだろ。どれだけ頭に血が上ってんだよ。


「もういいだろ山崎。こいつ相手にすんのもいい加減ダルいぜ」


 取り巻きの一人がそう言う。


「っち。わーったよ。行くぞお前ら」


 勅使河原は取り巻き達に声をかけ、図書室を後にしていく。


 これで一件落着かと思ったその時。突如俺の襟がグイっと引っ張られる。


 俺はバランスを崩し、倒れるように図書室から飛び出した。そして背中から倒れ、廊下に横たわる。


 そんな俺の周りを、勅使河原達は囲うように立っていた。

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