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【第32話】作戦会議

読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、ポイントの方よろしくお願いします。

 昼休み。俺、楓、ヒロト、京さんはアキラに連れられて人気のない廊下に来ていた。


「ここです。偶にしか使われへん教室で、何故かずっと鍵が開いてんですよ」

 

 アキラがそう言いながら教室の扉を開ける。中は思ったより綺麗で飯を食べるのにも支障はなさそうだ。


「さて、それでは第1回涼川慶デマ対策会議を始めましょう」

 

 アキラは机を長方形に並べ、ちゃっかり上座に座って指揮を執る。


「でも正直言って何の案も浮かばないんだよね」


「それは私も思ってました。匿名で投稿されていて身元も特定できませんし」

 

 皆で弁当を食べながら思い思いの意見を述べていく。とは言っても議論にはなっていない。


「誰か心当たりはないかな? 慶の事を恨んでそうな人とか」


「いやそれが、正直言って多すぎて分からんのですよ。こいつの評判は1年の時点で嫌いが大半でしたし」


「え? 何故だい? 慶はとても優しいじゃないか」

 

 楓は首を傾けて尋ねる。


「そう、そこなんですよ。こいつ普段は人の名前覚えへんし、話しかけてもムスッとしとるし、常に話しかけるなオーラ出しとるし、定期的にサボるしでろくな奴じゃないんすよ」


「ひでえ言いようだな」


「そのくせして変な所で優しさ出してくるから勘違いする人が出てくるんすよ。あれ? この人もしかして私にだけ優しいんじゃない? やだキュンってしちゃうみたいな。腹立ちますよねこっちはどれだけ優しくしても人気でえへんのに」


 最後の一文が主張のメインだった気がするが、確かに困ってる所を助けた結果相手から妙に意識された経験はある。


 こっちは完全に相手の事忘れてるから、どうしても「誰お前」みたいな反応になってしまう。そしたら向こうは急に怒り始めるんだ。どうしろってんだよ。


「でも勘違いしてしまうの分かる気がします。私も最初は怖い人だなって思ってたんですけど、重い荷物を積極的に持ってくれたり、私が病気で休んだ時は気にかけてくれたり。その時は正直言ってちょっとドキドキしました」


「そうやろ? つまり今回の事件は慶が今まで作ってきた無数の地雷が暴発した結果やと思うんよ。女って怖いからな」


 アキラはうんうんと頷きながら持論を唱えた。


 こいつは何で童貞のくせして「女に詳しいです」みたいな雰囲気で話してるんだろうか。


「つまりなんだ? 全面的に俺が悪いってのか? 冗談じゃねえぞこっちは被害者だ。被害者が一番偉いんだよ」


「そこまで言ってへんやろが。たくましいなお前。そうやなくて、ここでお前が変われば、噂の件も収まるかもしれへんってことや」


 アキラは立ち上がり、スマホで効果音を鳴らして高々に叫ぶ。


「名付けて! 涼川慶性格矯正計画!」


 俺を含め、ヒロトや楓、京さんまでもアキラの事を物珍しい目で見ていた。例えるなら街中でセーラー服を着たおっさんを見た時の目と似ている。


「まあつまるところ、慶の捻くれた性格を矯正して周囲からのイメージを改善し、噂の風化を早めようって寸法や」


 アキラは途中で恥ずかしくなったのか、声のトーンを落として席に座る。


「そんな上手く行くか? 俺は一度抱いたイメージは余程の事がない限り変えんぞ」


「それはモルモット……慶次第やな」


 おい。言い直すのが遅すぎるだろ。がっつりモルモットって言ってんじゃねえか。


「それは魅力的な案だとは思うけど、具体的にはどうするんだい?」


 楓は首を傾げ、アキラに問いただす。


「一先ずはせやな、周囲の人間に興味を持ってもらう事から始めましょ。卒業したら他人やから名前を覚えるとか無駄な行為という腐った考えをまずは正す。そうすることで慶もまともな人間に一歩近づく思うんですよ」


「いいねそれ。とりあえず隣の席の子から順に覚えていこうか。因みに慶君。右隣の席には誰が座ってるか覚えてる?」


「え? えっと、男で短髪の色黒で」


「女子でロングで色白の人だね。うん。やっぱり慶君の対人機能は論外だね」


 ヒロトは毒気まじりのトーンでそう言った。つらい。


「それだったら私に任せて欲しいな。誰かとコミュニケーションを取ったりする事は得意だからね」


 楓は自信満々に答える。


「……因みに聞くが相手の顎を掴むあれはコミュニケーションの一環か?」


「そうだね。割と頻繫にやるかな」


「なるほど。ちょっとレベルが高いな」


「ちょっとどこや無いけどな。今のお前がそれやったら第一審で無期懲役や」


「いきなりはねえ。もうちょっと皆から評判を上げてからじゃないとキツイかな」


「わ、私は別に慶さんなら構わないです。でも他の子にやるのは不味い気もします」


 楓は俺たちの答えを聞くと、少しシュンとした顔をした。なんだか気が引ける。


「まあでも追々な。お前のはレベルが高いからいきなりは真似できないだけだ。サッカー初心者にリフティング教えるみたいなもんよ」


「初心者に教えるもんやろリフティングって」


「リフティング以外の技知らねえんだから仕方ねえだろ」


「学べや」

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